テレビCM露出激減はAKB48人気の終わりの始まり…か
5日、ビデオリサーチから発表された2014年上半期(1~6月)の「タレント別テレビCM量ランキング」(関東、関西、名古屋の3地区)は興味深い結果となった。CM量の多寡はタレント人気のバロメーター。昨年まで多くのメンバーがベスト20入りしていたAKB48だったが、今年は何とたった一人。それも関東地区だけで関西、名古屋の両地区は圏外という体たらく。どうしたAKB! 遂に人気も終焉に向かうのか?
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昨年、同じ事務所(オスカー)の後輩・剛力彩芽にトップの座を奪われ、3地区ともに2位の座に甘んじた上戸彩が返り咲き、3地区ともに第1位に輝いた。一方の剛力は関東で10位、関西で14位、名古屋地区で9位と一気に順位を落とし、昨年まで事務所の「剛力推し」と言われた露出戦略も鳴りを潜める形になった。
◇AKB人気に陰り?
中でも注目されるのはAKB48メンバー(卒業組も含む=以下同)の結果だ。昨年の上半期には7位に篠田麻里子、9位に前田敦子、10位に大島優子(以上関東地区の順位)とベスト10に3人のAKBメンバーが入っていた。さらに順位を広げると関東地区で7人、名古屋、関西の両地区ともに6人がベスト20圏内。ところが今年は渡辺麻友の20位が最高位、それも関東地区だけで、関西と名古屋地区は誰一人AKBメンバーは入らなかった。
「かつてAKBの上位人気のメンバーたちは〝神7〟(かみせぶん)と言われていた。そのうち一昨年、絶対的エースと言われていた前田敦子が抜け、昨年は篠田麻里子と板野友美、今年6月には前田と人気を二分していた大島優子が卒業した。グループは求心力を失ったばかりか、卒業したメンバーたちもグループにいたからこそ話題になっていたかのように、ソロになった途端、その輝きを失った。CMの世界は厳しいですからね。グループにしろ、卒業組にしろ、人気がなくなったから起用されなくなったとみていいのではないか」
こう語るのは中堅広告代理店の担当者だ。
別の見方をするのは、ある芸能事務所の関係者。
「もともとAKBは〝会いにいけるアイドル〟をコンセプトに活動を開始し、恋愛禁止をうたってきた。ところが、人気が上昇するに従ってメンバーたちのスキャンダルが頻発。運営サイドも、最初は厳しく対処してきたが、スキャンダルが人気メンバーにまで及ぶと、都合のいい解釈で言い逃れに終始、または完全無視するなど、世間的なイメージもかつてほど透明ではなくなった。それでもまだ人気があるから安泰だと思われがちだが、イメージを大切にする企業サイドは、少しずつAKB離れを進めているのでは」
◇AKBはご難続き、人気OBは精彩欠く
AKBはご難続きで、今年5月には岩手県内で行われていた握手会で、暴漢によるメンバー2人(川栄李奈、入山杏奈)の襲撃事件が発生。警備の不備が指摘され、以後、AKBグループの最大の魅力の一つだった握手会が厳重なチェックの中で、行われるようになった。それまでは、まるで友だちのようにメンバーと接近できた握手会も、一定の距離ができてしまい、握手会自体の魅力もかなり失う結果になっていると感じるファンも少なくない。
物議を醸した卒業メンバーもいる。篠田がまだAKBメンバーだった2013年初頭、服飾デザイナーを目指して自身のブランド「ricori(リコリ)」を立ち上げた。ところが今年7月、何の前触れもなく突然、営業を停止、事実上の倒産となり自己破産申請の手続きに入っていることが明らかになった。
立ち上げ当初から「名前だけを貸すようなやり方はしたくない」「プロデュースするからには、すべての工程にかかわりたい」と意気込み、今年に入ってからもブランドの宣伝に余念がなかった。ところが倒産が明らかになった直後、篠田が自身のツイッターやブログにアップした発言が大きな問題になった。
「ricoriが閉店する事になり大変驚いています。 私篠田麻里子も去年までアドバイザーとしてお手伝いしていただけに残念です。 今までricoriを応援してくれたみなさんありがとうございました」と木で鼻をくくったようなコメントを寄せたのだ。
まるで他人事のようなコメントに、ネットを中心に「無責任だ」「『去年までお手伝い…』って、すべての工程にかかわってたんじゃないのか」「アンタ自身のブランドだろ」「ファンは篠田麻里子の名前があるから買ってたのに、それはないでしょう」「ショップの店員は突然職を失ったんだぞ。その責任はアンタにないのか」などと批判が集中した。
この騒動後、初めて開かれた篠田の記者会見では、主催者側の要請で倒産関連の質問は一切タブーとされ、報道陣も自主規制、篠田の責任はいまだ問われていない。
実際、このブランドの運営会社は別にあり、負債に対する篠田の責任はないのだろうが、道義的責任を回避するような振る舞いを見せていては「卑怯者」のレッテルを張られても致し方ない。AKBの中では親分肌で、竹を割ったような性格と言われていただけに、本人自身、倒産するほどではないにせよ、大きく株を落とす結果になった。
前田は卒業後、シングル曲をリリースしたり、映画に出演しているが、いまだこれが代表作と胸を張れる実績はなく、CMはトヨタにドラえもんのジャイ子役で登場するシーンが目立つくらい。
板野は4月から始まったTBS系のバラエティー番組「板野パイセンっ!!」で初の冠番組を持ったが、放送時間が日曜の深夜帯ということもあり、さほど話題になっていない。さらにネット上ではこの番組の共演者で、板野と同じ事務所(ホリプロ)の小島瑠璃子のほうが人気だと評判になっており、板野は複雑な心境に違いない。
本格女優を目指すと意気込み卒業したばかりの大島も、9月18日に〝明るく元気なエロティック〟をテーマにした写真集「脱ぎやがれ!」(幻冬舎刊、蜷川実花氏撮影)が話題になっている程度で、いまだ先行きは見えてこない。
◇CM露出はタレント人気の目安になる
CMランキング上半期ベスト20にAKB48が初めてランキング入りを果たしたのが2011年、その時はグループ名での登場だった(関東地区16位、関西地区12位、名古屋地区14位)。翌年12年にはグループ名は消え、その代わりメンバーの個人名がランキングされ、ベスト20にランクインしたAKBメンバーは関東地区で9人(うちベスト10入り3人)、関西地区で10人(同7人)、名古屋地区で10人(同7人)に上った。まさに絶頂期だったといっても過言ではない。
これまでも、その人気が永遠に続くのではないかと思われたタレントは何人もいた。しかし、そう思われていても、よほどの大物でもない限り、いつかは消えゆく運命であるのも事実。決してCM量ランキングで人気のすべてを図ることはできないが、それなりの目安になることも確かだ。改めて「タレント別テレビCM量ベスト20」の推移(別表参照)をみると、見えてくる何かがあるかもしれない。華やかな世界ほど、現実は厳しいというが、AKB人気に陰りが見え始めたと見るのか、それとも落ち着いてきた結果と見るのか、しばらく様子見を決め込むしかなさそうだ。