「クレーマー天狗」~事前警察をつくれ!
アラサン(傘寿)世代の本サイトご隠居顧問が、あらゆる話題に斬り込む『クレーマー天狗』。今回、ご隠居がターゲットにしたのは、未然に防げない凶悪事件の数々と、捜査そのものに対してだ。「なぜ事前に踏み込んだ捜査ができないのか!」常々そう感じているご隠居が、怒りを込めてある提案をした。「ぜひ、ストーカーや危険人物から市民を守る〝民法交番〟設置を」と。
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近所のみんなが怯えていたある危険人物が、予想された通り5人もの命を奪った。兵庫県洲本市と言えばご存じ淡路島のほぼ中央で、和歌山県に面した海側に位置するこの島一番の町場だ。事件はこの町の郊外にある裕福そうな家屋が何軒も建つ農村地区で起こった。それまで、身の危険を肌で感じていた周辺の住民が近くの駐在所をはじめ、街中の警察署や市役所、果ては保健所にまでワラをもつかむ思いで何日も、何回も相談しまくっていたのに…だ。この欄でも取り上げてきたが、警察は「民事に介入せず」が大前提。近い将来確実に起こると予測される事案についても、実際に起きるまではあくまでも「民事」であり、事件として発生して初めて「刑事」として取り扱う機関なのだ。したがって、あちこち訴えて歩き回っていた人たちが、夜も眠れないほど不安に思っても、警察は動いてはくれないのだ。
◇被害者より加害者に厚い保護!?
いい例がストーカー殺人事件だろう。「あの男は私に『明日中に必ず殺しに来る』と言っている」といくら訴えても、これはまだ民事なので警察は動いてくれない。だから、命が惜しければ自腹を切って警備会社からガードマンを派遣してもらうしかない。都会ならこの手もあるが、ガードマンが来てくれない地域に住んでいる人にはもう打つ手はなく、恐怖とともに死を待つしかない訳だ。
かくて『洲本の5人殺し』が起こるべくして起こった。1人でも大事件なのに、何と5人の無辜(むこ)の人たちを見殺しにせざるを得なかったとは、何とも残念な事態ではないか。日本に住み日本国内で収入を得ている人なら、一人の例外もなく警察の予算源となる〝地方税〟は納めているのに、何とも歯がゆいことではないか。おまけに、犯人が未成年だったり、精神鑑定の結果「責任能力は問えない」となると、被害者はさておいても、犯人の人権やプライバシーは徹底して守られることもご存じの通り。多摩川の中1少年殺害事件でもご覧になったように、ネットや週刊誌で犯人の18歳少年の顔写真がすでに出回っているのを百も承知で? まるで大神宮の遷座祭のような重装備と、方面本部から機動隊員を何人も駆り出してまで、加害者の人権擁護のためにカネをかけなければならないと…。
◇事件を未然に処理して人口減少を防げ
日本ではもう当たり前の風景になっているが、外国ではどうしているのだろうか。そのうち、日本のこの大仰で珍しい実況見分風景を、外国から取材に来るのではないか。ついでに、証拠物件の携帯、凶器、指紋、血液などを捜索するときの人海戦術もぜひ海外に広く紹介してもらいたい。「日本は犯罪捜査の面でも電子化、合理化が進んでいるが、さすが〝おもてなし〟の国だけあって、捜索に当たっては被害者の霊を慰める意味合いから電子機器類は使用せず、真心を持った警察官が寒さも厭わず水中に入り、あえて人力で捜索するようだ」と。これで日本は再び世界から注目を集め、オリンピックが一段と盛り上がるだろう。
話を戻して事件が起きる前の訴えを処理する『民事警察』を作れないものか。ストーカー、暴力、凶器を持った危険人物、長期欠席者の周辺調査、果ては幼児虐待問題など、警察が手を出せない民事案件の窓口となる〝民法交番〟を設け、我が国の人口減少防止、とくに少子化対策に役立ててほしい。そう言えば安倍内閣に『少子化大臣』っていう人もいたんだっけ? この人に担当してもらえばいいか。
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