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「クレーマー天狗」~震災20年

2015年1月24日(土)10時50分更新

 アラカン(還暦)ならぬアラサン(傘寿)世代の本サイトご隠居顧問が、あらゆる話題に斬り込む『クレーマー天狗』。今回は先週の土曜日に、被災20年の節目を迎えた阪神大震災を振り返り、ご隠居はしみじみとこう感じた。「大災害のたんびに『忘れない』と誓うんだけれど」――果たして本当に忘れちゃいけないのは誰なんだろう、と。今週はイスラム国関連の事件があったにせよ、1週間経ってすでに阪神大震災の話題はほぼ消滅した。やるせない思いのご隠居節が静かに始まった。

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防災対策がしっかりできていれば、甚大な被害は防げたはず

防災対策がしっかりできていれば、甚大な被害は防げたはず

「あの悲劇を繰り返すな」「教訓を後世に語り継ごう」「家族を失った悲しみを忘れない」などなど、阪神大震災から20年目の去る1月17日、新聞もテレビも一斉に地元の追悼行事をはじめ、日本は祈りに包まれた。同時に東日本大震災の被災地など各地で慰霊の行事が行われた。東日本大震災からの4年の間にも広島市内で大規模な山崩れがあり、多くの犠牲者を出している。大地震、大津波が生み出した数え切れないほどの苦しみや悲しみを、私たちは忘れようとして忘れられるものではない。それなのに、相変わらず悲劇や苦痛を伴う大災害はこれからも起こり続けるだろう。

 確かに、冒頭の標語や掛け声を単なる空念仏に終わらせてはならないことくらい、筆者のようなボンクラ頭にも十分理解はできる。でも、人間同士が起こす戦争なら、「二度と繰り返してはいけない」とも「教訓を後世に語り継ぐ」とも言えるだろうけど、この決意をそのまま自然災害を相手に叫んだところで、天の神様や仏様は聞き届けてくれるだろうか。

 70年ほど前、太平洋戦争に負けた我が日本人は、「一億総ざんげ」なんて口にしながら、家族を失った悲しみを焼け野原を眺めつつ、そして腹の皮が背中にくっつくような空腹にも耐えながら、誰を恨むでもなくわが身にムチを打って生き抜いた。たとえもっとも「ざんげ」すべき人物達が、隠退蔵物資の横流しでのうのうと暮らしていることを知っていたとしても、数を頼んだ暴動などを起こさず、焼けたトタンで雨露をしのぎ、芋やカボチャの葉っぱや蔓まで食って飢えをしのぎながら、我が家と祖国の復興に力をささげてきたのだよ。その時、みんなが「戦争なんて二度とご免だ」「この教訓を子や孫に語り継ぐ」「家族を失った悲しみを誰が忘れるもんか」と思っていたさ。だれに言われなくったって、家族を引き裂かれた悲しみや苦しみを忘れてたまるかってんだ。

◇本当に忘れちゃいけないのは

 大体だよ、「一億総ざんげ」なんてばかばかしいことを言いだしたのは誰なんだ。戦争で犠牲を払って悔しい思いをさせられた人たちでは絶対にない。戦争の責任を負うべき連中が責任を薄めるために言い出したに違いない。今回の『阪神大震災20周年』だって、新聞やテレビが標語みたいに繰り返す「忘れない」ウンヌンも、何やらお仕着せっぽい匂いが鼻に付くんだよね。わざわざ、マスコミや行政の世話にならくったって、こんな大きな悲しみや苦しみを忘れる人がいるもんかってんだ。こんな安っぽい標語みたいなものは、そっくりそのまま政治家や官僚に突き返してやろうじゃないの。「本当に忘れちゃぁいけないのはあんた達だろ」って。防災なんて個人で出来るもんじゃない。国や地方自治体が予算をつぎ込んで災害に強い国にしてほしい。どこかの〝号泣議員〟のように「もらった金は返しにくい」なんて言わせるようなカネを有効に防災に回したらどうか。最近、こんな話を聞いてあきれ返っている。東日本大震災で家を失った高齢者が、いま住んでいる仮設住宅から追いたてを食っているという。罹災から4年で資格を失うらしい。ご本人たちは「この歳で…」と途方に暮れているとか。オイッ! どこの市長か村長か知らないが、地元の国会議員ともども「出てコイヤッ!」。

 


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