「笑っていいとも！」が笑えずに終了！？
３２年間、８０５４回の放送が終了した「笑っていいとも！」（フジテレビより）
フジテレビのバラエティー番組「笑っていいとも！」が３１日をもって３２年間、合計８０５４回の放送を終了した。夜８時からは３時間１４分のスペシャル番組「笑っていいとも！ グランドフィナーレ感謝の超特大号」も放送され、歴代の出演者たちと最後の別れを惜しんだ。同日のＪＲ山手線では同番組のラッピング電車が走り、ヤフーのトップ画面ではタモリの似顔絵が登場。盛り上がりを見せる一方で、複雑な思いで放送を見ていた視聴者は少なくない。特にスペシャル番組に対しては「見ていてイラついた」「あんな番組、公共の電波で流すなよ。内輪でやってくれよ」という批判が聞こえてきた。 ――――――――◇――――――◇――――――◇――――――◇――――――◇―――――――
??? 放送回数８０５４回、これがどれほどすごい数字なのか。単純に１回の放送を６０分として計算すると、合計４８万３２４０分になる。これは丸１日、一切眠ることもトイレ休憩もなく見続けると、実に３３５日１４時間かかる。増刊号などの特別番組を加えると、優に１年間を超える計算だ。
タモリはけがや船舶免許取得のため、休暇を取ったこともあったが、この３２年間、月曜日から金曜日までほぼ毎日出続けた。素直に「お疲れさまでした」と声を掛ける視聴者がほとんどだったに違いない。 「ただし」というのは３２年前、いいともが放送開始されたその年に、地方から大学進学のため上京したという大手製紙メーカーの幹部Ａ氏だ。いいともは授業をさぼった時などに、よく見ていたという。今はさすがに平日昼の放送は見ることはないが、それでも日曜の増刊号はたまに視聴する。「私の青春の一ページが終わるようで、スペシャル番組は帰宅後の８時ちょっと過ぎから見ました。最後まで見ましたが最低だった」と振り返る。
Ａ氏は数々の名物コーナーやエピソードなど秘蔵映像とともに、この３２年間の歴史を出演者たちと一緒に振り返るものと期待していた。ところがスタジオ出演が期待された吉永小百合は結局、映画撮影で忙しく、ロケ先からの中継となり、その後はさんまやダウンタウン、ウッチャンナンチャンなど、歴代のレギュラー陣が登場してトークを展開。 「おもしろいとか、懐かしいとかそういう次元ではなく、ただバタバタ騒がしくしていただけ。全く面白くも楽しくもなかった」
パートのない日は、昼食を取りながら見ているというＡ氏の妻は「後半、今のレギュラー陣がタモリさんに感謝の言葉を一人一人言っていました。皆、涙ながら、とくにローラさんと中居さんはボロボロ。ふだんだったら感動の涙なんでしょうけど、今日はあなたたちの涙を見たいわけじゃない。そんなの打ち上げでやってよって思わず独り言いっちゃいました。そしたらダンナが『エッ？』って」という。
ほかにもしつこいぐらいにＣＭが挿入され、トークは細切れになるし、極めつけはＳＭＡＰのメンバー全員が登場し、「ありがとう」を歌ったこと。「いいともにゆかりのある中居さん、草彅さん、香取さんの３人で歌うならわかりますが、木村さんと稲垣さんは関係ないですよね。何をしたいのかわからない番組でした」
最後は感動のフィナーレで終わったが、果たして視聴者の最終判定は「いいとも！」といったかどうか。 「演出に賛否両論はつきもの。別にフジの製作サイドをフォローするつもりはないが、長寿番組の終わりなんて、得てしてあんなもの」というのはあるテレビ制作関係者。
しかし前出Ａ氏は手厳しい。 「私は東京出たてのころ、夕方のニュースであの亡くなった逸見アナウンサーから、たまたま街頭でインタビューを受けた。それもあってフジテレビには思い入れが強く、実際、学生時代は、昼は『笑っていいとも』、土曜の夜は『ひょうきん族』に『オールナイトフジ』。その後、就職してからも『夢で逢えたら』や『カノッサの屈辱』…〝楽しくなければテレビじゃない〟ってキャッチフレーズ通りの面白い番組がめじろ押しだった。だからこそ笑っていいともの最後は、フジらしい構成で終わってほしかった」
３１日、２０１３年度視聴率で日テレが全日（６～０時）とゴールデンタイム（１９～２２時）の２冠、テレ朝がプライムタイム（１９～２３時）の１冠を獲得したが、フジは蚊帳の外。ちょうど笑っていいともが始まった８２年から９４年まで、フジテレビは視聴率１２年連続３冠という金字塔を打ち立て、まさにわが世の春を謳歌していた。そんな栄光も今や昔、隔世の感がある。「視聴率低下の理由は、いいともの最後を見ればわかる」というＡ氏の言葉が、フジテレビの現況を表しているのかもしれない。
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