集中連載『テレビって奴は』第12回~韓流ドラマ論・その2~
あと○年と●ヵ月で傘寿を迎える本サイトご隠居顧問が物申す! いつものように「テレビはわれら年寄りの最大の親友。だからこそのお節介な忠告です」というご隠居顧問の小噺連載『テレビって奴は』の第12回は、前回に引き続き韓流ドラマに焦点を当てた。ご隠居独自に分析した結果、「韓流ドラマ」ヒットの源流は意外なところにあった!?
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また70年前のはなしだが、当時のおいら貧乏人のガキ共の楽しみと言えばマンが本か紙芝居くらいだった。ガキを集めるための拍子木が鳴るってぇと、何をさておいてもいつもの定位置に駆け付けた。あまり早く行き過ぎるとおやじから「いつもタダ見ばかりしてないで、たまには水あめくらいは買ってくれよ」なんて言われるから、おれっちは物売りタイムが終わり、紙芝居がはじまる頃を見計らってそっと他の子の後ろに立つ。紙芝居は初めがマンガ、次が母ものなどの悲しい話、メーンイベントは『黄金バット』『少年王者』『少年探偵団』などの人気シリーズという構成。
ちなみにその後超売れっ子劇画家となった山川惣治氏、作家兼評論家の加太こうじ氏はこの時代の紙芝居業界で苦労しながら世に出た人たちだ。
◇客を引き付ける鍵は吉川英治の宮本武蔵
いつの時代の子供も同じで、ガキは飽きっぽく、わがままで、移り気だ。一回手を抜いたり、演じ方が下手だったりすると別の紙芝居に走るから、紙芝居屋のおっさんはお客のガキどもを引きつけるため、主人公や脇役たちをどう演じるかに腐心していたようだ。だから、おっさんたちは演技力はもちろん、物まねから声帯模写から何でもこなす町の名タレントと言ってよかった。
紙芝居作家も明日の客を引き付けるための話の切り方、つなげ方のツボをよ~く心得ていた。この技術が菊田一夫の『君の名は』の〝これでもか、これでもか〟のすれ違いに生かされたとも見るが、では、この紙芝居の技法はどこから来たのか。これもおいらの独断だからアテにはならないが、吉川英治の『宮本武蔵』に辿りつく。ストイックに剣の道を追求して全国を放浪する剣豪・武蔵。そしてその武蔵を仇と追う本位田又八の母親・お杉ばばと又八の許婚者・お通。お通はいつしか又八より武蔵を思い焦がれるようになるが、何度もあと少しと言うところで行き違いになったりで、全集を読むおいらなんか、喉を掻きむしりたくなるくらいイレ込んだもんだった。
◇人間いくつになっても原型はガキ
おいらが今、韓流ドラマにズッポリ嵌っているのは、三つ子の魂百までのことわざ通り、三つ子の魂の部分を盛んにくすぐられてるんだろうね。もちろん、これもおいらの独断だが、紙芝居や宮本武蔵のエキスやマジックを絞りとって粉末にしたものを、韓流ドラマの脚本や映像に振りかけているんじゃねぇかなぁ。人間、70になろうが80になろうが、そのジジイ達の原型はガキなのよ。だから、ガキの時代にほれ込んだものを目の前に突き出されたら、つい手が出ちまうわけさ。それがたとえ「お通」じゃなくったってね。
あっ、いけねぇ、紙芝居で寄り道しすぎて紙数が尽きちゃった。これから韓流ドラマの本題に入ろうというところなのに…。そう、年寄りだって「ごっこ遊び」も好きなんだぜ。見てごらんよ、第2次安倍内閣を。「みっちゃんもよっちゃんも、みんなおいでぇ、僕とおママゴトしようぜ」みたいな『おママゴト内閣』だって。いや、これおいらが言ったんじゃないよ。
というわけで、次回も韓流ドラマ論を…。(本サイトご隠居顧問=次回もお楽しみに)
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