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愛煙家は真っ青!? 東京都知事が禁煙条例検討を明言

2014年8月17日(日)11時58分更新

 これ以上、いじめないでくれ! 愛煙家たちの悲鳴が聞こえてきそうなほど、またぞろ禁煙がクローズアップされ始めた。8月1日に日本マクドナルドが全店舗で禁煙を始めたかと思えば、ついに首都東京も禁煙に向けて動き出した。いま一度、愛煙家、嫌煙家双方から意見を聞いてみた。

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 フジテレビの情報番組「新報道2001」の17日の放送では、日本の観光立国化に向けた特集が組まれていた。その中で東京都の舛添要一知事は都としても様々なインフラ整備を行っていることを解説。外国人に評判の悪い電線の地中化や、公衆無線LANの整備に関しても触れ、2020年の東京五輪までには「絶対やる」と意気込んだ。

◇都知事が禁煙条例検討を示唆

 そこに一部の出演者から舛添知事に対して「世界の大都市で、飲食店内が禁煙になっていないのは日本(発言まま=東京?)だけですよね。これはオリンピックまでにやんないといけないんじゃないでしょうか」と問いただした。

 すぐさま反応した舛添知事は「都議会の皆さんの協力も得てね。議会でキチンと条例を通せば(禁煙は)できますから、これやりたいと思いますね」と前向きな姿勢を示し、早ければ9月に行われる都議会を目指し、条例案を練る方針であることを明らかにした。

 もし条例が施行されることになれば、自治体では2010年の神奈川県(神奈川県公共的施設における受動喫煙防止条例)、2013年の兵庫県(受動喫煙の防止等に関する条例)に次ぎ3例目となる。

 ちなみに神奈川、兵庫両県とも条例に違反した喫煙者には2万円以下の過料、施設管理者には神奈川県が5万円以下、兵庫県は違反の内容で3段階(30万円以下、20万円以下、10万円以下)の過料が科される。全面禁煙か分煙かの分類も両県で多少違いはあるが、もし首都・東京でも条例が施行されるとなると喫煙者の肩身はさらに狭くなりそうだ。

◇愛煙家から怨嗟の声

 ほんの四半世紀ほど前までは、JR東海道線など、在来線の車内でもスパスパたばこを吸えたし、ほのぼのとしたホームドラマの中でさえ、医者がたばこに火をつける場面も珍しくなかった。

「だれ一人、疑いも、批判もせずにその光景を眺めていたのにね。今じゃ、アニメ(2013年公開の宮崎アニメ「風立ちぬ」)の中に喫煙場面が出てきただけで、〝未成年者の喫煙を助長する〟って批判される。暮らしづらい世の中になったもんだよ。ついに東京にも〝魔の手〟が伸びてきたかと思うと悲しくなる」と苦笑するのは東京・練馬区在住のAさん(65)。喫煙歴は半世紀を超す。

 Aさんだけではない。ある出版社に勤めるアラフォー編集者のBさん(喫煙歴21年)はこう言って、いまの嫌煙の流れを批判する。

「もう80歳を超えたある有名人は、背は高くないけど、いまだ100㌔はあるんじゃないかと思うくらい立派な腹回りをしている。その方は今も変わらず夜遅くまで銀座を飲み歩いてはたばこも吸う。たまに行きつけのスナックで会ってあいさつするけど、我々なんかよりよっぽど元気。たばこが健康に悪いって言うなら、この方がなぜ元気でいられるのか説明してもらいたいもんだよ」

 そう言いつつもAさん、Bさんがともに胸を張るのは、たばこから得られる総額年間2兆3500億円(2012年)に及ぶ国家財政(たばこ税による財源)への貢献度。

「いい? つい10年前は1箱280円だったセブンスターが、度重なる値上げで今年4月にはとうとう460円になった。これほどの値上げに耐え忍び、国家財政に貢献しているんだから、少しは感謝してもらいたいよ。なんたって、たばこ代の実に6割超は税金なんだからさ」(Bさん)。

◇条例なんか生ぬるい、禁煙法要求の声も

 最近の嫌煙運動を禁煙ファシズムだと批判する向きもあるが、「やはりたばこには多くの有害物質が含まれ、がんなど様々な病気を引き起こす。吸いたい人は勝手に吸えばいいが、やはり受動喫煙に苦しむ非喫煙者を煙害から守るには条例は必要不可欠」と話すのは都内のある内科医Cさんだ。

 こんな主婦もいる。

「アイス買おうと子ども(3歳)を連れて、近くのコンビニに行こうと外に出たら、途端に風に乗ってたばこのにおいがしてきたんです。10㍍ほど先を見るとコンビニの入り口前で、灰皿を囲むようにサラリーマンや学生、それにOL5~6人がたばこを吸っていました。アイスは断念。子どもはぐずりましたが、あんな煙が立ち込める中、子どもを歩かせたくないですからね」(横浜市内の主婦)。

 この主婦は怒りが収まらないのか「神奈川県には禁煙条例がありますが、あったってこれですからね。分煙ってことなんでしょうが、全然役に立っていない。条例なんて生易しいものではなくて禁煙法のように法律で縛ってほしい」とまで言い出した。

 禁煙ついでにいえば、最近話題となったのは、あの鶏肉問題で大きな批判を受けた日本マクドナルドが、8月1日から全国3135店舗(7月31日現在)で全面禁煙を実施している。

 消費者サイドの反応は「家族連れには朗報」、「これは応援するために行かなければ」と好意的なケースも見られたが、「たばこを吸うヤツを締め出すって、差別じゃないか」や「たばこが健康に悪いっていうけど、じゃあ腐った食べ物はいいのか」などの批判も少なくない。中には愛煙、嫌煙には関係なく「マックの利用者って結構、喫煙者が多かった。それでなくても鶏肉問題で売り上げ減らしているのに、さらに喫煙者を締め出して客足失ったらどうすんだろう。潰れないだろうか」(都内の大学生)と心配する向きもある。

 1970年に男性82.3%、女性15.7%だった喫煙率が、2013年にはそれぞれ32.2%、10.5%まで低下した。この結果を見ても愛煙家の主張は通りづらい世の中になっているが、「結局、いまだ路上喫煙だ、吸い殻のポイ捨てだと、最低限のルールさえ守れない喫煙者がいるのも確か。恐らく、そういう人たちいなくならない限り、世の中の嫌煙の流れは止まらない」というのは前出Cさんだ。

 東京都は果たして条例案を通すのか、また通すとしたらどのような条例になるのか。秋の都議会は要注目だ。


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