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先代ジャイアン逝く

2015年6月20日(土)01時14分更新

 世にはばかるはずのいじめっ子が、真っ先に逝ってしまった。アニメ「ドラえもん」のジャイアンこと、剛田武役で知られる声優のたてかべ和也(本名・立壁和也)さんが18日午後、急性呼吸器不全のため亡くなっていたことがわかった。

 短気で自分勝手、傍若無人に振る舞い、のび太たちをいじめていた典型的なガキ大将。でもそこは原作者の藤子・F・不二雄ワールドがつむぎ出す、家族そろって安心して見ることができるほのぼのアニメ。ところどころでジャイアンが見せるやさしい心遣いは、たてかべさんの声質とともに今もファンの耳目に残っている。

ジャイアンが逝った(画像は「ドラえもん[ジャイアン編]小学館コロコロ文庫)

ジャイアンが逝った(画像は「ドラえもん[ジャイアン編]小学館コロコロ文庫)

 奇しくも15日はジャイアンの誕生日ということで今、川崎市にある藤子・F・不二雄ミュージアムでは、「ジャイアンフェア2015」を開催中(~29日まで)。たてかべさんの訃報を受けた同ミュージアムでは「アニメ『ドラえもん』のキャラクター“ジャイアン”の声優を、1979年から2005年まで26年間にわたって担当された、たてかべ和也さんがお亡くなりになりました。多くの子どもたちに、夢を届けていただいた、たてかべさんのご冥福を心からお祈りしています」と追悼した。

 現ジャイアン役の木村昂(24)は自身のツイッター上で「今日はひとりでお酒を飲んでいます。(中略)色んな感情が押し寄せてきた。ありがとうございました」と書き込み、さらに「あとのことは、この俺様(ジャイアンが自称するときの呼称)に任せてください。あの日、不安でいっぱいのぼくに力強く、どんな言葉よりも優しくかけてくださったひと言。『あとのことは任せた。思いっきりやってくれ』という言葉を、必ず守り抜いてみせます。また、一緒にお酒を飲んでください」とつぶやき故人を偲んだ。

◇いつまでも心に残る名バイプレーヤー

 いまや中高年になった大人たちにとっても、懐かしい役柄を多くこなしてきたたてかべさん。この7月には松山ケンイチ主演で「ど根性ガエル」(日テレ系)の16年後を描いた実写版が復活する。元祖アニメ版(1972~74年放送)では番長のゴリライモ(実写版では新井浩文)を演じ、タイムボカンシリーズでは小原乃梨子(79)、八奈見乗児(83)とともに全シリーズで悪人トリオを演じた。ちなみに「ヤッターマン」(77~79年)ではたてかべさんがトンズラー、小原がドロンジョ、八奈見がボヤッキーを演じている。他にも「はじめ人間ギャートルズ」(74~76年)の主人公ゴンの相棒で類人猿のドテチンや「サザエさん」(69年~)の初代穴子さん、「ハクション大魔王」(69~70年)では魔王のご主人カンちゃんをいじめるガキ大将ゲジゴン…脇役ながら心に残るたくさんのキャラクターを演じてきた。

 アニメ「ドラえもん」の先代声優陣の中で最近、ドラえもんの大山のぶ代(81)が認知症と診断されたことが明らかにされ心配されているが、のび太(小原乃梨子)、静香(野村道子=77)、スネ夫(肝付兼太=79)を残して先立ったたてかべさん。いじめっ子は仮の姿で本当は性根の優しいジャイアン同様、きっと「オマエら俺様の分も、もっともっと長生きしろよ。死んだらタダじゃおかねえからな。わかったか。じゃあな、アバヨ」そう呼びかけているに違いない。合掌。


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