枕営業するクラブママは売春婦!
「銀座のクラブのママさ~ん、もしかしたらアナタも売春婦の烙印を押されるかもしれませんよ~」――そんな判決が出されていたことがこのほどわかり、話題になっている。朝日新聞(以下=一部抜粋)が報じたところによると、東京・銀座のクラブのママが、客で会社社長とねんごろな間柄になり、約7年にわたり性交渉を続けていたという。その社長の妻が「精神的苦痛を受けた」として、その銀座のママに400万円の慰謝料を求め、東京地裁に提訴した。いわゆる、世間一般で言うところの〝不倫裁判〟である。もし事実であれば、おおむね妻が勝利する!…そう思っていたら大間違い。大ドンデン返しの判決が下ったのだ。
◇枕営業は不倫じゃない
なんと判決を言い渡した裁判長が売春を例えに出して、売春婦が対価を得て妻のある男性と性交渉があったとしても、それは商売と指摘したうえ、「何ら結婚生活の平和を害するものでなく、妻が不快に感じても不法行為にはならない」としたのだとか。妻側の訴えを退け、不倫はなかったと判決を下したのだ。
その理由がふるっている。ママが社長とエッチをしたことは「優良顧客を確保するための営業活動」、いわゆる、よく言われるところの〝枕営業〟だったとし、「枕営業をする者は少なからずいることは公知の事実」と指摘した。そのうえで「客が店に通って代金を支払う中から、間接的に枕営業(売春)の対価が支払われている」とし、行為のみに対価を払う売春と枕営業の違いは、対価の支払いが「直接的か間接的か」だけとした。
銀座のクラブママを「売春婦呼ばわり」する判決にも驚くが、実は世間一般でも「不倫の境界線」がよく話題になる。テレビのバラエティー番組でもこの手のテーマは設定され、「キスまでならOK」だとか、「1回でもエッチしたらアウト」だとか、常に答えの出ない永遠のテーマになっている。中でも「風俗だったら許せるか」という質問もよくされる。銀座には仕事上、よく顔を出し、なじみの店も何軒か持っている総合商社幹部のAさんはこう話す。
「今回の判決は、売春(=風俗)は不倫じゃないと言ったも同然の判決になる。この判例が定着するかどうかはわからないが、ある意味、画期的な判決ではある。果たして銀座のクラブのママたちが、枕営業を売春婦呼ばわりされることの可否は別にして、少なくとも〝枕営業〟が不倫ではないという判決は、銀座のクラブのママだけでなく、日本全国、枕営業で客を囲い込んでいる女性たちにとっては朗報なのではないか。私? 残念ながらそこまでの甲斐性…というより、そもそも使えるカネがない」
◇風俗通いは不倫ではない?
参考までに、今回のケースは2005~12年の間、銀座のママと会社社長は、土曜日を中心に毎月1~2回のペースで会い、昼食をとった後にホテルにしけこみ、一線を交えた後、夕方に別れるパターンで逢瀬を楽しんでいた。ママの枕営業という〝営業努力〟の甲斐あって? 会社社長は一切、他の店に〝浮気〟はせず、ほぼママの店一筋に通い詰めていたという。
結局、妻の訴えは退けられ、さらに控訴しなかったため、裁判はジ・エンド。ただこのクラブのママ側は性交渉自体を否定しているというし、本当に性交渉がなかったというなら、「売春婦」呼ばわりされているだけに、このママが名誉棄損で逆提訴してもよさそうなものだが、そういう話は伝わってこない。
真相はやぶの中といえるが、でもどうだろう。「妻の訴えは退けられたとはいえ、銀座のクラブママを〝売春婦〟呼ばわりでき、さらにこのように報道までされたことで、妻にとっては400万円以上のシッペ返しができたんじゃないのだろうか。控訴しなかったのも、そのためと考えれば合点がいく。女は怖い…つくづくそう思った」
前出のAさんはしみじみとそう語る。でもマンションを買え与えられていたり、はたまた月々のお手当をもらって愛人契約をしているような場合、これはまた別の話。何はともあれ、我々しがない一般庶民には、縁遠い話に違いない。でも世の男性諸氏、少なくとも「風俗通いは不倫(浮気)ではない」という判決が下されたのは紛れもない事実。それだけでも大いに励みになった?