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November , 2018
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ノーベル賞の中村修二教授が古巣企業に仲直りを熱望も…

2014年11月5日(水)12時24分更新

 青色発光ダイオード(LED)の実用化に成功し今年、ノーベル物理学賞を受賞した米カリフォルニア大サンタバーバラ校教授の中村修二氏(60)は、かつて勤務した徳島の化学メーカー日亜化学工業と特許を巡り裁判沙汰になったのは有名だ。それ以来、嫌悪な関係が続いているが、このほど日亜化学に向けて中村氏のほうから仲直りしたいと直訴した。これまで散々、日亜化学、さらには特許に対する認識がおかしいと日本までも批判してきた中村氏の変わりように「???」と思う読者も多いようで…。

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青色LEDの実用化では貢献度抜群の中村修二氏だが

青色LEDの実用化では貢献度抜群の中村修二氏だが

◇中村氏を称賛する声は多かったが…

 ノーベル賞授賞式の中村氏は勇ましかった。日本のサラリーマンに対する成功報酬のあまりの少なさに、外国人からは〝スレーブ(奴隷)ナカムラ〟とまで言われたとか、さらにそういう制度を生んだ日本社会に対しても「自由がない」とこき下ろした。多くの〝怒り〟が原動力となり、今の自分の成果があると胸を張った。

「カッコいい」

「さすが成功者は違う」

 中村氏を称える声が多く聞かれた。何といってもノーベル賞受賞まで中村氏をよく知らなかった人も、青色LED開発で手にした成功報酬はたったの2万円、あまりの評価の低さに会社を辞め、そうしたら今度は会社から「特許がライバルに流出した」として訴えられた。訴訟により、研究さえままならない日々が続いた。我慢ならない。今度は逆に特許に対する相応の対価を求めて東京地裁に提訴したら、会社側が中村氏に200億円支払えと判決が出た。当然、会社は控訴したが、これ以上、裁判で無駄な時間を費やしたくない中村サイドに会社側が約8億4000万円の和解金を支払うことで決着した。

「日亜化学ってなんてヒドい会社なんだ」、「日本って国は、つくづく個人に対する尊厳のない国だ」という印象を国内外に与えた。

 中村氏は日本を飛び出し、米国籍を取得、活動拠点も米国に移している。完全に日本を見限った行動と多くの人はそう思っていた。中には「銭ゲバ」、「裏切り者」と批判する向きもあったが、中村氏の境遇を考えると、多くの人は納得して同情した。

◇中村氏は関係修復を熱望するが…

 ところが3日、文化勲章を受章してからどうも様子がおかしくなった。皇居で行われた親授式後、東京都内で行われた記者会見で、「この章(文化勲章)もノーベル賞もそうなんですけど」と前置きして、こう語った。

「やはり日亜化学の貢献はかなりあると思いますね。皆さんもご存じのように、(私は)日本の裁判とアメリカの裁判について日亜と関係が悪いです。この機にぜひ日亜化学と関係の改善を図りたいんです」

 ついこの前まで散々批判してきた会社に関係修復を願い出ただけでなく、自ら「一番関係が悪い」とする同社の小川英治社長に対して「感謝しているし、日亜化学の全社員に感謝している」とまで言ってのけた。

 これを見て「自分から仲直りを申し出るなんて、さすが大人の対応」(30代OL)と好意的に捉える向きもある一方、「勲章をもらった途端、この変わり身の早さは何だろうか。だいたい、おカネの次は名誉欲とよく言うが、まさにそこらへんの下世話な成り上がり者と何ら変わらない対応にガッカリした」(40代、会社員)という意見も聞かれた。さらに「今まで中村さんにこけにされて勲章授与を決めた日本も日本だけども、あれだけ勇ましく日本批判を繰り返していた中村さんも中村さん。私の感覚だったら叙勲は辞退するね」(60代、自営業)などの手厳しい感想も少なくない。

◇中村氏は肩透かし

 研究に対する評価や対価…何から何まで日本は立ち遅れているとする中村氏。だからサラリーマン時代の自分は正当な評価と対価を得られなかったと言い続けてきた。ただこんな見方もある。

「一流大学ではない一地方の国立大学(徳島大学)を出て、それでも会社(日亜化学)は青色LEDの研究をさせてくれた。その点、もし新卒でアメリカの企業に就職していたらどうなっていたか。MITやカリフォルニア大バークレー、スタンフォード、ハーバードといった一流大学出身者にはそれ相応の研究費は出してくれるだろうが、二流、三流大学出身者となると中々難しいものがある。自ら研究費をねん出できるような裕福な家庭がバックボーンにでもない限り、やはり最初の段階で学歴がモノをいうアメリカでは、そもそも中村氏の研究がここまで成就できたかどうか怪しい」(米国事情に詳しい関係者)。日本にも米国にも利点欠点はそれぞれあるものだという。

 日亜化学は中村氏からの仲直りの申し出に「中村教授はすでに15年前に弊社を退職された方で」と始まるコメントを発表した。それによると中村氏が日亜化学に対して発言した感謝の気持ちを「それで十分と存じております」としたうえで「中村教授が、貴重な時間を弊社への挨拶などに費やすことなく、今回の賞・章に恥じないよう専心、研究に打ち込まれ、物理学に大きく貢献する成果を生みだされるようお祈りしております」と締めくくった。

 このコメントに「せっかく中村さんが手を差し伸べたのに。文面を見る限りは、会いたくないって気持ちがヒシヒシと伝わってきますね。だいたい、『貴重な時間を弊社への~』と言ったって、中村さんのほうから会いたいと言ったわけだから、日亜化学側が時間を費やせば済む話。大人げないったらありゃしない」と前出の30代OLは日亜化学を批判した。

 あるシンクタンクの関係者は「もちろん青色発光ダイオードのお陰で日亜化学も大きく発展したことは間違いない。ただ中村氏との関係でさんざんヒール役にされた同社にとって、今さら仲直りと言われても『勝手なこと言うなよ』と日亜化学には日亜化学なりのプライドがあるのでは」(大手総合商社の幹部)。

 そろそろ世の中は冬支度の季節。街路樹をはじめいたるところにLED装飾が施され、一年のうちでも最も美しい季節が訪れる。果たしてこの両者の関係は、街を照らすきらびやかな光のように輝く日は来るのだろうか。


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