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政治家ミシュランガイドが世界を救う!?

2014年3月28日(金)11時13分更新

 

 8億円の一部で熊手を買った? そんなバカな! 大新聞は鬼の首を取ったように渦中の政治家を叩いている。「そりゃあおかしいさ」、教わらなくとも中学生くらいになりゃあ、そんな言い訳見抜けぬはずはない。そうじゃないでしょ。猪瀬直樹前東京都知事をはじめとした最近の政治資金問題、今回のみんなの党代表の渡辺喜美衆院議員しかり、世間ではクリーンなイメージで通っていた政治家が揃って金銭問題で叩かれた。その信用失墜は、まさに奈落の底ではあるまいか。でも、見た目、真面目そうな政治家たちがこうだったら…。悪い奴ほどよく眠るではなかろうが、じゃあ清廉潔白な政治家ってどれほどいるのだろう。そこで一つ提案を。「俺は一流政治記者だ」「私ほど政治の世界を知り尽くしたジャーナリストはいない」と胸を張る政界スズメの皆々様、皆様の公平な目と取材力をいかして、ぜひミシュランガイドの「政治家版」を作っていただけないものか。「国会便覧」なんかより、よっぽど参考になるハズ。って三ツ星獲得する政治家は何人いるだろう。いや、そもそも星が一つでもつく政治家は皆無だったりして。 ――――――――◇――――――◇――――――◇――――――◇――――――◇――――――

 

8億円の使い道を聞かれた渡辺代表は熊手を買ったと釈明した(写真は本文とは直接関係ありません)

8億円の使い道を聞かれた渡辺代表は熊手を買ったと釈明した(写真は本文とは直接関係ありません)

 渡辺代表が化粧品販売会社のDHCの吉田嘉明会長から8億円の借り入れをしたとして大問題に発展している。同代表は3億円と5億円を二度に分けて借り入れ、資産報告書に記載した借入金と借入金残高のそれぞれ額が違うことを認めたうえで「事務的ミス、訂正したい」と記者会見で陳謝した。

◇見苦しすぎる言い訳

 さらに同代表は「個人的な借り入れで、違法性はない」と主張したが、借り入れた時期が2010年参院選と12年の衆院選の直前だったため、「政治資金ではないのか」と記者団から当然の質問が飛んだ。これに対し、「私が政治家として生きていく上で必要な諸々のモノに使いました。会議費や交際費、旅費など政治資金を使うにはふさわしくない支出もあります」と主張し、あくまで個人の借金を主張する同代表が、さらに詳細を聞かれて出した答えが振るっていた。 「私はよく酉の市にまいります。かなり大きいアレ(熊手を差すものと思われる)を買ってまいります」――誰もが「熊手?」と絶句して、ズッコケた瞬間だった。

 仮にかなり大きな熊手を10飾、20飾買ったところでせいぜい100万円、200万円程度、8億円の使い道を説明するには説得力に欠ける。政治資金以外で、果たして借金までして億単位の金銭が必要な状況とはどんなときだろうか。一般論で考えれば、保険の利かない高額医療を受けるとか、闇の勢力に脅されたとか、離婚等の慰謝料で想像以上の額が必要になるとか…まあ熊手よりは、これらのほうがシックリくる。言うに事欠いて、熊手とは…。「渡辺代表の風ぼう通りオチャメな答弁ね」では済まされない。それでも「臆面もなく堂々と言ってのけた。政治家らしいと言えば政治家らしい」というのはある政界関係者。

 28日、徳洲会から5000万円を受け取った問題で、東京地検特捜部に公職選挙法違反(収支報告書の虚偽記載)で略式起訴された猪瀬氏とどう違うのか。 「もともと市民団体が政治資金規正法違反で猪瀬氏を告発したことに始まり、世論の高まりもあって地検はこの告発状を受理。さらに徳洲会サイドが政治献金だったと認めたことで略式起訴まで至った。まずどこかが告発しない限り、うやむやにされる可能性はある」というのは前出の政界関係者。

 猪瀬氏が5000万円で都知事の職を辞したうえ略式起訴、片や8億円借りてうやむやのうちに幕引きでは世論が黙っていない。 「世論の高まり次第だと思いますよ。猪瀬さんの場合、あらゆる力が働いて、頼んでもいないのに猪瀬さんのネガティブキャンペーンが張られ、世論も引きずられるように、猪瀬降ろしに傾いた。あそこまでやられると、さすがの東京地検も見て見ぬふりはできないからね。渡辺さんの場合、そこまでいくかな」

◇鍵を握るDHC会長

 ところがここにきて急転直下、DHCの吉田会長が、一部メディアの取材に答え、渡辺代表への貸し付けが政治資金だったと答えたのだ。12年の衆院選で「5億円必要だ」とする渡辺代表からの借金要請メールが残っていることを明かし、そのうえで渡辺代表に党首、議員辞職を促した。また元都議の男性が公職選挙法違反容疑で東京地検に告発状を提出、地検が受理すれば捜査が開始されることになる。

 猪瀬前知事のときもそうだが、渡辺代表も吉田会長の告発がなければ一切表に出なかった案件だ。「熊手発言」も手伝って、いよいよ窮地に立たされる渡辺代表に、さらに追い打ちを掛けているのが与野党問わず寄せられる政治家たちからの批判。渡辺代表の胸中を代弁すると「アンタたちに言う資格があるのか。それこそ前都知事たった一人の略式起訴程度で幕引いたようだが、徳洲会マネーに群がった政治家は猪瀬さんだけじゃないだろうが」という反論だろう。

「政治家の金銭の流れは、今回のように当事者の告発があれば別だが、表に出ない裏金は今でも存在する。実際問題、渡辺さん、猪瀬さんを真正面から批判できる議員がどれほどいるか。例えばX議員やP議員。皆、うまくやっているよ」というのは、かつてある衆院議員の政策秘書を務めたことのある政治ジャーナリストA氏だ。

 ちなみにX、P両議員の名前を聞くと「それはちょっと…」とお茶を濁すので、ジャーナリストであれば、それこそ渡辺代表の問題がクローズアップされている今こそ、実名報道するべきだと突っ込むと、「そう単純な問題じゃない。それこそ100%確実な証拠をつかんだうえで、世論を完全に味方につけて報道しなければジャーナリスト廃業だけじゃ済まない話」と歯切れが悪くなった。

 A氏を責めるつもりは毛頭ないが政治記者、ジャーナリストの職責は、本来、政治家を監視し、悪政を正すことにある。ところが政治家と近しくなるにつけ、勘違いする記者も少なくない。特に全国紙の政治部記者は社内でも一目も二目も置かれる花形部署で、自ずとエリート意識は強まる。勢い政治家に転身する記者もいる。それでもかつてはロッキード事件やリクルート事件、東京佐川急便事件など、政治部に限らず社会部、経済部の記者たちが主導して暴いてきた政界事件は数多い。

 さて渡辺代表のこの問題が今後、どう進んでどう幕を引くか、しばし様子見を決め込むが、見渡せば猪瀬前知事、渡辺代表など比較にならないほど怪しげな政治家は数多い。「100%の証拠がつかめない限り、政治家の暗部は暴けない」というのであれば、せめて金銭問題、下半身問題…あらゆる角度から政治家個々人を評価するミシュランガイドのような指南書でもできないものか。ぜひ人一倍政界事情を知り尽くしていると胸を張る政治部記者や政治ジャーナリストの皆さんの力を結集して出版してほしいものだ。国民にとっては選挙時のバイブルにもなるし、ベストセラーになるかもしれない。それこそ日本版だけじゃなくアメリカ版、フランス版…本家ミシュラン並み、ギネスブック並みに世界に拡大させていけば…ノーベル平和賞受賞も夢じゃない!?


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