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June , 2019
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「コトワザウルス」~後悔先に立たず

2015年3月6日(金)12時14分更新

 アラカンならぬアラサン世代の本サイトご隠居顧問が世に伝わることわざ、名言(迷言?)、慣用句…などなど言葉の数々をクローズアップしてお届けする「コトワザウルス」。今回は川崎で起きた中学1年生殺害事件と、群馬・前橋の「白い巨塔」で多くの犠牲者を出した腹腔鏡手術事故(事件)を取り上げる。川崎事件では「なぜ大人が気づいてやれなかったのか」という後悔が人々の脳裏をかすめ、また前橋事件にも…。

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 上村遼太君(13)が殺害された現場には、花束、線香、飲料水のボトル、菓子箱など供養のための供え物が今も増え続けている。そして現場に来た人も来ない人も口々にこういう。「なぜ、こうなる前に大人が気付いてやれなかったのか」と。この言葉の中には、まだあどけなさの残る『カミソン(上村君の通称)』に対する同情のほかにいろいろな意味が含まれている。まず、次のような批判であろう。

 ① 「担任の教師が何十回も電話していながら、本人にも母親にも通じなかった。というのに、教頭や校長に報告、相談をするなどして、なぜもう一歩踏み込んだ行動がとれなかったのか」

 ② 「担任の教師から報告を受けていたはずの上司(学年主任ー教頭ー校長)たちが、なぜ年初から長期欠席している生徒を放置したままその理由さえ聞いたり、調べたりしようとしなかったのか」

 ③ 「学校のすべてを監督・指導し、教師らの表彰や懲戒、学校への勧告などを行う教育委員会は、生徒の長期欠席があった場合、校長以下全校の教職員がどう行動すべきかの指導や、勧告を行ってきたのか」

 ④ 「上村君が顔にケガを負ったことで上村君の友人らが容疑者宅に抗議に押し掛けて騒いだとき駆け付けた警官が、なぜもっと詳しく調書を取って適切な処置や署への報告をキチンとしてやれなかったのか」

 以上四つの批判のほかに、世間はこともあろうに長男の命をこれ以上の非情さはないという形で奪われて、不幸のどん底に打ちひしがれている母親にも向けられたようだ。

 ⑤ 「どんなに忙しかろうと、息子が長いこと学校に行っていない事になぜ気が付かなかったのか。そして、なぜ担任の教師からの電話に出られなかったのか。同じ親としてその神経を疑う」と。

 詳しいことが発表される前の、事件の全容が明るみに出る前のことだけに、無理もない面はあるものの、①の場合は、教師にも毎日の仕事のほかに自分の家庭もあり、いくら〝聖職〟だとは言え、全てをその身に負わせるのは酷というものだろう。また、⑤については母親の生活がいかに大変なものだったかが分かって、いまは批判のかげも形も消え去ったが、世間は母子家庭の問題を政治家に強く訴えてくれるだろうか。

◇病院自体が重い病に侵されている

会見を開き、謝罪する群大医学部付属病院の関係者(写真㊧は野島美久病院長=NHKテレビから)

会見を開き、謝罪する群大医学部付属病院の関係者(写真㊧は野島美久病院長=NHKテレビから)

「なぜ大人が…」の代わりに「なぜ院長が気付いてやれなかったのか」と言いたいのが、同じ医師による手術で8人の死亡者を出した群馬大学附属病院第二外科の医療事故だ。事故というより、これは〝手術〟という名の〝殺人〟ではないのか。今週に入って、院長ほか同病院の幹部が「記者会見」でガン首を揃えて謝罪していたが、はたして謝罪だけですむ問題だろうか。いや、そうはいくまいて。『白い巨塔』ほか数々の医療ドラマが、病院自体が病んでいる様子を描いている。本来、臨機応変に機能させなければならない組織が、硬直化していて「院長が気づいてやれ」るまで何年もかかっている。同じ医師の手術で8人も死亡していれば、子供でも気がつくはずだ。今まで院長ほか病院幹部はなにを隠そうとして毎日を過ごしてきたのだろうか。重い病気にかかった患者さんを助けなければならない大学病院が重病にかかっている。しかも、その患部が幹部に集中しているのだ。こうなったらもはや厚労省だけじゃなく、検察の手でこの患部にメスを入れてもらうほかないだろう。


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