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AKB48シングルの新記録樹立に「?」

2015年5月20日(水)11時58分更新

 AKB48のニューシングルが、またまた新記録を樹立したのだとか。純粋にファンだから、応援しているから、一刻も早く聞きたいから購入するのが音楽CDの役割のはず。ふつうは1枚買えば十分なのに、この新記録、相変わらず1人何十枚、何百枚、何千枚も購入するAKB商法のたまものだとすれば、果たしてその数字を額面通り受け取っていいものか。改めて検証してみた。

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 人気アイドルグループAKB48の40枚目のシングル「僕たちは戦わない」(20日発売)が、この日入荷初日に147万2375枚を売り上げた。これは19日付オリコンシングルランキング(デイリー)で初登場首位に輝いただけでなく、同グループがちょうど1年前、「ラブラドール・レトリバー」(146万2156枚)で記録した史上最多シングル初日売上枚数を1万枚も超す新記録を達成したのだ。初日に100万枚超の、いわゆるミリオン達成は、同グループとしてこれで9作目、デイリーランキング1位達成は2008年8月の「言い訳Maybe」以来、28作連続の快挙だという。

◇いつもは手厳しい夕刊各紙も骨抜き

 一応、AKBファンではない読者のために解説すると、この新曲は〝塩対応〟(ファンに対して冷たい対応をすること)がポリシーという島崎遥香がセンターを務める曲で、CDには6月6日に福岡・ヤフオク!ドームで行われる「第7回AKB選抜総選挙」に投票できるシリアルナンバーが付録についている。このシリアルナンバーがクセ者で「CDやDVDを購入すると付いてくるAKB(グループ)メンバーとの握手券などと同様、AKB商法で真っ先に問題視されるいわゆる抱き合わせ商法のような存在」というのは消費者問題に詳しい専門家。

AKB48のニューシングル「僕たちは戦わない」(通常シングルAタイプ)

AKB48のニューシングル「僕たちは戦わない」(通常シングルAタイプ)

 実際、何が問題かというと、総選挙の順位はこのシリアルナンバーの投票数が大きくモノをいう。投票数が多いほど総選挙に出場するメンバーの順位は上がる。そのため自分が応援するAKBグループ(AKB48、SKE48、NMB48、HKT48)のメンバー(通称=推しメン)の順位を、少しでも上位に食い込ませるため、シリアルナンバー入りのCDを1人で10枚も20枚も、中には百枚、千枚単位で購入するツワモノもいるという。さらにAKBのシングルでは、ジャケットやカップリング曲を微妙に変えることで、一つの曲なのに何種類もの商品が存在する。今回もタイプAからD、劇場版と5パターン用意されており、熱狂的なAKBファンほど、少なくとも数パターン、全パターンを購入することになるという。

「最近はこの複数パターンの発売はAKBだけでなく、他の歌手やグループでも見られる現象だが、それでもおおむね2パターン。AKBのように4種類も5種類も出すなどあり得ない。本来なら、大問題になるところ、まあそこは総合プロデューサーの秋元(康)さんの幅広い人脈とその力で、あらゆる業界を抑え込んでしまった。それに今やAKBはカネの成る木で、抱き合わせ商法だ、悪徳商法だなどとは決して言わせない。何より、様々な業界がいまやAKBにおんぶにだっこの様相を呈していて、あらゆるマイナス批判は、すべて完全無視。さわらぬ神にたたりなし状態が続いている。スポーツ新聞はもはやAKBとの関係はズブズブだし、いつもは手厳しい夕刊各紙だってAKBマネーに完全に骨抜きにされてしまっている」

◇いまやカードローンのCMにも登場

 話は少々横道にそれるが、長年流通業界を取材してきたジャーナリストX氏はAKBの功罪をこう語る。

「いまや全く違和感はなくなってしまったが、4年前にメンバーの一部が銭形平次のパチンコ台に登場し、その翌年にはAKBそのもののパチンコ台が登場した。未成年さえ所属するアイドルグループが、それこそ依存症の問題や脱税などマイナスイメージの強いパチンコ業界とタッグを組むなど、10年前はまず考えられなかった。お陰でパチンコ台は大ヒットするし、パチンコ業界のイメージもかなり上がったといってもいい」

 パチンコだけではない。X氏が思わず天を仰いだというのは、最近頻繁に流れるCMだという。

「ビックリしたのはレイクのCMにまで、AKBメンバーが登場したこと。確かに今は銀行系(新生銀行)のカードローンの位置づけとはいえ、ひと昔前の消費者金融だし、もっと前はサラ金といわれ、庶民から高利でカネを巻き上げるイメージの強かったCMだ。今はグレーゾーン金利の廃止など法外な金利を取れなくなったとはいえ、スズメの涙程度にしかならない預金金利と比べれば、今でも決して低くない金利だ。借金はしないに越したことないはずなのに、彼女たちが登場することで、借金のイメージがどんどん明るい方向に進んでいけば、これはこれで問題だろう」

 話は戻るが、いまでも批判が少なくないAKB商法。その手法でいくらCDの売り上げ枚数の新記録と騒がれたところで、「まさに〝鼻白む〟とはこのこと」(本サイト愛読者の東大大学院生)。

 ちなみに同日発表されたデイリーシングルランキングの2位はE‐girlsの「Anniversary?」で2万9641枚、3位がApinkの「LUV‐Japanene Ver.‐」で2万5800枚。AKB48(147万2375枚)がどれほど突出した数字かわかる。音楽業界関係者は苦笑しながらこう話した。

「もちろんレコードの時代からジャケットを大事にするファンはいて、ジャケットを保存するためにCDを買うファンもいるが、それはあくまでも一部。いまはCDを購入するというより、単純に好きなアーティストの新曲を聞きたいなら、そのまま携帯端末にネットからダウンロードしたほうが、手間が省けて聞く時も便利。言ってしまえば、オリコンランキングなんてものは有名無実化してしまい、AKBが記録更新したところで、もはや説得力も新鮮味もない。今後は『これはあくまで参考記録です』とでも注意書きを添えたほうがいい」

 たかがAKB、されどAKB…このように本サイトでも記事にするということは、まだまだ需要があるということだけは確かなようだ。

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 【第7回AKB選抜総選挙速報】

 ちなみにこの日、「第7回AKB総選挙」の投票速報の発表があり、暫定順位が発表された。参考までに20位(16位以内は選抜圏内)までとその他の主要メンバー(本サイトの基準)の順位は下記の通り。

 1位=指原莉乃(3万8151票)

 2位=柏木由紀(3万3426票)

 3位=渡辺麻友(2万9924票)

 4位=松井珠理奈(2万6901票)

 5位=山本彩(2万2532票)

 6位=高橋みなみ(2万1900票)

 7位=島崎遥香(1万7921票)

 8位=兒玉遥(1万5722票)

 9位=柴田阿弥(1万5667票)

 10位=北原里英(1万4476票)

 11位=谷真理佳(1万2324票)

 12位=宮脇咲良(1万3169票)

 13位=宮澤佐江(1万2225票)

 14位=松村香織(1万1746票)

 15位=渕上舞(1万1637票)

 16位=高柳明音(1万1382票)

 17位=坂口理子(1万516票)

 18位=渡辺美優紀(1万90票)

 19位=二村春香(1万54票)

 20位=横山由依(8667票)

 (その他の主要メンバー)

 60位=峯岸みなみ(4719票)

 76位=高城亜樹(3886票)

 80位=大家志津香(3635票)

 圏外=梅田彩佳


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