不定期連載「コトワザウルス」~『井戸を掘った人の恩』と『歴史認識』の強要
アラカン(アラウンド還暦)ならぬアラサン(傘寿)世代の本サイトご隠居顧問が世に伝わる諺、名言(迷言?)、ご託宣…などなど言葉の数々をクローズアップしてお届けする不定期コラム「コトワザウルス」。最近話題の大韓航空の「ナッツ・リターン」騒動を見ていて、ご隠居顧問は〝ある言葉〟を思い出した。と同時に韓国には、どうも日本人には理解しがたい国情があるようで…。
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思うことがあって昨年、奈良の古寺を回ってきた。のっけは当然の決まりのように大仏さまが鎮座まします東大寺から。懐の事情もあって団体ツアーへの参加だが、そのおかげで東大寺だけの専門のガイドがついた。この70がらみの男性ガイド氏、何回も繰り返すようにこう言った。「世界遺産に登録されている世界最大の木造建築物がここに聳え立っているのは、ひとえに8世紀中ごろ建築、鋳造の技術を持って渡ってきた百済の国の職人さんたちのおかげです」と。後に2度の兵火に遭ったため今の大仏殿は江戸時代に再建されたものだが、まさに〝百済さまさまです〟と言わんばかりの口調だった。
〝角さん〟こと故・田中角栄元首相は1972年「日中国交正常化」を果たした功績を評価され、当時の毛沢東国家主席、周恩来首相から「最初に井戸を掘った人の恩を忘れるな」という中国のことわざを引用、ちょっと小馬鹿にしたような但し書きがついたものの、角さんは功労者に奉られた。これは後の故・鄧小平元中央軍事員会主席には引き継がれていたが、その後はどうも怪しくなってきている気がするけどね。
ひるがえって韓国はどうか。同じく団体ツアーでの話。ソウル・南大門では「日本から遠征してきた豊臣秀吉の軍勢が、ほとんど無抵抗で逃げまどう市民を殺戮したり、重要な文化財に火を放ったり」と、こちらは40前後の女性ガイドさんの恨み節案内がほぼ一日中続く。これは前にこの欄で書いたので詳しくは省略するが、400年以上も前の話だけに、その恨みの深さに慄然とさせられたものだった。
こちらは「貴重な井戸を埋めたヤツの恨みは永久に忘れるな」と言ったところだろうか。そこでパク・クネ大統領の言う歴史認識とは何かを考えてみよう。韓国には昔から根強く伝わる「日本劣等国論」がある。平たく言えば「日本人は朝鮮から貴重な文化・文明を貰って発展しておきながら、その恩をあだで返したサルにも劣る民族」という、誰にもどうにもできない蔑視感情だ。そんなサルにも劣る民が朝鮮併合という恩をあだで返す非道を犯したことへの恨みだけでなく、近代では科学、経済、文学、芸術、料理その他もろもろの分野で韓国を凌駕していることへのねたみ、そねみ、焦りが爆発寸前にまで高まっている。そういう歴史的に形成されてきた韓国の国民感情を「日本はいい加減に理解し、世界に向けて全面的に謝罪しなさい」というのが歴史認識の骨子のようだ。
韓国では今も親日的なことを口にしたり書いたりすると、反民族的な行為として罰せられる法律があるため、韓国を代表するすぐれた学者たちは息をひそめるか、外国に脱出するしかない。そして経済はというと『ナッツ・リターン』で明らかになったように、ほんの何十人かの財閥に国の経済を牛耳られている。こんな日本ではあり得ないことが、あらゆる面でごく当たり前のようにはびこっているのだ。
恐らく両国の感情のもつれは人類が滅亡するまで解けることはないだろう。だから韓国はこれからも爆発寸前にまで達している国民の不満を「日本憎し」一本で発散させるしかないのだろう。
「人を呪わば穴二つ」。千年も前のことにこだわって立ち止まるより、少しでも前に進もうよ。さもないと、胸を借りた百済への恩返しに、日本だけもっともっと先に進んじゃうよ。
(不定期連載=次回をお楽しみに)
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