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April , 2024
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WANTED! オットちゃんを探せ!

2015年1月30日(金)03時20分更新

 オットちゃんを探せ! いま、オットセーのぬいぐるみの行方を追って、懸賞金までかかった大捜査網が敷かれている。オットちゃん? オットセーのぬいぐるみ? 懸賞金? いったい何のことなのやら。実はこの話、「ぜひ井戸端新聞でも呼びかけてください」――横浜市内の主婦(40代)から届いたそんなメールから始まった。

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横浜市役所前で配られたオットちゃん捜索のビラ

横浜市役所前で配られたオットちゃん捜索のビラ

 メールの内容を読むと、東京都内の女性会社員Aさん(35)が長年大切にしていたぬいぐるみを落としてしまい、途方に暮れているという。何でもツイッターで呼びかけたり、紛失した周辺でビラを配って、必死に探しているが見つからない。ぬいぐるみは白いオットセーで、体長が約25㌢、首にはネックレスが掛けられている。本サイトでも呼びかけてほしいというものだった。

◇血眼になって探したが…

 読者のせっかくの情報やお願いは、可能な限り聞くのが本サイトのモットー。早速、当事者のAさんに話を聞いた。

 Aさんの趣味は「下手の横好き」と謙遜する風景スケッチ。昨年11月22日(土)、友人と2人で横浜を訪れ、横浜スタジアム近くの街路に陣取り、黄色に色づく銀杏並木をバックに、いつも持ち歩くぬいぐるみをモデルに絵を描いて過ごしたという。スケッチの出来に満足して道具と、そしてぬいぐるみをカバンにしまい、500㍍ほど歩いた先にあるビアカフェに入った。椅子に座ってカバンを膝に置いた瞬間、がく然とした。

「オットちゃんがいない!」

 ぬいぐるみの名はオットちゃん。すぐに落としたことに気づき、ビールも飲まずに、友人と2人で今来た道を戻り、血眼になって探し歩いた。すでに辺りは暗い。最寄りの交番には捜索願(紛失届)を出し、友人は午後6時から2時間ほど捜索に付き合ってくれた。さすがにこれ以上は迷惑をかけられないと先に帰ってもらい、その後は一人っきりで植え込みはもちろん、ゴミ置き場もくまなく探し回った。終電ギリギリまで粘ったが、結局オットちゃんは出てこなかった。Aさんは帰りの電車の中で、「どうして落としたことに気づけなかったんだろう」、「いまオットちゃんはどうしているだろう」…考えれば考えるほど胸にポッカリ穴が開いたような虚脱感に襲われた。

 オットちゃんと初めて出合ったのは、Aさんがまだ小学校低学年のころ、家族旅行で訪れたカナダ・バンクーバーの土産物屋だった。ひと目見た瞬間、あまりの可愛らしさに足が止まり、昨年他界した祖母におねだりして買ってもらった。それ以来、30年近く、肌身離さず一緒に人生を歩んできた。「私は大きくなり、オットちゃんは白い姿がやや灰色にくすんでしまいましたが、私にはかけがえのない家族…いやお守りのような存在です」

◇どれほど励まされているか

 朗報を待ち続けても、警察からはオットちゃんが見つかったという連絡はやって来ない。何か手立てはないかと考え、12月には10万円の謝礼をうたったビラを作成し、紛失エリア内の横浜市役所前で行われていた炊き出しで配布した。同時に「missingOtto」(オットちゃんが行方不明=https://twitter.com/MissingOtto)というユーザー名でツイッターも開始、するとたちまち「私も20年以上連れ添ったぬいぐるみがいます! ほんとにかけがいないものですね。家族ですもんね。どうか早くみつかりますように」や「以前、私も生まれた時から今もずっと一緒で旅行なども共にする大切なお人形をなくしたことあります」などAさんを支え、励ますようなコメントの輪が広がった。

 ただ残念ながらいまだオットちゃんは見つかっていない。「そろそろ諦めるしかないかもしれませんね」と落胆気味に話すAさんも、「皆さんの心優しい言葉に救われています。どれほど励まされているかわかりません。本当にありがとうございます」と嬉しそうに語る。

 本サイトにメールをくれた主婦は、こうも書いていた。「子どものころから大事にしているものは、仮にそれが何であれ、もはやその人にとっては体の一部のような存在であったりします。実は私も4~5歳のころから大切にしているパンダのぬいぐるみがいて、子どもたちにバカにされながらたまに抱きしめています」

 参考までに懸賞金(謝礼)の話だが、前記のようにオットちゃんの首にはネックレスが掛けられている。ネックレスと一緒に戻ってくれば10万円、オットちゃんだけだと6万円の謝礼が支払われる。

 今の世の中、ともすれば名古屋の女子大生の起こした殺人事件やイスラム国の問題しかり、人の命でさえ重みを失いつつある。その一方でいつまでもぬいぐるみを大切にし、その気持ち大切にしてあげたいと支える人たちがいる。贅沢な願いなのかもしれないが、できれば常に優しい世の中であってほしい。まずはAさんとオットちゃんの一日も早い再会を願いたい。


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