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患者が生き返った!? 奇跡の82分間

2014年8月10日(日)02時51分更新

〝万死に一生を得る〟とはまさにこのこと――そんな発表が9日、愛媛県八幡浜市の市立八幡浜総合病院であった。何と82分間も心停止状態の男性が意識を取り戻し、今では後遺症もなく社会復帰を果たしているという。助けたい、助かりたい…強い気持ちがあれば、時として奇跡を呼び起こす。これはフィクションではない。実話なのだ。

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 今年2月4日午前7時半ごろ、愛媛県西予市在住のAさん(61)は自宅で背中の痛みと吐き気を訴え、近くの診療所に駆け込んだ。この時点ですでに症状が重かったため、すぐに救急車で救急搬送。ところが搬送先の八幡浜病院に到着する直前の午前9時47分、心臓が停止、重篤な状況に陥ってしまった。

 救急隊員たち、さらに心停止3分後に到着した病院内でも、医師たちによる心肺蘇生措置が取られたが10分、30分経っても心電図は平たんなまま。それでも懸命な心臓マッサージや除細動器による蘇生措置が延々と続けられた。

 1時間経っても動かない。しかし医師たちはあきらめなかった。すると11時9分、遂に心電図が反応し始めた。Aさん生還の瞬間、心臓が止まってから、実に1時間22分後の出来事だった。

 その後、Aさんは意識不明のまま愛媛大附属病院に転院し、脳を守るための低体温療法が実施された。その結果、Aさんは2月10日に意識を回復し、3月31日には無事退院した。

 Aさんは診療所まで行ったことは覚えているが、それからの記憶はほとんどないという。それでも今はスッカリ回復し、以前と変わりない生活を送っているという。まさに奇跡としか言いようがない。

 ある医療関係者はしみじみとこう語る。

「奇跡などと簡単に言うがそうじゃない。患者の生命力に頼るところもあるが、やはり大事なのはこの患者を助けたいと思う医療従事者たちの強い意思。今回は最後まであきらめなかった救急隊員、医師たちの力があったからこそ救えた命と見るべき」

 災害時の奇跡的救出劇も、救う側の救おうとする強い意思と救われる側の生きたいと願う意思が合致して初めて起こるもの。今回のような医療現場の奇跡も、これからどんどん増えていくことを願うばかりだ。

 ちなみに心停止後の回復記録は、上には上がある。日本国内では2006年4月、白馬乗鞍岳(長野県)で遭難した男性(29=当時)が心停止して2時間45分後に蘇生し、ほとんど後遺症なく社会復帰した例がある(海外ではノルウェーの6時間半という報告もある)。ただいずれも低体温症状態だったためで、常温での蘇生となれば「恐らく国内では最長記録になるのではないか」(同病院の上村院長)という。


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