元夕刊紙記者たちが、井戸端会議感覚で読者の皆さんに話題のニュースを広く浅く、たまに奥深く提供します

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　あと○年と●ヵ月で傘寿を迎える本サイトご隠居顧問が物申す！　いつものように「テレビはわれら年寄りの最大の親友。だからこそのお節介な忠告です」というご隠居顧問の小噺連載『テレビって奴は』の第１３回。今回から数回にわたり、ご隠居独自の目線で韓流ドラマがもてはやされる幾つもの謎に迫った。韓流ドラマって、いつのまにか引き込まれちゃうんだよね、これが…。早速、いってみよう！

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韓流ドラマは日本の名作ドラマに通じるものがある！？（写真は松竹から発売される「君の名は」のＤＶＤ）

◇重宝な言葉

　韓流ドラマを何百本とみているうちに、いくら物覚えの悪い年寄りでも、単語の１０や２０は覚えられる。おいら月謝はらってカルチャー・スクールで韓国語を何時間か習ったことがあるけど、このとき教わったものは、さっぱり残っていないのに…不思議なもんだ。で、ドラマで覚えた単語の中で、日本語にはないチョウ便利な言葉が、第６回に書いた〝アイゴー〟だ。

　ドラマを見るまで、アイゴーって、号泣する時に口にするものだとばかり思っていたのに、いろいろな意味を持ち、いろいろな場面で使われる重宝な言葉だって言うこと、韓流ドラマ・ファンならとっくにご存知ですよね。おいらの推測で言うなら、英語の〝オー・マイ・ガッド〟に相当すると断定しても、それほど見当違いではなかろうて。悲しい時も苦しい時も、驚いたり感心した時もこのアイゴーが飛び出す。しいて貧しい日本語で対抗すれば「マジかよ」くらいしか思いつかない。でも、こっちの方はせいぜい５０年前後という歴史の浅さだ。おぉ、アイゴー！

◇いつの間にかドラマに引き込まれる

　ところで、おいら韓流ドラマがなぜ、これだけ日本の視聴者に支持されたのか、その最大の要因を発見した。『君の名は』で春樹と真知子の二人が１０㍍と離れていないのに、上と下の道を通ったため、見事にすれ違う場面では、視聴者（その頃は聴取者）の多くは身をよじるように、またラジオに向かって身を乗り出すように「あっ、春樹さん！　そっちじゃないッ、下よ、下、下ッ」。

　つまり、いつの間にか聞く人たちのほとんどをドラマに参加させちゃっていたわけ。韓流ドラマ（現代劇）の場合はどうか。主役（善玉）が敵役（かたきやく）に繰り返し、繰り返し騙されたり罠にかかったり、あるいは苦心して手にした証拠や証人を、敵役に先回りされて潰されたり、こんな場面が２回続くと、３回目には視聴者が「あっ、そんなとこに大事なものを置いちゃだめっ！　またあの女にやられるじゃないの」と身を乗り出したところで、まんまと敵役にしてやられる。「ほらぁ、あたしが言った通りでしょ。もうやだっ」なぁんて。また、別のパターンでは、行方不明になった認知症の老母を必死で探している時、『君の名は』のすれ違いよろしく１０㍍の差で別の道に泣き別れとなるシーンでも視聴者は「あっ、そっちじゃないっ！　こっちだってばぁ」。

◇視聴者を引っ張り込む有効な手法

　こんなことが、一つのドラマで何回繰り返されるか。そのたんびに「次の回も見てやらないと、あのお母さんが心配で、心配で…」で、また翌日もテレビの前に座り込むという寸法だ。ドラマの作り方としては古典的だが、老若男女をもれなく引っ張り込むには有効な手法だろうね、この手は…。やたらギャラの高い女優さんを何人も使って制作費がかさみ、その割に数字（視聴率）が上がらず、だんだん本数を減らしていく日本のドラマの担当者は、ぜひ一度でいいから、韓流ドラマを見てこのあたりのコツを「もう一度学びとってみてはいかがでしょうか」。

　あっ、いけねぇ、これってお節介なアナウンサーの決め台詞だったっけ。「あなたも一度お出かけになって（召し上がって）みてはいかがでしょうか」ってやつね。

　　　　　　　　　　 ?　　（この項つづく。本サイトご隠居顧問＝次回もお楽しみに）