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November , 2018
Thursday

まんだらけの万引き犯 素顔公開は急きょ中止

2014年8月13日(水)03時29分更新

 万引き犯に対する「まんだらけ」の顔写真公開警告騒動は、結局、公開中止で決着した。しかしこの騒動、これで終わったわけではない。万引き事件がこれほど注目されるのは異例のこと。捜査当局も、いつもの万引き事件のように、いい加減な捜査はできなくなっている。注目度満点の万引き騒動は、どう決着するのか。また決着させるべきか。

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「まんだらけ」では顔写真の全面公開中止を決めた(同店HPから)

「まんだらけ」では顔写真の全面公開中止を決めた(同店HPから)

 東京・中野にある中古漫画本&懐古グッズ販売の「まんだらけ中野店」で鉄人28号のブリキのおもちゃ(定価25万円)が盗まれたのが4日。翌5日には同店店頭とホームページ上で防犯カメラに写った犯人と思しき男性のモザイク入り画像が公開された。それとともに盗品を12日まで返却しなければモザイクを消して、素顔を公開するとする警告文が掲載された。

◇結局、犯人の素顔は公開中止

 同店では12日、改めて「盗品返却がない場合、13日午前0時から顔写真を公開する」と万引き犯に向けて警告。所轄の警視庁中野署は、同店に対し、「捜査に支障が出る」との理由で再三再四、公開を取りやめるよう申し入れており、その動向が注目されていた。

 13日午前0時、ネット上では混乱が生じていた。いくら同店のHPにアクセスしようとしてもつながらない。あまりの注目度の高さから、1時間以上も同店のHPにアクセスしづらい状況が続いてしまっていたのだ。

 結論は公開中止。「警視庁の要請により顔写真の全面公開は中止させて頂きます」と題した文章と、これまで通り、モザイクの入った写真が掲載されただけだった。ちなみに13日、午前零時に発表された文章は以下の通り(原文まま)。

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今回は予想外に多くの方たちの応援メールやお電話を頂き感謝しております。それだけ多くの一般市民の皆様が法制度や司法・警察の現状にやりきれない思いをお持ちだということも事実として多々あるのだと思います。

しかしまんだらけの基本的な方針としては、あくまでも法令遵守を基本とした上で警察の捜査に協力する立場をとらせて頂くことと、窃盗した商品を本人の良心にもとづきあくまでも自主的に返還してほしかったことを願っておりましたが、期日である12日(火)の夜になりますと、報道陣の方々が店舗のあるビルの入り口付近や店舗周りに集まって来られていて、とても犯人が入って来られる状況にはなかったということがありました。

実はその直前に犯人の身内(女性です)と思わしき方より「8時(20時)までに返せばいいのだろうか」という内容の電話があり、期待して待っていたのですが、どうも無理なようでした。

今後は証拠も十分あるので、警察の方々のお力を信じてお任せしてまいります。

重ねて今回応援して下さった多くの方々にお礼を申し上げます。

本当に有難うございました。

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◇単なる万引きが大事件並みの扱い

 当初、ツイッターなどネット上ではつながりにくいことをいいことに「遂に顔写真全面公開」、「何だ、こんなやつだったのか」などと、いかにも素顔が公開されているような無責任な書き込みが見られたが、「公開中止」が徐々に知れ渡ると賛否分かれる意見が飛び交った。

「結果としてはよかったんじゃないの」や「公開を思いとどまったことは評価できる」と好意的にとらえる意見もあったが、「無能まんだらけ」「警察の軍門に下ったか」「結局、炎上商法だったんじゃないか」といった批判的な意見のほうが多かった。中には「まんだらけの対応に皆、ふまんだらけ」とシャレた書き込みもあったが、「こりゃあ警察も本気出さなくちゃ」や「警察はこれで逃げられなくなったね」などと捜査当局に対しての書き込みも少なくなかった。

 ただ懸念されることは、あまりにも注目されたため、いつもは単なる万引き事件が、殺人事件並みに注目されていること。特に週刊誌にとっては、格好のネタ。警察が犯人を特定する前に目星をつけて報道するかもしれないし、また犯人特定後もこれだけ世間を騒がせただけに、ヘタをすると実名報道の可能性もある。

 たまたま週刊誌はお盆休みの合併号で1週間休刊のところが多く、この事件の扱いはほとんどない。

 気になるのは、まんだらけの公開中止を知らせる文章に、犯人の身内(母親)と思しき女性が盗品返却を問い合わせてきたこと。

「いたずらかもしれないが、もしこの女性が本当に犯人の身内だったとしたら」と前置きしたうえで、こう話すのは横浜市内で雑貨店を営むある男性店主だ。

「うちは何度も万引きに遭っていて、ほとんどはやられ損です。それでも中には『うちの娘がお宅でアクセサリーを盗んだようです。返すか購入させてほしい』と謝ってくる親御さんがいました。もちろん娘さんも連れてきてもらって今度やったら学校に連絡したうえで、警察に引き渡すときつくお灸を据えた上、万引きがどれだけ悪いことか説明しました。今回の件も、今はこれほど大騒動になってしまって身動きが取りづらいでしょうが、文章にもあったように犯人サイドがまず店側に連絡し、名前を明らかにしたうえで、購入させてもれえるなら購入する、また返却方法などを誠心誠意謝罪しながら打ち合わせするべきです。いまの状況では、単なる…とは私も被害に遭うことが多いのでいいませんが、万引き犯が、このままいくと殺人犯並みの扱いを受けてしまいそうで、それはそれで怖くなります」

 来週には名だたる週刊誌は休刊明けで続々発行が再開される。引きずるようなことがあれば物議を醸すことは必至の情勢だ。また警察当局も、これほど大騒ぎになってしまっては、幕の引き方も難儀しそうだ。

「犯人特定は時間の問題。被害額は25万円と多いが、ただ値付けは店側の裁量でいくらでも幅が広がる中古品。犯人がもし初犯だとすれば、店側の対応にもよるが、厳重注意で済んでもおかしくない案件だった。ただここまで公になっては、果たして…」というのは、ある捜査関係者。

◇万引き防止は急務

 もちろん万引きは決して許される犯罪ではない。ただ、それこそ万引きGメンなどを配置できるような大手小売店はいいが、中小はそうはいかない。これほど急速にネット社会が進み、かつては一般市民が手にすることのできなかった情報ツールが簡単かつ安価に手に入るようになっている。今回のまんだらけの警告もまさにそうで、度重なる万引き犯に対抗する手段として、ネットを使って断罪する。多くの支持を得たのもまた確かだ。

 またネットの急速な普及に、法律が全く追いついていないとよく言われる。だからこそ、急ピッチに法整備を進めなければ、その溝は決して埋まることはなく広がるばかり。弁護士をはじめとした法律の専門家たちは、こぞって今回の一件に、警察ではない権利者が犯人を公開しようとする〝自力救済禁止の原則〟を持ち出して、まんだらけの行為を批判した。

「だったらこのような問題が起らないよう、法律の専門家たちもそう。法改正に国会議員が必要なら、国会議員も含め早急に対応を協議してほしい。うちらだって、万引きで廃業に追い込まれてはシャレになりませんからね。いつまんだらけさんと同じような行為に走るかわからないですよ」とは前出の雑貨店店主。

 さてこの一件が、完全決着を見るには今しばらく時間がかかりそうだが、これだけ物議を醸したからには、せめて万引き撲滅のいいきっかけになってくれることを願うばかりだ。


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