「テレビって奴は」~フジの低迷②
傘寿の大台まで、残り1年を切った本サイトご隠居顧問が物申す! いつも「テレビはわれら年寄りの最大の親友。だからこそのお節介な忠告です」というご隠居が、前回に引き続き視聴率争いで大苦戦を強いられるフジテレビを独自目線で分析した。〝夢をつくる〟はずなのに、〝楽しさ〟ばかりを追求した結果…振り向く相手さえいなくなった。
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断っておくけど、以下の記述はすべて筆者の超個人的な所感であって、褒めてあってもけなしていても、どうか一笑に付してお許しいただきたい。また、間違ってお役に立てたとしてもお礼など一切受け取りませんのであしからず(笑い)。さて、そこで、前回の続きがどうしても書きたくなった。なぜ、あのフジテレビがテレ東の後塵を拝することに相成ったのか…をもう少し掘り下げて見ることにする。
◇〝ポンせんべい〟番組の量産がアダ
誰の提案かは知らないが、フジテレビは「面白くなければテレビじゃない!」という、超大胆な旗印を掲げて視聴率レースを爆進していた時期があった。折からのバブル景気を追い風に、バラエティーやお笑い番組などが視聴者の乾いた心にすんなりと受け入れられたのだ。当時はどの局も同じような風潮だったと思うが、フジテレビの「面白番組」は『笑っていいとも!』を筆頭に、どこか垢ぬけていたようだ。
間もなくお笑いタレントを売りまくったY興業が株式を上場して話題を呼んだり、歌手やアイドル専門の大手プロダクションがお笑いタレントも抱えるようになっていった。超売れっ子のアイドル歌手を出演させる代わりに、燻っているお笑い芸人を別の番組に出させるという〝バーター取引〟が白昼堂々? と行われるようになって、これがまた膨らませるだけ膨らませた〝ポンせんべい〟のような中身のないお笑い番組を増産することに繋がった。えっ! ポンせんべいってなんだって? いけねェ、歳がばれちゃったか。じゃあ、爆弾アラレならどうだ。
こうなるってぇと、もうどうにも止まらないって奴で、往年の名プロデューサー・横沢彪氏だの、三宅恵介氏など、大物タレントを顎で使える人たちの出番がなくなって、テレビから消えていく。お笑いタレントの側からすれば、今まで頭を押さえつけられていた人物がいなくなって、自分の思い通りの番組が作れる。しかも、収録時間が短く、経費も格段に安く出来上がる。大喜びしたのはお笑い芸人だけじゃない。テレビ局も手を叩いて喜んだに違いない。しかも、プロデューサーもディレクターもいないのに、タレントを含めたプロダクションがわが物顔で企画から制作までやってくれるとあっては…ねぇ。
◇平家でさえ冷静さを欠いた
「悪貨は良貨を駆逐する」という諺通りの現象が起こってなんの不思議もない。本人は悪貨と気がつかないまま、「面白くなければ…」の旗印を振り回す。その結果…。私のようなクソジジイに指摘されるまで気がつかない人たちばかりの集まりとは考えていないのはもちろんだが、あの平家でさえ落ち目になるとすべてに冷静さを欠いて敗れたではないか。さて、ここいらで結論に入る。
「面白くなければ」の大義名分でなにを失ったか。それは「感心、感激、感動」の3感だよ。この三つの栄養素を、安手な〝笑い〟が吹き飛ばしちまったのよ。テレ東もテレ朝もこのことに気がついて3感番組に力を入れ始めている。例えば『大改造? 劇的ビフォーアフター』という地味な番組を日曜の夜7時から投入しているし、テレ東は『和風総本家』で日本の伝統技術が世界中を驚かしている事実を伝え、最後にその道具を使う外国人と、それを作った日本の職人さんを涙で結びつけたり…。「3感無ければテレビじゃない」って言い替えてみたら? 今からでも遅くはないと思うけどね。
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