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甚大自然災害の危機

2015年5月30日(土)11時59分更新

 グ~ラ、グ~ラ…もしくはユ~ラ、ユ~ラ…30日午後8時24分ごろ、関東地方を中心に(震源地は小笠原諸島西方沖)、まるで船に揺られるような地震が突然襲った。マグニチュード8.5(速報値=後日8.1に修正)、2011年3月11日に起きた東日本大震災の9.0に匹敵する巨大地震だった。ただ最大震度は東京・小笠原村(母島)と神奈川・二宮町の震度5強にとどまり、東日本大震災が震度7(宮城・栗原市)を最高に震源地近くの多くの街で6強、6弱に見舞われたことを考えると、揺れは比較的強くはなかったようだ。これは気象庁の発表で、震源の深さが24㌔と比較的浅かった東日本大震災に比べ、今回の震源は590㌔(後日682㌔に修正)とかなり深かったためだという。また震源の深い地震は余震の心配は比較的少なく、今回も規模が大きかった割にはその後、余震と見られる揺れは観測されていない。

(写真は「東日本大震災 報道写真全記録2011.3.11-4.11」=朝日新聞社刊)

4年前のパニックを思い出せば、自ずと防災意識は高まるはずだ(写真は「東日本大震災 報道写真全記録2011.3.11-4.11」=朝日新聞社刊)

 それでも埼玉・春日部市や鴻巣市などで震度5弱、東京都や千葉市、横浜市の中心部で震度4を記録し、新幹線や在来線の一部が運行を見合わせ、また停電した地域もあった。今のところ甚大な被害は報告されていないが、それでも食器が落ちてきてケガをした人や転んで骨折、また調理中にやけどをする人などの報告はあるという。また余震の心配はないとはいえ、揺れで地盤が緩んでいる可能性があり、山間部などでの土砂崩れや落石などには十分な注意が必要なのは言うまでもない。

 今回の地震もそうだが、このところ各地で自然災害危機が深刻化している。御嶽山(長野、岐阜県境)が突然噴火して、死者57人、行方不明者6人(30日現在)を出す大惨事が起こったのは昨年9月。最近では神奈川・箱根で噴煙騒動が起きたのはちょうどゴールデンウイークの最中だった。5月6日には噴火警戒レベルが1から2にランクアップされ、大涌谷周辺で立ち入り規制が敷かれ、いまだ解除のメドは経っていない。そう思っていたら、今度は29日の午前10時になろうとする、まさにその時、鹿児島・口永良部島の新岳が火砕流を伴う大噴火。それまでの警戒レベルが3から最も高い5に引き上げられ、同日午後には島民約130人全員が10㌔ほど離れた屋久島にヘリコプターや船を使って避難した。こちらも噴火がいつまで続くか予想がつかず、避難した島民たちの不安は続いている。

◇過去の災害を忘れるべからず

 ノド元過ぎれば熱さを忘れるのは、時と場合で奏功することもあるが、いざ自然災害は、だいたいが忘れたころにやってくる。さすがに1923年の関東大震災を経験した方は少ないだろうが、95年の阪神大震災、そして11年の東日本大震災の時は記憶に鮮明に残っているはずだ。震災直後は自然災害に対する危機意識は急速に高まり、防災グッズが飛ぶように売れた。それなのに、まだ起きて4年程度しか経っていない東日本大震災でさえ、多くの犠牲者を出した被災地の方を除けば、交通機関が完全にマヒし、帰宅難民と化した首都圏の住民は、当時のことをスッカリ忘れてしまったかのうように、いまや過去の出来事として記憶の片隅に追いやられてしまっている。

 東京・中央区内の会社に勤め、東日本大震災当日、結局、千葉市の自宅まで帰れずに会社の椅子で仮眠をとって翌朝帰宅したという40代の会社員はこう話す。

「あの時、10階建てのオフィスの5階にいたんですが、突然突き上げるようにドスンという衝撃があって、そしてグラグラグラッ! と大きな揺れが起きました。『あれ? このまま建物が崩れて、俺、死ぬのかな』なんて思ってしまったぐらい。ビックリした記憶はありますね。実は完全に忘れかけていたけど、今回の地震でちょっと思い出しました。やはり、ふだんから防災意識を持ってないとまずいかなと再認識させられましたね」

 東日本大震災時は、原発事故が伴ったため、その後、放射能漏れが問題になり、首都圏の浄水場の一部で放射能汚染が騒がれ、一時、飲料水の買い占め騒動が起きるなど、ちょっとしたパニックになったことも記憶に新しい。

 各地で不穏な動きを見せる自然災害危機。今回の地震は、気象庁が発表するように余震の可能性は低いかもしれないが、地震の規模は巨大地震のそれに匹敵することは紛れもない事実だ。今回の揺れが、他の災害を引き起こすきっかけになる可能性も捨てきれないだけに、改めて防災意識を持ち、備えあれば憂いなし…を再認識すべきではなかろうか。右、くどいようだが、念のため。


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