うなぎは国産? それとも中国産?
29日は土用の丑の日、連日続く猛暑に打ち勝つためにも、ここはうなぎを食べて滋養を付けたい。暑さと裏腹に懐は寒いという、そんな庶民の強い味 方が国産に比べて半値以下の外国産、中でも最大産地の中国産ではなかろうか。ところが丑の日を目前に、上海福喜食品のずさんな衛生管理が発覚。もちろん肉 と魚の違い、さらに中国の食品会社がすべてそうだとは言い切れない。しかし繰り返される中国企業の裏切り行為に「信用しろというほうが無理」との声もあ る。食うべきか食わざるべきか、それが問題だ。
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水産庁の統計では今年、5年ぶりに国内のシラスウナギの漁獲量が増え、とくに危機的状況だった昨年(5.2㌧)の約3倍(16㌧)と大幅に増えた。今年は安心して思う存分うなぎが食べられると思っていたら、大間違い。
◇シラスウナギ豊漁でも値段は高値安定
「稚魚であるシラスウナギが成長するには1年はかかる。豊漁の恩恵を受けられるのは、秋以降になるのでは」(大手スーパーの魚介売り場担当者)ということで、残念ながら価格は高値安定で期待したほど落ちていない。
東京都内(台東区)のあるうなぎ店の店主は「常連さんのなかには、『豊漁って聞いてたから少しは安くなると思っていたけど、相変わらず高いねえ』と嫌味を 言われました」と苦笑い。夏が終わるころに、少しは安くなるのではないかと予想され、「秋の土用丑(10月21日、11月2日の2日間)には仕入れ値も安 くなるだろうから、その時にはお客さんにも何らかの形で還元したい。それまではごめんなさい」とこの店主は頭をかいた。
うなぎに大枚はたける家庭はいいが、やはりこの夏も庶民は中国産に頼らざるを得ない。実際、国産、中国産の両方を扱うオリジン弁当では国産(鹿児島産)のうな重が1890円に対し、中国産は890円(ともに税込)と半額以下と安い。
また前出・台東区のうなぎ店は国産(静岡産と鹿児島産がメーン)のうな重で3300円(税別)するが、うな丼の並盛で吉野家が740円(税別)、すき家が730円(税込)で食べられる。
◇手間暇かけなければ安全でおいしいウナギは食べられない!?
問題は安全性だ。天然物は別にして、日本では養殖でも徹底した水質管理のもと、病気に弱いといわれるシラスウナギを育てていく。ところが中国では手っ取り早く大量の薬剤を投入して、水質を保つところが多いと言われている。
そのためすき家を運営するゼンショーのように、薬を使う場合は決められた方法で使用し、安全性を確保、養殖を始める前から合計11回に及ぶ検査をしており、国内の養殖より管理は厳しいとアピールする。
もちろん中国産=危険というわけではない。まして、うなぎの自給率が20%の日本にあって、うなぎを食べたいなら中国産に頼らざるを得ないのが現実だ。
「た だ中国産であれ国産であれ、少なくともうなぎと表示してあればうなぎです。今回の食肉問題の加工肉のように、交ぜられればどんな肉なのかわからなくなるの とはわけが違う。あとは中国産の安全性を信じ、食べる食べないかはお客さん次第でしょうね」(前出スーパーの担当者)。
いまや中国産どこ ろか国産だって、産地偽装などで100%信用していいかどうかわからない時代だ。心底安心してうなぎを食べたいというのなら、もはや高知の四万十川まで 行って、天然ウナギを釣り、自らかば焼きにするしかない。ただ泥抜きしたり、さばいたり…、はたまた紀州の備長炭をおこして焼き上げる。タレだって、老舗 のうなぎ店のそれは何十年、なかには100年以上も継ぎ足して使っているものもある。食の安全性を極め、おいしいうなぎを食べるのは、考えている以上に険 しい川、いや山を登りきらなければいけないのだ。
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