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June , 2019
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「コトワザウルス」~〝人類〟万事塞翁が馬

2015年2月15日(日)12時44分更新

 アラカン(アラウンド還暦)ならぬアラサン(傘寿)世代の本サイトご隠居顧問が世に伝わる諺、名言(迷言?)、ご託宣…言葉の数々をクローズアップしてお届けする「コトワザウルス」。今回、ご隠居は「イスラム国」と敵対する世界最大の民族集団に注目、世界がまさにこの民族集団の動向に期待を寄せる中、ご隠居には少なからず不安がよぎる。「虎口を脱したと思ったら龍の穴に入っていた」なんてことにならないか、人間ならぬ〝人類〟「万事塞翁が馬」とはよく言ったもので…。

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「イスラム国」壊滅のカギを握るクルド人(「写真は「クルド人のまち~イランに暮らす国なき民」=松浦範子氏著、新泉社刊)

「イスラム国」壊滅のカギを握ると言われているのがクルド人(「写真は「クルド人のまち~イランに暮らす国なき民」=松浦範子氏著、新泉社刊)

 いま世界中から恐れられている『イスラム国』に敢然と立ち向かう勇敢な民族がある。テレビではどの解説者もハッキリとしたことは言わないが、『クルド人』と呼ばれる人たちだ。「われわれは死を恐れない民族である」と世界に向けて宣言し、アメリカやヨルダンをはじめ現段階では空爆でしか報復出来ないでいる中、彼らは女性兵士を含む強力な部隊を編成、イスラム国を相手に地上戦で局地的な勝利を続けている。

 二人の罪のない人質救出になんの手立てもなく、ただただ切歯扼腕し、言語道断な行為を断腸の思いではるか遠くから地団駄を踏むだけだった日本にとってはいかにも頼もしい〝味方〟の出現だ。クルド人は中東の先住民族で、その歴史は紀元前までさかのぼる誇り高き民族なのだが、3000万人という巨大な人口を有しながら自分の国土を持っていないのだ。詳しいことは省くが、現在、トルコ東部の山岳部を中心にイラン、イラク、シリアなどの国境地帯に分布して暮らしている。そして、彼らが究極的に求めているのが『クルディスタン』と呼ぶべき自分たちの国土なのだ。

◇国土希求心が根底にあり

 かつてトルコを旅行した時、日本語の達者なガイドがこう言った。「今は事情があって、トルコの西半分しかご案内できませんが、近いうちに東トルコのツアーが実現できると思います。その時はまたぜひ来てください」と。なぜ東は観光出来ないのかを聞くと、治安の問題を挙げた。「まだ、のんびりと観光ができるほど平和じゃないんです」。その時初めてクルド民族の存在を知ったのだが、当時、イランやイラクの政情が不安定だったせいもあり、クルド問題についてはあまり深く知ろうとはしなかったのだと思う。

 そのクルド人が立ち上がった背景には、彼らの75%がスンニ派、15%がシーア派の敬虔なイスラム教徒という理由がある。「これ以上、イスラム教を誤解されたくない」との信仰心が根本にあり、そしてもう一つの太い柱が「国土希求心」なのである。国土、または自治区取得に関しては第1次世界大戦後に1度、第2次世界大戦後に2度目の逸機があり、今回は3度目の正直として当面の敵・イスラム国に立ち向かっているという図式が見えてこないか。もし放っておけば自分たちの居住区が脅かされることになる。

◇逃れられない運命…

 イスラム国の自分勝手でかつ凶暴な振る舞いに苦り切っている世界中の目が、いまクルド人の活躍に集まっている。「もし、クルド軍が全面的な勝利を収めれば、願ったり、叶ったり」と喝采を送る人が多い中で、そうなった時の論功行賞をどうするか。これをちょっとでも間違えると、また新しい紛争の種になりかねない。とくに国土内に1300万人のクルド人を抱えるトルコとしては、イスラム国の壊滅は願ってもないことながら、1300万人のクルド人を今後どのように待遇していくか。痛し痒し、とか頭痛の種とかと言った表現では収まりきれない大問題なのだ。

 虎の口からやっとの思いで脱出したと思ったら、そこは龍の住む穴だったという表現がやや近いか。いずれにせよ、人類は「戦争」と「疫病」から逃れられない宿命を背負っているらしい。コレラや天然痘、赤痢などの人類の敵をやっつけてヤレヤレと思ったら、今やエイズよりもっと恐ろしいエボラ出血熱の脅威にさらされている。「ああ、神様!」と祈りたいが、その神様だって…???


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