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大阪都構想否決~橋下さん爽やか会見

2015年5月18日(月)02時24分更新

 大阪都構想は否決! 大阪市選挙管理委員会によると、66.83%(当日の有権者数は210万4076人)の投票率は議員選挙などを含め、平成に入ってから最高の投票率だったのだとか。さて結果は賛成69万4844票、反対70万5585票、わずか1万741票差、まさに僅差の戦いだった。

 熱戦のもようは、ともに午後10時から民放全国ネットでは「Mr.サンデー」(フジテレビ系)、NHKは通常放送の「サンデースポーツ」を後ろにずらして特別番組を流し続けた。「Mr.サンデー」の開票速報では開票率が90%になっても賛成が優勢、NHKでは開票が始まった当初こそ、やや反対が優勢だったが開票率が10%になったあたりから賛成が逆転、その後は賛成が反対をつねに上回る展開となり、一時は2万票以上の差をつけ推移した。賛成票の優勢が続いていたこともあり、「ひょっとして、ひょっとするかも」…大阪市民や当事者たちはもちろんのこと、多くの視聴者も固唾をのんで見守っていた。

 その後、NHKの番組内では開票率は81%まで進み、それでも賛成57万1395票、反対56万5093票とまだ賛成が反対を6302票上回っている時だった。午後10時30分過ぎ、テレビ(NHK)からは「ピロロロン、ピロロロン」の電子音とともに「大阪住民投票 反対多数確実 『都構想』実現せず 大阪市存続」のテロップが映し出された。それから5分後の10時35分に今度は「Mr.サンデー」のテレビ画面から「カンカン」「カンカン」の電子音とともに「“大阪都構想”反対多数が確実否決へ」の文字が画面いっぱいに表示された。まさに「大阪都構想賛成派」そして、「大阪維新の会」、「橋下徹代表(大阪市長)」の敗北の瞬間だった。

 これを受けて、すぐさま大阪維新の会は橋下代表と松井一郎幹事長(大阪府知事)が揃って記者会見を開き、敗北宣言。橋下代表は12月の任期満了とともに大阪市長を退任し、政界からの完全引退を表明した。

 

【以下、敗戦の弁を述べる大阪維新の会、橋下代表と松井幹事長の会見(全文掲載)】

 司会 只今より、大阪維新の会、記者会見を行わせていただきます。まず今回、大阪都構想の住民投票でありますが、反対多数ということになりまして大阪都構想が実現できなくなりました。この結果を受けまして、まず橋下代表よりコメントを述べさせていただきます。

 橋下代表 大阪市民のみなさん、本当に重要な、あの意思表示をしていただきましてありがとうございます。大変重く受け止めます。え~、まあ僕が提案した、あ~、やはりこの大阪都構想、お~市民皆様に受け入れられなかったということで、え~、まあやっぱり間違っていたということになるんでしょうね。

時折、笑顔を交え、スッキリしたように敗戦の弁を述べる橋下代表(大阪市内で)

時折、笑顔を交え、スッキリしたように敗戦の弁を述べる橋下代表(大阪市内で)

 え~、まあ本当にあのよくいろんなことを考えていただいて、かなり悩まれたと思いますし、非常に、あの~思い思い判断されたと思いますけども日本の民主主義を相当レベルアップさせたかと思います。大阪市民の皆さんが、恐らく全国で一番、政治や行政に精通されている市民ではないのかなあというふうに思っています。

 またこれだけ多くの税金を投入して、この大阪都構想というものをずっと進めてきたわけです。まあ特に大都市局、大阪府、大阪市の職員、この大都市局という職員もかれこれ、その幹部は5年以上、僕に付き合ってくれているわけです。まあ大都市局以外にも関係各局の職員、相当なエネルギーを割いて、ここまで僕に付き合ってくれてですね、え~ま最後、こういう結論になりましたけども、まあ、こういうことはちょっとあの~、あまりにも納税者の皆様にとって失礼な言い方かもしれませんが、まあ政治家冥利に尽きる、う~、こういういろんな活動やらさしてもらいまして、え~本当にありがたく思ってます。まあ税金を使っているということに関してですね、その点まあ、お詫びといいますか、まあ感謝といいますか、そういう思いも持ちながら、本当にありがとうございました、ということを市民の皆さんに言いたいです。

 司会 続きまして松井幹事長より、コメントを述べさせてもらいたいと思います。

 松井幹事長 まず大阪市民の皆さん、本当にあの~、この悩ましい問題に対し、二者択一の賛成か反対かというご判断を、え~求めました。え~本当に、あの~それぞれが悩まれて判断された、結果だと思います。この結果を、まさにね、真摯に受け止め、謙虚に受け止めましてね、え~この大阪を、本当に大好きな大阪がまたね、あの~次の時代に、まあ賛成、反対、双方とも問題はあるというところは、これ出たわけですから、え~ぜひですね、え~、まあ僕らが残された任期は手いっぱい様々な問題解決に向けてしっかり働きたいと、こう思っています。

 え~本当に大阪府庁でも多くの職員が、え~一生懸命この、え~大阪都構想に向けて様々なあの~、努力をしてくれました。え~すごく、あの~まあ、ストレスもかかるところもあったでしょうし、まあその~マンパワーを割いてきた部分、え、もう本当にね、支えてくれたみんなにお礼を言いたいと思います。本当にありがとうございます。え~こういう結果を受けてね、も~あの~究極の民主主義で決まりましたから、ええこの結果を受けた中でね、しっかりとあと残りの任期働いていきたい、こう思っております。

 

【参考までに記者からの質問も一部掲載】

 司会 ハイ、それでは質問のある方、挙手にてお願いいたします。

 TBS記者 お気持ちはいま聞きましたが、負けてしまった原因は何だと分析していらっしゃいますか。

 橋下 いやあ、これは、あの~僕自身に対する批判もあるだろうし、やっぱり大阪都構想について、しっかり説明し切れてなかった僕自身の力不足ということになると思います。ね。

TBS これまでおっしゃってた任期満了で退くというお気持ちは変わりはないでしょうか。

「政治家はやりません」

 橋下 ええ、あの市長任期まではやりますけども、それ以降は政治家はやりません。えっ、これはもう前から言ってたことです。

 TBS 「政治家は」というのはこの市長とかだけではなくて、その先、政治の世界には一切ということでしょうか。

 橋下 弁護士やりますから。あの維新の党の法律顧問を雇ってもらえないかということを、さっき江田代表に言いましたけどね、「法律顧問料取りますよ」と。でも明確な返答はいただいておりません。

 TBS これから任期満了までのおよそ半年はどのような市政を運営していきたいと思ってらっしゃいますか。

 橋下 まずはあの~自民党、民主党、公明党、共産党の皆さんに、こういう結論が出ましたので、え~ぜひ、あの~話し合いをさせてくださいと、いうことをお願いしたいと思います。いまいろんな課題、い~、なかなか議会等進んでいないところもありますけれども、あの~できる限り任期満了までに進めるものは進めていきたいと。また自民党、民主党、公明党ですかね、え~その新しい改正自治法で総合区という制度を使って、もっとこの住民の皆さんに身近な行政ができるように、総合区というものを使ったほうがいいんじゃないかという提案がありましたから、そういうことについても、維新の会の市議団の皆さんとも議会で議論してもらってですね、少しでも前に進めればいいと思っています。

 TBS 最後に結果とは裏腹に、笑顔のように見えるんですが、そのお気持ちは…改めてお聞かせください。

「本当に幸せな7年半だった」

 橋下 いやあ、もうねえ、7年半、いやあ、もう本当に自分なりにやれるところはやってきたつもりです。まあ相当…38歳からやってきて、無理してきたところもあるでしょうしね。あの~もともと自分~のことで生きてきた人間が、ちょっと公の仕事でお返ししなきゃいけないかなという思いから、この政治の世界に入りましたけども、まあ有権者の皆様からすれば、「橋下お前やってきたこと、おかしいじゃないか」、「お前、とんでもないことやり過ぎじゃないか」ということもいろいろあるでしょうけど、自分なりには本当にあの~悔いのない政治家としての、これまでの7年半…まあ、あと半年ありますけどね、思う存分やらさしてもらいましたし、今日もこういう舞台で、え~、最後、こういう住民投票の結果でね、あの~政治家を辞める、ということを言わさしてもらうなんていうのは、まあ本当に、あの納税者の皆さんには申し訳ないけども大変ありがたい、本当に幸せなこの7年半だったなあと思います。

 読売テレビ記者 やはり注目度の高い部分なので、改めて繰り返しお聞きしますが、橋下さんにですけども、自身の進退についてですが…。まあ70万人の方がやはり、そのまだ、もちろん大阪都構想も賛成だということ、それから政治家としてまだまだ大阪のため、日本のため、頑張ってほしいっていう気持ちで票を投じられた方、まあこれだけいたっていうことだと思うんですが、その数を見ても投票前におっしゃっていたことと気持ちの微妙な変化とかそういうものってどうですか。

「民主主義は素晴らしい」

 橋下 いや、ないですよ。そりゃもう政治ですから。これはもう負けは負けです。あのここは公務員と違うところです。政治家ですから。あの~、ちゃんとある意味、戦(いくさ)を仕掛けてね、最後、昨日の街頭演説では完全にもう戦を仕掛けたわけですから、え~叩き潰すと言ってこっちが叩き潰されたわけですから、あの、本当に民主主義、大変素晴らしいですよ。もう本当にこの民主主義というのは凄いな、あの~これだけ多くの皆さんが…メディアの皆さんも含めて徹底的に議論してね、僕もそりゃあメディアから言われたら言い返して、こうやってきましたけど、まあここまでいろいろ、あの~議論やって賛成、反対の意見、もう徹底して、あの~いろんなところでやり合いながら、住民の皆さんも議論して、まあ結論を出したと。

 そしてこれだけのたいそうなケンカを仕掛けてですね、負けたのに命取られないという、こんな素晴らしい、あの~政治体制というのは、本当に日本は素晴らしい国だなあと思いますね。これは、ま、僕がこのまままたふつうに生きて、別の人生歩めるわけですから、絶対民主主義という、このルールというか体制というのは、是が非でも守らなければいけないですね。

 そのためにはやっぱり報道ですよ。メディアの皆さん、もう絶対に報道の自由は絶対に必要でね、僕もヤイノヤイノ、まあメディアには言っているけども、この報道の自由ってものが、この民主主義を支える根幹ですから、あ~まあメディアの皆さんにも頑張ってもらいたいし、本当にこの民主主義というものは素晴らしい政治体制だと思いますね。

 読売テレビ そうは言われてもですね、やはり過去にも発言、自身の進退についての発言、覆されたこともあるわけで。あの~覆してほしいと思ってらっしゃる、まあ有権者の方もいらっしゃると思うんですが。もう100%ないですか。

「政治家は僕の人生から終了」

 橋下 またここで2万%と言わしたいんですか? あのときは、あの~まあ皆さんね、メディアの皆さん、ご存じの通り、ちょっと僕が番組の収録をね、あの~抱えていて、も~放送用の、その~何ていうんですか、ビデオというか、放送、番組が組まれていたんで、どうしてもやっぱり、出ないというふうに言わないと放送ができなかったんで、ああいう言い方をしましたけども。いまは別にそういう何か制約がありませんから、あ~何かここである意味ウソとかね、そういうことつく必要ないので、これはもう政治家は、もう僕は、僕の人生からはもう終了です。

 読売テレビ 最後にもう一つだけ聞かせてほしいのが、とはいえ12月まで市長は続けられます。12月になって、やはり大阪の情勢であるとか日本の情勢がまた今とは劇的に変わっている可能性があります。その時点で変わっている可能性、ないとは言い切れないと思いますし、あと将来にわたってですね、例えば10年後、20年後、もう一度政治家に…っていう可能性というのは、これはある期待していいんでしょうか。

「敵をつくる政治家が長くやる世の中は危険」

 橋下 ないですよ、そんなの。まあ、あの~、お~まず一つは、え~、やっぱり住民の皆さんの、その気持ちを汲む、これ負けるんだったら住民投票仕掛けるべきじゃない。だから、まずその判断が間違っている。だから住民の皆さんの、その気持ち、考えを汲み取れてなかった。これは政治家として、もう能力、一番欠けているところです。運転能力のないものが、ハンドルを握っちゃいけないんで。それがまず一つですね。

 もう一つは僕みたいな政治家は、ワンポイントリリーフです。ようは「嫌われてもかまへん」と「嫌われてもやることはやるんだ」というような政治家は、課題が出てきたときのね、まあ一つ、そこを解決する、まあ僕はある意味実務家だな、っていうふうに自分でずっと思っててですね、やっぱり政治家っていうのは、原理原則上は嫌われちゃいけないわけでね、民主主義である以上は。ですから僕みたいな政治家が、長くやる世の中は危険です。

 だから、それはやっぱり、あの、みんなからある意味好かれる、敵がいない、そういう政治家が本来政治をやらなければいけないわけで、敵をつくる政治家は本当にワンポイントリリーフで、まあそれが求められている、その時期に必要とされて、いらなくなれば、いらなくなれば、もう交代、と。権力なんていうのは使い捨てが一番いいんですよ。あの~それがもう、本当に民主主義のですね、健全な民主主義です。そんな権力なんていうのが僕みたいな政治家が、敵をつくる政治家がずーっと長くやるなんていうのは、世の中にとって害悪です。


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