コラム『テレビって奴は』~韓流ドラマの「またこれか」アイテム①
傘寿の大台まで、残り1年を切った本サイトご隠居顧問が物申す! いつも「テレビはわれら年寄りの最大の親友。だからこそのお節介な忠告です」というご隠居が、今年もテレビ界に喝を入れる。と思っていたら新年早々、浮かぬ顔。何でも大好きだった韓流ドラマが嫌いになってきたという。題して「私の愛する韓流ドラマ『またこれか』アイテム」――繰り返される韓流手法にご隠居が注文を付けた。
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年甲斐もなく韓流ドラマに嵌って5年もたつだろうか。きっかけは中国(張家口)旅行でロープウエー待ちをしている時、同じグループの女性たちからこんなことを聞かれた。〇〇さん(筆者のこと)は韓流ドラマの女優さんで誰が好きですか?」。4~5人のオバサマ達の会話が途切れたのか、それとも70を過ぎたジイサンをからかい半分に話に引き込みたかったのか。頂上に向かうロープウエーの乗り場までは大行列。たっぷり30分は待たされそうだったので、旅は道連れとばかり、知ったかぶりでニュースやゴシップで知った『冬のソナタ』のチェ・ジウの名をとっさに挙げた。
案の定、オバサマたちから笑いとともに「わぁ、古い~ッ」という、嬉しそうなコーラスが聞こえたっけ。「じゃぁ、『チャングムの誓い』は見てないんだぁ。今はもうチェ・ジウじゃなくて、イ・ヨンエの時代。日本へ帰ったらぜひご覧になってネ」。こちとら、チャングムどころか、冬ソナだって一度も見たことないのに、そんなの知ったことか…と思ったまま忘れていた。
◇韓流ドラマにどっぷりはまる生活
前置きが長くなってゴメン。そんな無責任男がふと、思い出してチャングムとやらを2~3回見たのが運の尽き。(そんなバカな!)(まさか、このオレが)(あのオバサン達とは違うんだゾ)などと火事場の野次馬よろしく傍観者を気取っているうちに、自分の家に火がついちまった。以来、あれも、これもと録画機を駆使しつつ、多い時には1日に7~8本も見る〝中毒症状〟に陥っていた。
ハングルを発明した王様『太宗大王』のシリーズから発して『イ・サン』『イニョン王妃の男』『インス大妃』など一連の王宮もの、『イルジメ(一枝梅)』『快刀ホン・ギルドン』などの時代劇、そして『アイリス』『ソル薬局の息子たち』『ゴールデンタイム』といった現代劇へ。朝刊をまっさきにテレビ欄から広げ、韓流ドラマを探して赤鉛筆で印をつけては片っ端から録画予約をする。
ある日、もっとも楽しみにしているドラマを予約のし忘れで見そこなった悔しさから、録画予約は1週間単位で洩れのないように用心深くチェックするようにもなった。
◇またこの手か…
病膏肓(こうこう)、時折嫁ぎ先からやってくる娘にはバカにされたり、韓流マニアとしては大先輩の姪ッ子とは40年ぶりに会話が弾むようになったり…。そして、自分自身は「やっと時間をつぶせる趣味が持てた」と、結構、満足はしていたっけね。とくに、テンポのいい展開で見せる医学もの『ゴールデンタイム』や、セリフのやり取りがお洒落で歯切れのいい『紳士の品格』は気に入ったものの一つだ。
だが、竹島に李明博前大統領が上陸したのはそれほどでもないが、韓流ドラマを多く見るにつれて「またこの手か」という同工異曲の筋立てや、大企業の社長が暴力団を使ってライバルを脅したり、証拠隠滅のために現場周辺の防犯カメラから記録を消させたり…。こういうことが重なるうちに私の中での韓流離れが始まった。毎日楽しみにしてきた韓流ドラマをこれ以上嫌いにしないためにも、韓国の監督さん達への激励を兼ねて、「この辺のことにご一考頂きたい」と、あえて苦言を呈してみよう。(この項つづく=お楽しみに)
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