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November , 2018
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朝日新聞バッシングはこのままでいいのか

2014年9月16日(火)02時13分更新

 朝日新聞叩きが止まらない。自業自得いえばそれまでだが、果たしてこの流れは国民にとって得策なのか。どうもキナ臭い匂いがして仕方がないという声もなくはない。このまま朝日を叩き続けることにどれだけの意味があるのか、いま一度検証してみた。

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まるで朝日包囲網のようなバッシング(東京・築地の朝日新聞東京本社)

まるで朝日包囲網のようなバッシング(東京・築地の朝日新聞東京本社)

「〝朝日にあらずんば正義にあらず〟そんな高慢ちきな態度が嫌われた証拠」(30年以上朝日を購読し、ついこの前契約を打ち切ったばかりの会社員Aさん)、「大上段からの俺様的な記事が多くて鼻持ちならない」(都内の私大に通う男子学生Bさん)、「新聞は全く読まないのでわかりませんが、テレビのニュースで見る限り、朝日って本当にどうしようもない新聞社ですよね」(30代OLのCさん)といたるところから朝日批判が沸き起こる。

◇朝日の犯した罪は大きい

 なぜこれだけ大騒ぎになっているか、もはや説明するまでもないだろう。原発事故に絡む「吉田調書」問題しかり、「慰安婦強制連行」に絡むセックス・スレイブ(性奴隷)問題など、誤報だ、捏造だと指摘を受け、同社の木村伊量社長がようやく謝罪会見を開いたのは記憶に新しい。度重なる誤報が、国際的に日本批判を増長させた罪は決して軽くはないのだ。

 これを受けて週刊文春や新潮といった天敵週刊誌どころか、いまでは大手紙をはじめ、NHKや民放も連日のように朝日批判を繰り返している。中には日本テレビのように「朝日新聞は信頼を回復することができると思うか」というアンケート調査を実施。「思う」(21.5%)と「わからない、答えない」(18.1%)を大きく引き離し、「思わない」が60.4%だったと殊更強調して報道した。

「吉田調書の誤報やジャーナリスト池上彰さんのコラム掲載拒否は言語道断で、中でも群を抜いてタチが悪かったのは故・吉田清治氏の証言をもとにした慰安婦問題の誤報。社長の会見では吉田証言が虚偽だったと認めながら、朝日の報道が、結果的に慰安婦問題をミスリードした点については明言を避けた。これはいただけなかった」というのは国際問題にも精通する危機管理の専門家X氏だ。

◇朝日バッシングはどうもキナ臭い

「しかし」というX氏は、過熱する一方の朝日批判に「もちろん朝日には猛省を促したいが、どうも釈然としないものがある」と疑念を持つ。

「朝日叩きに熱を上げているのは、新聞社では産経が一番ひどくて読売や毎日、さらにテレビ局もそう。誤報だ、虚偽だと騒いでいるが、果たして朝日を徹底批判することが、日本にとって、どれだけプラスになるかどうか…そのあたりをしっかり見極めないといけない」(X氏)

 15日、東京都内で開かれた講演でジャーナリストの櫻井よしこ氏、作家の百田尚樹氏、月刊「WiLL」編集長の花田紀凱氏の3人の論客がそれぞれ「朝日は全く反省していない」「最低だ」などと、朝日批判を繰り広げた。いたるところで朝日批判のボルテージは上がる一方だ。

 大手信用情報調査機関の幹部Z氏もX氏同様、「朝日にはしっかりと責任を取ってほしいが、最近の朝日バッシングはキナ臭くて仕方がない」と前置きしてこう話す。

「原発再稼働に最も否定的で、さらに第一次政権時から安倍内閣に批判的だったのが朝日だった。最近の多くのメディアを見ていると、まるで第二次大戦下の大政翼賛会に近い報道が見え隠れする。もし朝日のこれまでの報道スタンスにブレーキがかかると、権力を監視するシステムに支障をきたす。結果、国民のためにはならない」

◇朝日だけではない記者の能力低下

 本サイトの記者たちも、何人もの朝日の記者を間近で見てきている。朝日らしく? お高くとまっている記者、真面目な記者、どこをどう間違ったかナンパな記者に、よくもまあこんなデキの悪いのがいたもんだという記者…などいろいろだ。押しなべて、真面目が取り柄という記者が多い中、「オッ、こいつは…」と骨のある記者は大体、民間企業や夕刊紙、週刊誌といった他メディアからの途中入社だったりする。

 余談はさておき一時、話題にもなったが、かつて東大卒が、時には10人単位で入社してきた同社にあって、今年の記者職採用53人のうち、東大卒は何とゼロ。「遂に東大にも見放された朝日新聞」などと話題になった。

「ただこれは、あの朝日でさえという話。いまや新聞社は、どこもかつてほど優秀な人材は入ってこない。新聞社が人気職種だったのはひと昔前のこと。大学名でどうこう言うつもりはないが、無能な記者が増えれば、それだけ誤報も増える。朝日の誤報を騒ぐ前に、まずは自分たちの足元も見なければ」というのは前出X氏だ。

 朝日新聞は14日朝刊で、2012年6月に掲載した任天堂・岩田聡社長へのインタビュー記事が、同社ホームページの動画発言から無断で引用したと謝罪した。この報道を受けた同業他社は「それ見たことか」とばかりに一斉に報じた。

「もしかすると、これは朝日が同業他社に向けた嫌みなのでは。『お宅たちも、過去を振り返れば、ウチ以上の誤報があるはずだ』とね。あくまでうがった見方をすればの話だが」(Z氏)

◇世論誘導は権力者の至上命題!?

 消費税10%問題に原発再稼働問題、沖縄普天間問題など、日本の行く末を見極めるうえで大切な課題が山積している。

「朝日のこれまでの誤報や捏造は決して許せるものではないが、良くも悪くも、権力に最も厳しい目を向けてきたのも朝日。ただ権力というものは、批判勢力はいつの世も邪魔な存在。だからこそ権力に楯突くものは容赦なく叩き潰す。誤報で世論をミスリードすることももちろん怖いが、これが一番怖いと言えば怖い」(X氏)

 マスコミ各社が行った内閣改造後の最新世論調査では、軒並み安倍内閣の支持率が上昇した(共同通信=前回8月調査より5.1?上昇の54.9%、読売新聞=同13?上昇の64%)。

「経済音痴とされる小渕経産相はじめ、女性なら誰でもよかったような面々。どう見ても適材適所には思えない」(Z氏)という意見があるなか、日本テレビの「内閣改造で5人の女性大臣が起用されたことについて」という世論調査では52.0%の人が「評価する」、28.4%の人が「評価しない」と答えたという。

「さすがに世論調査の数字がデタラメとは思わないが、重要課題が多ければ多いほど世論誘導、世論形成は時の権力者の至上命題。朝日に対する異常なまでの批判が、政権運営から目をそらすために仕組まれたワナでないことを祈るばかり」とX氏は言う。

 ただ本をただせば朝日の身勝手すぎる報道と、世論へのミスリードが招いた自作自演の自爆行為。「猛省に猛省を重ねた上で、今後も権力に立ち向かっていく姿勢だけは崩してほしくない」(Z氏)。果たして朝日新聞はこれらの話をどう聞くか…決して「朝日よ、お前もか」にだけはならないでほしいものだ。


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