集中連載『テレビって奴は』第16回~韓流ドラマは〝当分〟不滅です~
あと○年と●ヵ月で傘寿を迎える本サイトご隠居顧問が物申す! 「テレビはわれら年寄りの最大の親友。だからこそのお節介な忠告です」というご隠居顧問の小噺連載『テレビって奴は』の第16回は、連日続いた韓流ドラマの魅力についてのひとまず最終話。ご隠居はしみじみとこう言った。「恐るべし、韓流ドラマは〝当分〟不滅です」と。
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◇細かいことにこだわってはいけない
韓流ドラマを見ていてときどき噴き出すことがあったっけ。
①ある主役家族が乗った車の中で母親が怯えた声でこう叫ぶ。「お願い、怖いからスピードをもっと落として!」と。その切迫した表情から、一般道で時速80~90㌔くらいの速度で走っているんじゃないかと想像していると、リアウインドーから見えていた路線バスがこの車をあっと言う間に追い抜いていっちまったじゃねぇの。これだと、ソウルの市内バスは少なくとも100㌔を超える猛スピードで走りまくっていることになる。いわゆるスクリーン・プロセスによる車内撮影のシーンだが、日本ならこんなの最悪でも編集段階で発見されて直されるはずだけどねぇ。
②大企業の経営者や大財閥の豪邸がしばしば出てくるが、その家族を演じる人物が興奮してドアを乱暴にばたん! と閉めると、立派に作られたはずの壁が安普請よろしくグラグラ揺れることがある。また、高層ビルに入っているはずの大企業の社長室、会長室のドアも例外ではない。そう言えば、画面に出てくる豪邸も会社も、その外観とか門構え、会社ならロビーとエレベーターまでで、後はすぐセットとして作られた室内シーンにはいってしまい、間取りや部屋の位置関係など最後まで分からずじまいだ。
③主役級の女優さんがコーヒーショップの店内から一旦姿を消す。話の途中でトイレに入ったんだろう。そして、元の座席に戻ってきたと思ったら、彼女の服装が微妙に変わっていることがある。「喫茶店から自宅に帰ったとも考えられないし…」と、ない知恵を絞って推理したが分からない。恐らくこれはスタイリストのうっかりミスだと思うけどね。
断っておくけど、こんな細かいことにこだわっていては、韓流ドラマなどおちおち楽しんじゃいられない。ここは広い心で見ないふり。さらりと流しておかないとその間に大事な字幕を読みそこなってストーリーの展開を見失ったら大変だ。
◇この世のものとは思えない数字
ところで、韓流ドラマの話を一旦終わるにあたって、なぜここまで日本のテレビに歓迎されたのか。その謎をおいらが解くまでもないよね。当然、安い割に数字(視聴率)が取れるからだ。何とも恐ろしいのは、日本で作られるドラマが1クール(10本)2~5億円。これに対し韓流の放映権料は20~30話で5000万円とバカ安。なのに、取れる数字たるやもう化け物級なのよ。
例えば15年前に放映された時代劇『ホジュン(宮廷医官への道)』が63.7%(韓国国内=以下同)、翌年の『テジョワンゴン』が60.2%、いま放映中の『愛は歌に乗って』28.0%と、まさにこの世のものとは思えぬ視聴率。これじゃ、ばかばかしくて日本でドラマを作ろうなんて気にならないよ。悪貨は良貨を駆逐するとまではいわねぇが、この分だと、紅白歌合戦だってどうなる事やら…。
(韓流ドラマシリーズは一旦終了=引き続き『テレビって奴は』の次回をお楽しみに)
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