AKB総選挙をブッタ斬る
今年で7回目を迎えた「AKB48選抜総選挙」の開票イベントが6日、福岡・ヤフオクドームで開かれ、昨年2位の指原莉乃(22、HKT48)が2年ぶりに1位に返り咲き、2位にはこれまで3位(第3、4、6回)が最高位だった柏木由紀(23)が入り、3位は前年トップから2ランク下げた渡辺麻友(21)だった。
◇投票は1人1票に限定するべき
さて他の順位やイベントの詳細は、まさにあふれんばかりに氾濫している他媒体の情報に任せるとして、本サイトでは独自目線で、今回のAKB総選挙を振り返った。
まず「この人たちは、AKB商法のことをどう考えて放送してんだろう…そう思いながらフジテレビの中継を見ていた」というのは、かつて某夕刊紙役員だった本サイト記者のTが口を開いた。
「世間的には弁が立ち、論客と言われている連中が出ていた。何の迷いもなく、AKB商法を後押しするように総選挙を盛り上げていたけど、まさに電波芸者だな、と感じたね」
これまでもAKB商法の問題点は、本サイトでも何度か報じてきたし、一部中堅メディアやネット系メディアでも度々問題視されてきた。
「もちろん純粋に、AKBの娘たちを応援するファンの気持ちは大事にしたいし、ファンには責任はない」としながら、かつて芸能記者をしたこともある元某夕刊紙幹部で本サイト記者のKはこう話す。
「推しメン(応援しているメンバー)の順位を上げるために、1人で数枚、数十枚、中には千枚単位でCDを購入するファンがいる。銀座や赤坂のクラブや六本木、新宿のキャバクラのようにカネ回りのいい太い客ならぬ〝太いファン〟を持っている娘が上位に行くようであれば、そもそも順位自体が公平性に欠けるし、そんな方法で決まった順位など全く意味をもたないはず。もし純粋に人気投票をしたいのであれば、投票は1人1票にするべき。なぜそうしないのか、できないのか。そもそもそこが大問題なのだ」
前出のTが付け加える。
「まあ、端的に言えば大人の事情。『儲けるためなら手段を選ばず』ということだろう。もし総選挙の投票を〝1人1票まで〟に限定したら、確実にCDの販売枚数は減る。ヘタすると半分以下、いや3割とか2割まで落ち込む可能性だってある。当然、売り上げは激減する。だからこそ明確なルールは作らない。作ってしまったら、AKB商法は成り立たなくなる」
◇大マスコミはもはやブラックジャーナリズム
こんな不公平な総選挙にもかかわらず、まるでお祭り騒ぎのように、スポーツ紙を中心にメディア各社が順位予想などで盛り上げ役に徹していた。Kはしみじみとこうこぼした。
「もう40年以上前の話になるが当時、子どもの間で仮面ライダースナックのオマケのカードが大人気になった。握手券や投票のバーコードを抜き取ったAKBのCDが大量に廃棄処分されるのと同様、オマケが大事にされてスナック菓子が大量に捨てられて大問題になった。また14~5年前は、入手困難な人気ゲームに不人気ゲームを抱き合わせで販売する手法が大きな社会問題になった。AKBのCDは、本来の目的(音楽を聞くこと)を考えれば、1枚で十分役割を果たすはず。でもファンに必要以上の枚枚も買わせているということは、やはりAKB商法が〝オマケ商法〟や〝抱き合わせ商法〟に類似した商法と言える。かつてのメディアであれば、そういったエゲツナイ商法に対しては、必ず問題提起をしてきたはずだが、悲しいかな時代は変わってしまった」としてさらにこう続けた。「もはや大手マスコミと言えども、読者や視聴者離れが進み、広告出稿量もかつてほど多くはない。マスコミ各社はどこもかしこも収入減に苦しむ一方で、大助かりなのがAKBマネー。広告出稿や印刷物発行などで多くのメディアは年間数百万、数千万、億単位で恩恵を受けているところもあると聞く。言わばスポンサーの顔色伺って記事にしたり、放送しているようでは、そもそもAKB商法など批判できっこない。厳しい言い方をして申し訳ないが、AKB商法を全く問題視しない日本の大マスコミは、もはやブラックジャーナリズムと言われても仕方ないのではないか」
◇第三者がとやかく言うことではない
いやはや、いつもAKB商法には厳しくなる本サイトだが、一般読者の意見もうかがおう。
「指原莉乃って、男問題で早々に文春にすっぱ抜かれて問題になった娘ですよね。AKBって恋愛禁止と言われていて、それで辞めていった娘もたくさんいる。それなのに、どうして彼女は辞めずにいられて、そのうえ1位になんてなれるんでしょうね。それに本人も自覚しているようですが、外見も性格も全然可愛くない。多分、冷静な目で見ると、彼女は中の下ぐらいか大目に見て中程度のレベルの娘だと思います。ふつうに順位を考えれば、よくてギリギリ16位以内、へたすれば80位にも入れないかもしれません。彼女って、いろいろ才能があると言われているようですが、つくられた偶像という気がしてなりません。エッ? AKB商法ですか? CDがごみの山と化すと聞いたことがありますが、資源の無駄遣いですね」(東京在住30代の男性会社員)。
「私も投票は1人1票にすることには基本、賛成です。ですが、そんな目くじら立てることないんじゃないですか。国政選挙だったら、そりゃあ、おかしいとなるでしょうけど、順位だってファンがそれで一喜一憂して楽しんでいるんですよね。AKB商法って言ったって、興味のない人には痛くもかゆくもないし、何より、CDを大量に買うのもそれだけ、使えるおカネがある人なんですから、いいじゃないですか」(横浜市在住の40代の主婦)
4日には去年の総選挙の無効の投票券500枚をネット上で販売し、愛知県の43歳の女性から40万円をだまし取ったとして、福岡市の無職、宮崎浩二容疑者(29)が逮捕されている。NHKをはじめ、各マスコミは淡々とその事実を報じただけで、なぜ投票券がネット上で販売されたのか、また被害者がたった1人なのに、なぜ500枚もの投票券を購入したかの理由や問題点を報じたところはなかった。
「騙された女性はお気の毒とは思いますが、かわいそうとは思いません。だって私には理解できませんもの。40万円ですよ、40万円。ですからAKBのファン心理って、常人には理解できないところもあるわけです。第三者がとやかく言うことではないのではないでしょうか」(前出の主婦)。
まあ本サイトでAKB商法をいくら問題視したところで、何かが変わるわけでもない。この横浜の主婦が話すように、第三者がとやかく言うことではないのかも。皆さん、いかがお感じだろう。機会があれば、ぜひ本サイトにご意見、ご一報のほどを。