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October , 2024
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自民党議員が驚愕発言

2015年6月27日(土)09時57分更新

 ここはロシアか、中国か…いや、もはや北朝鮮級と言えるのかもしれない。そんな声が聞こえるほど、とんでもない発言が複数の自民党議員から飛び出し、世間をアッと驚かせている。言論統制のような…いや言論統制そのものの暴言に、いま日本がそこに直面する危機が見え隠れする。果たして政治はこのままでいいのか…我々国民も真剣に考えるべき時がきているのではあるまいか。

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 安倍シンパの若手議員を中心に発足したばかりの勉強会「文化芸術懇話会」が25日に開いた初会合の席上、「(政権に批判的な)マスコミを懲らしめるには、広告料収入がなくなるのが一番」と口にしたのは大西英男氏(68)。東京・江戸川区議会議員、都議会議員を経て2期目の衆院議員だ。国学院大学在学中から自民党議員の秘書をするなど、卒業後も政治の世界に身を置いてきた。

自民党議員から飛び出したトンデモ暴言に身内からも厳しい声が続出

自民党議員から飛び出したトンデモ暴言に身内からも厳しい声が続出

 実はこの大西議員、昨年4月に行われた衆院総務委員会で、維新の党(現・無所属)の浪速のエリカ様こと上西小百合衆院議員の質問中に、「まず自分が子どもを産まないとダメだぞ」とヤジを飛ばし、物議を醸した張本人なのだ。約3カ月後に問題が発覚した当初は「記憶にない」とシラを切り、最終的に自らの発言であったことを認め、上西議員に謝罪している。傑作なのが自身の当時(昨年7月4日)の日記(ブログ)に「私は、今後、自らの発言について十分注意していかなくてはならないと肝に命じている」と書いていること。十分注意していたはずの今回の発言だった。

◇国会議員とは思えない暴言

 さすがに反省していると思いきや、26日の自身のオフィシャルサイト上には「一部の新聞が報道したような、マスコミを規制したり党内議論を封殺することを目的に開かれた会合では決してない」とし、メディアの偏向報道をひとしきり批判したうえで、こう結んでいる。

「私たちは、そういった報道の誤解を丁寧に解き、国民に説明していく必要がある」

 政界事情に詳しい関係者は「大西議員の釈明文を見ると、現在国会で審議されている安保法制に対し、一部マスコミが野党と一緒になって、『徴兵制』や『戦争』につながると不安をあおっているなどと批判している。書き込み自体は、表現の自由もあるので百歩譲って許せるにしても、マスコミを懲らしめる手段としてスポンサーの広告収入ウンヌンに言及したのは、全く次元が違う問題。国会議員、それも与党という権力側にいる議員が決して口にしてはいけない発言だった。まさに言論封殺につながる暴言。もはや彼の発言は言論の自由を完全に逸脱している」と手厳しく断罪する。

 この大西発言と同様、「テレビのスポンサーにならない。これが一番こたえる」と暴言を吐いたのが、同じく会合に出席していた井上貴博氏(53)。彼は福岡1区選出の2期目の衆院議員で、獨協大学卒業後、父の地盤を引き継いで福岡県議となり、その後、国政に進出した。大西氏同様、「私自身、報道規制や企業に圧力をかけるという考えはありません」と釈明しているが、なぜこれほど大問題になっているのか、果たして当人たちにはわかっているのかどうか…。

◇党幹部からも批判続出

 会合に出席した議員は37人、そのうち少しは政治を知っていれば、認識できそうなのが内閣官房副長官の加藤勝信、党総裁特別補佐の萩生田光一両衆院議員の名前ぐらい。前出の大西、井上両議員、さらに同会代表を務める党青年局長の木原稔衆院議員以下、知名度は限りなくゼロに近い議員ばかり(文末参照)。だからなのかもしれないが、本サイトでもおなじみの政治ジャーナリストのX氏はこう解説する。

「安保法制審議では、メディアから批判の多い安倍さん。そこで、少しでも安倍さんに気に入られるよう、点数稼ぎをしようとでも考えているのだろう。ただ経団連に圧力をかけて、安倍政権に否定的な新聞や雑誌の不買運動にまで言及するなど、もうメチャクチャ。まるで共産主義国家の言論統制にも匹敵する暴言。恐ろしいのは、出席した37人のうち、同調する議員は多くても、批判が全く起きなかったこと。これが日本の国会議員、いや政権与党の議員だとすれば、若手だから許されるのではなく、将来を担う若手だからこそ、日本はいよいよ危険な方向に進んでいくようで怖い」

 当然、野党は反発した。民主党の岡田克也代表が「まあおごりでしょうね。自分たちに権力があると。そしてメディアを自由に左右できるというおごりの結果の発言だというふうに思います」といえば、維新の党の今井雅人政調会長も「これが事実とすれば、言論統制をする独裁政党と言わざるを得ない」と批判。ただ今回ばかりは身内であり、味方であるはずの自民党幹部からも「主張の仕方にも品位が必要かなという感じはいたします。『何で今、そんなことを言うの』というようなことは、ないようにしてほしいと心からそう思っています」(谷垣禎一幹事長)、「誰が言ったか知りませんけど、そういうことはね、そこにおった責任者(会合の代表者の木原議員?)がトータルとして責任を取るべきですよ」(二階俊博総務会長)と厳しい批判が飛び出した。また連立与党を組む公明党からも「スポンサーをどう選ぶかというのは、これは企業の選択であってですね、まあそれに政治が直接働きかけるようなことは、これは断じてあってはならないことだと思うし、言論の自由、報道の自由というものはしっかり尊重すべきだというふうに思います」(井上義久幹事長)というように、当然ともいうべき苦言が呈された。

 会合の代表である木原議員は記者からどのような話があったか聞かれ「記憶がないです。いろいろな意見が、多種多様な意見があったような」と明言を避けた。「記憶にない」…どこかで聞いた様な言葉だが、くどくなりそうなのでこれ以上は突っ込むまい。

◇独裁政権のそしりを免れない

 自民党幹部、また与党公明党幹部からも批判された今回の暴言。安倍首相は「事実なら大変遺憾」と述べたうえで、問題発言を行った議員の処分を野党側から問われると、こう答えた。

「いろんな自由闊達な議論があります。党としては党としての考えがあるわけでありまして。それはまさに言論の自由というのはですね、民主主義の根幹をなすものだ、尊重しなければならないということであり、実際我々は尊重しているわけでございます。その一つ一つの意見、誰が何かを発言したことをもってですね、処罰をするということが果たしていいのかということではないか、と思います」

 処罰に関しては否定したが、前出X氏はこう糾弾する。

「言論の自由の範囲内であれば、安倍さんの言うことも一理あるが、今回の発言は言論封殺、言論弾圧につながりかねない看過できない驚愕発言だ。かつての自民党であれば、マスコミが騒ぐ前に自浄作用が働き、即刻、問題発言をした議員は処分されていた。さすがに虐殺まで犯していないのでナチスと同じとまでは言わないが、国会での安定多数という数の論理を振りかざし、強引に国会運営を推し進めたり、今回のような権力を笠に着せた発言が飛び出すようでは、独裁政権のそしりを免れない」

◇百田氏の暴言は冗談だったと強調

 さらに今回の会合では、講師として安倍首相とも昵懇の仲と言われる作家の百田尚樹氏が招かれていた。その百田氏に出席議員の一部から普天間基地の辺野古移設で揉める沖縄について「沖縄の世論を正しい方向に持っていくにはどうすべきか」という質問がなされた。百田氏の答えが、これまた大きな物議を醸した。常々、政府の進める基地移設に対し、論調が厳しいと言われる地元メディアの沖縄タイムズと琉球新報を意識して、こう言い放ったのだ。

「沖縄の二つの新聞社(沖縄タイムスと琉球新報)は潰さないといけない」

 当然、名指しされた沖縄メディアは「言論の自由、報道の自由を否定する暴論だ」と猛反発。これに対し、X氏はこう話す。

「正論を言えば、百田氏にも言論の自由はある。自身のツイッターでつぶやいたり、著書などで持論を展開することは許せるだろうが、自ら安倍さんと近しい間柄にあり、まして今回は権力側にいる自民党議員たちと一緒に『沖縄の二つの新聞社を潰せ』と声を上げたも同然。冷静な判断ができる人なら、こういった発言はしないハズ。焼きが回ったとしか思えない」

 これは言いすぎたと思ったのか、その後の自身のツイッターで「沖縄の二つの新聞社はつぶれたらいいのに、という発言は講演で言ったものではない。講演の後の質疑応答の雑談の中で、冗談として言ったものだ」と説明した。ただ、続けて「しかし、その部分だけ文字で書かれると、百田尚樹はキチガイに見えるなあ。そう見えるように書いているのやろうけど」(原文ママ)とメディアを批判した。

 徐々に牙を?くように、その横暴さが目に付き始めた自民党。果たして、このような政党に我々の未来を託していいものなのか。今こそ国民、有権者は真剣に考えなければいけないのではあるまいか。ただ何度も説明するが、自民党にかつてのような自浄作用があり、そして国民の幸福を第一に考える政党であるならば、本サイトも喜んで応援したい。ぜひその日が来ることを願いたい。

 参考までに、25日の文化芸術懇話会の出席議員は下記の通り(敬称略)

 【衆院議員】

 青山周平(愛知12)、池田佳隆(愛知3)、石川昭政(茨城5)、井上貴博(福岡1)、大岡敏孝(滋賀1)、大西英男(東京16)、大西宏幸(大阪1)、岡下昌平(大阪17)、鬼木誠(福岡2)、加藤勝信(岡山5)、木原稔(熊本1)、熊田裕通(愛知1)、今野智博(埼玉11)、酒井学(神奈川5)、佐々木紀(石川2)、白須賀貴樹(千葉13)、薗浦健太郎(千葉5)、高鳥修一(新潟6)、谷川とむ(大阪19)、田畑裕明(富山1)、長尾敬(大阪14)、萩生田光一(東京24)、藤原崇(岩手4)、星野剛士(神奈川12)、堀井学(北海道9)、宗清皇一(大阪13)、前田一男(北海道8)、松本洋平(東京19)、宮川典子(山梨1)、宮沢博行(静岡3)、武藤貴也(滋賀4)、簗和生(栃木3)、山下貴司(岡山2)、山田賢司(兵庫7)

 【参院議員】

 滝波宏文(福井)、長峯誠(宮崎)、宮本周司(比例)


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1 Response

  1. 日本男児は 心に帯刀を (A.H.)月光

    日本人は誤った議論をしている

    (題): 真実を見落とすな! 亡国勢力の誘導で日本人は誤った議論をしている

    安保法制・集団的自衛権は違憲である、自衛隊は戦力だから違憲である・・・と主張する多くの憲法学者や9条護憲を連呼する国会議員・一般国民には肝心な言葉が抜けています。

    ★『(アメリカが日本に充てがった)憲法に違反しています』と言うべきです。

    つまり、独立国として日本国は当然に拒否しなければいけない筈の条文と(安保法制・集団的自衛権・自衛隊)を比較しているという、とんでもない過ちをしていることに国会議員・新聞・TV・学者・一般国民の誰もが気付いていないのです。

    投稿日2015年7月1日 PM 1:39

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