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November , 2018
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急激な円安株高とアベノミクスを大検証

2014年9月23日(火)08時56分更新

 世間では、やれ急激な円安だ、株高だと騒いでいるが、結局は我々日本国民が(いや一般大衆と言ったほうが適切かもしれない)、それで幸福になれるか不幸になるかが最大の関心事。民主党から政権を奪還し、自民党安倍政権が発足してから、この年末で丸2年。アベノミクスを引っ提げて、華々しくデビューしたはいいが、現在、アベノミクスの成果って一体全体どうなってんだろう。景気がよくなるという触れ込みだったが、果たしてその実態は…。いま一度アベノミクスを検証してみた。

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円安株高で喜んでいるのは…

円安株高で喜んでいるのは…

「為替や株の変動は経済を知るうえで、重要な指標になる」(中堅証券関係者)というが、素人がヘタに株や為替に手を出すのは危険極まりない。営業マンの口車に乗って、始めたはいいが大やけど、など良くある話だ。史上まれにみる低金利で預けた虎の子がサッパリ増えないと嘆いて一攫千金を狙える金融商品に手を出したが最後、ヘタ打てば尻の毛まで抜かれた揚げ句、人生を踏み外してしまうことだってある。最近の急激な円安、株高でどれほどの投資家が笑顔になったのか…「まあ一部の機関投資家が大半。数十万、数百万円単位の個人投資家は仮に儲かったとしても、たかが知れている」(同)。そもそも汗水たらして手にした収入がすべてであって、欲張っては間違いのもとと考えていたほうがいいのかもしれない。

◇アベノミクスは大成功…それとも?

 余談はさておき「アベノミクスだ何だと期待を持たせた割には全っ然ッ、景気がよくならない」(東京・大田区内のサラリーマンAさん)といたるところから嘆きの声が聞こえてくる。つい半年ほど前の春闘では「6年ぶりのベア回答」、「労組の要求に満額回答」などと景気のいい話が聞こえてきたが、いまはサッパリだ。

「そりゃそうだ。ベアだ何だと浮かれていたのは大企業だけ。どだいアベノミクスは大企業や一部の金持ちだけを潤すための政策。事業者数が全体の99.7%、約7割を占める中小企業の従業員にはほとんど関係ない話。その現実に早く気付くべき」というのは経済ジャーナリストのB氏だ。

 アベノミクスを下支えするべく新たなスタートを切った第二次安倍政権だって、何とも頼りない面子ばかり。頼みの綱だったはずの女性閣僚がミソを付けっ放しで、まず高市総務相と自民党の稲田政調会長がネオナチ団体の代表者と仲よく写真に収まり、笑顔でパチリ。これが英タイムズ紙などでも報じられた。お二方とも「どういう素性なのか知らなかった」と言い訳したが、海外メディアに報じらては、御用マスコミが多い日本と違って、厳しい目が注がれている。

 また就任早々、福島第一原発を視察した小渕経産相も、地道に活動しているとはいえ、取り巻きを引きつれ、実務というより顔見せ興行。お飾り感はぬぐえない。あの「情熱の赤」で知られる松島法相に至っては、プライドだけは人一倍高いといわれる、さすがは朝日新聞のOBらしく!? 初登庁時に出迎えた法務省職員の数が少なかったと言う理由で激怒したとかしないとか…そんな話題しか飛び込んでこない。

◇政治献金復活はアベノミクスへのご褒美

「ただ安倍さんって、まったくブレていない。それにアベノミクスは決して失敗しているわけではない。着々と目的に向かって進んでいる」というのは大手情報調査機関幹部のX氏だ。X氏に言わせると、経団連が民主党政権時に辞めていた政治献金を5年ぶりに復活させたことを例にして、こう語る。

「法人税減税もそう。それに加えて円安基調。最近の円安は行き過ぎ感も多少あるが、これで喜ぶのは経団連に加盟する製造大手くらい。まあアベノミクスがこういった大企業、富裕層をターゲットにうまく作用している。ワイロと言えば聞こえは悪いが、政治献金復活はアベノミクスに対する経団連からの感謝の気持ちの表れであり、これからもヨロシクという暗黙の了解」

 それとX氏が指摘したのが「安倍さんは産業界では三菱系議員と言われ、国産ジェット機のMRJ(三菱リージョナルジェット)しかり、さらに武器輸出を解禁したのも、防衛最大手と言われる三菱重工を念頭においてのこと。露骨すぎるくらいにバックアップ体制は万全」。世界最古の財閥と言われる住友や三井には歴史や格で勝てなくても、時の権力者をバックに発展してきたのが三菱財閥。「まさに三菱の面目躍如」(X氏)。

 もちろん三菱だけではない。「新幹線の海外売り込みや何だかんだと、とにかくアベノミクスによる大企業、それも製造業を中心にしたバックアップ体制に抜かりはない」(同)という。

 行き過ぎた円安はやや修正は必要であったとしても、大企業にとってはプラスに働いていることもあり、いまの円安株高基調は、報道等で言われるほど安倍政権に危機感はないのだ。

◇日本の選挙民はおメデタい

 と思っていると、やはり一般大衆からこんな怨嗟の声が聞こえてきた。「冗談じゃないですよ」と怒りをぶつけてきたのは年に一度、有給休暇を使って、大学時代の友人たちと海外旅行に出かけるOLのKさん(30)。去年はドバイを旅し、今年はすでに1年前からハワイでショッピング&グルメと決めていたという。「去年の今ごろも円安って言われていたけど、まだ90円台だったんですからね。それからたった1年でさらに10円も円安になるなんて…。フザけないでよって感じ」

 主婦の怒りも収まらない。「もうひどいもんですよ。旦那の給料はサッパリ上がらないのに、乳製品や缶詰、生活必需品が次から次へと値上げでしょう。4月に消費税がアップした時も消費税分どころか、便乗値上げもあったのに、ここにきて円安だから何て理由でさらに5%とか10%とか、ひどいのになれば20%以上の値上げ。来年は消費税10%でしょ? いくら何でもひどすぎます。日本は一体全体、どうなっているのかしらね!」と吐き捨てたのは横浜市内の主婦B子さん(42)だ。

?7月に上値をつけてやや下降し始めていたガソリン価格も上昇に転じ、さらに光熱費の値上げなど、庶民の懐を直撃するような値上げラッシュが続いている。

 前出のX氏は「大体、一部の大手製造業が潤うといったところで、今の日本はサービス産業主体で、全部が全部内需拡大型の経済構造になってる。そもそもドメスティック型だから、全体で見れば円安はデメリットでしかない」としたうえで、こう解説する。

「ただこのままでは一部の富裕層だけがアベノミクスの恩恵を受けて、大多数の一般大衆が不況であえぐことになる。そうなると安倍・自民党は来年春の統一地方選挙は戦えなくなる。それで急に地方創生だとか、ローカルアベノミクスなどと言い出して、盛んに地方をアピールし出した。どう滑ったころんだしたって、1年や2年で地方が再生できることなんてことはあり得ないし、選挙が終われば、〝ハイそれまでよ〟てなもの。不思議なのは、それでも報道各社の内閣支持率が50%、60%と景気がいい数字が並ぶ。日本の選挙民というのは、メデタいとしか言いようがない」

◇弱者切り捨ての経済政策検討中

 22日、コンビニ各社の8月の売上高が発表された。既存店ベースでの売り上げは、4月以降5カ月連続マイナスの対前年同月比2.4%減の7963億円。増税や相次ぐ値上げに嫌気を差した若者のコンビニ離れが加速している結果と見られている。まさに内需拡大型の代表格のようなコンビニがこうなら、ほかは推して知るべし。

 世の中で大企業と呼ばれる規模の会社は全国に1万1000社ほどある。そのうち経団連の会員企業は約1300社。対して中小企業のそれは全国に約358万社もある。アベノミクスの恩恵を受けているのが経団連を中心にした大企業とすれば、どれほど一部の企業でしかないかわかる。

「かつてゼネコンや大手金融機関、有名電機メーカーの中にも倒産危機が叫ばれた時代があった。それも今は昔の話で、今は赤字だ、経営不振だと騒がれても、大企業に限って言えば『倒産危機』というオドロオドロしい文字が躍ることはまずない。これをアベノミクス効果と評価する向きもあるが、やはりそれは一部〝金持ち企業〟という少数派だけにメリットを与えたに過ぎない。確かに中小企業の倒産件数自体も減ってはきている。それでも毎月800~1000社程度、年間では1万社の会社が倒産する。さらに、ここにきての急激な円安基調は確実に中小企業、特に零細企業に悪影響を及ぼす可能性は大だ」(X氏)。

 さらに前出の経済ジャーナリストB氏が懸念するのは、弱者切り捨てがさらに加速する外形標準課税の対象拡大が検討されていること。「今までは1億円に満たない中小、零細企業は対象外だったが、法人減税の財源づくりのために、1億円未満の企業にも対象拡大が話し合われている。これはまさに中小、零細企業潰しの何ものでもない。アベノミクスがどれほど弱者切り捨ての政策か、これからもわかる」

◇アベノミクスの正体は国民そのもの

 かといって民主党政権時のデタラメな政権運営に戻したところで「期待外れに終わることは実証済み」(X氏)というし、B氏に至っては「そもそも日本の政党政治に期待するほうが間違っている」と専門家らしからぬ散々な物言いだ。

 図らずもX氏はこのようなことを口にした。

「日本はまさに八方塞がりの状態。たとえは悪いが、広島の土砂災害だって、あれは行政や政府の怠慢が引き起こした人災だ。事故が起きてからさあ大変と騒いで、そして1人あたりにすると、スズメの涙ほどの災害見舞金で済ませてしまう。この繰り返し。取って付けたように、全国のハザードマップで注意喚起したところで今後の土砂災害がなくなるわけじゃない。これまで同様、表面的な対策は取られたとして根本的な対策は取られない。結局、日本という国は自分の身は自分たちで守る…これしかないし、こういう国」

 何やら元も子もない結論に達したが、スコットランドの独立投票しかり。まずは民主国家である以上、国政選挙への参加は最低限の国民の義務。いくら政権運営に文句を言っても、投票に行かなければ文句も言えまい。ちなみに2012年に行われた第46回衆院選挙の投票率は59.32%、5人に2人は投票していない。スコットランドでは有権者の97%が投票手続きをし、最終的な投票率は84.59%に達したことを考えれば自ずと答えは出てくる。よく言われる表現だが「政治が三流なら国民も三流」…この言葉こそが、アベノミクスの正体なのかもしれない。


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