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October , 2024
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カジノ合法化は持ち越し!?

2014年10月31日(金)02時31分更新

 既定路線だったはずのカジノ法案(正式名称・特定複合観光施設区域整備推進法案=IR法案)の今国会での通過が、かなり怪しくなってきた。度重なる閣僚の不祥事で国会審議が滞るだけでなく、日増しにカジノ解禁反対論が高まっている。しまいには合法化賛成、推進論者の間からも「カジノ合法化の議論は一からやり直すべき!」との意見も飛び出した。

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いつになったら日本でもカジノが楽しめるのだろうか

カジノは社交場としての一面も持つ

 連日のように頻発する安倍内閣の不祥事や政治家たちの疑惑の数々、自民党ばかりか民主党の枝野幹事長まで240万円に上る政治資金収支報告書の記載漏れを指摘され、こうべを垂れた。こうなれば喫緊の課題である消費税10%問題や雇用問題、TPPや原発再稼働などの審議もままならず、それこそ二の次、三の次に位置するその他の法案は棚上げになる。カジノ法案も〝ご多分に漏れず〟だ。政権与党の自民、公明両党の幹事長、国対委員長が協議し、今国会会期中の成立は厳しいとする意見で一致したという話も出てきている。

 もちろんスケジュール的に、審議入りが困難になってきたこともあるが、ある与党関係者はこう解説する。

「カジノ解禁によりギャンブル依存症患者の増加や犯罪誘発、青少年への悪影響など、何かとマイナスイメージばかりが先行し、世論に同調するように各種メディアの報道姿勢も厳しくなるばかり。これ以上、ゴリ押ししてまでカジノの合法化を推し進めても得策ではないという流れが出来上がりつつある」

◇自分の利益が一番大事な国会議員もいる

 当初、政府としても世間からの批判はある程度、織り込み済みで、それでもカジノ法案は数の力で押し切るつもりでいた。ところが想像以上に批判が集まり、何より誤算だったのは相次ぐ女性閣僚の辞任と、いまだ続いている自民党議員のカネの問題。もともと与党内ではカジノ解禁に慎重だった公明党どころか、意見がまとまっていたはずの自民党内も揺らぎ始めた。

 宮沢経産相が折り悪くカジノと利害関係の深いと言われるパチンコ店の運営会社から40万円の献金を受けていたことが発覚したのもさることながら、最悪だったのは大塚国交政務官だ。カジノ整備担当政務官も兼務する立場にあって、やはりパチンコ店を経営していた在日韓国人から2007~09年の3年間に合計115万円にも上る献金を受けていたことが発覚した。

「昔からパチンコ業界と政治家は切っても切れない間柄、野党の中にも相当甘い汁を吸ってきた議員は少なくない。ただ大塚政務官の場合は政治資金規正法(外国人からの献金)にも抵触する恐れがあるし、何よりカジノ合法化では中心的役割を果たすべき立場にあることを考えれば、責任は決して軽くない」(パチンコ業界に詳しい関係者)。

 問題はこれだけではない。このところ疑われ始めているのがラスベガスやマカオ、マレーシアといったカジノ資本と一部政治家の癒着。カジノ事情に詳しいある関係者は「まだ実態はつかめていないが、もし海外のカジノ資本が国会議員に何らかの接触や献金、もしくはそれに類似するような行為があれば、カジノ法案など一発で吹き飛ぶ由々しき事態に発展する。それでなくても今回のカジノ合法化の流れで、日本が海外のカジノ資本に乗っ取られかねないと懸念されていることもあり、売国奴のそしりは免れない」と懸念する。

「『国家も大事だが、一番大事なのは自分の利益』という国会議員がいるのもまた確か。『あわよくばカジノ利権でひと儲け』と考え活動している議員も少なくない」

 こう語るのは、カジノ合法化の流れにも詳しい21世紀エンターテインメントの会代表の井狩友亨氏。同氏は本サイトで、これまでも入場規制などによる依存症対策や、日本文化を徹底的に取り入れたラスベガス型のエンターテインメントカジノの創設をアピールしてきたが、「やはり政府が考えているようなカジノでは、残念ながら国民のコンセンサスは得られない」としてこう続ける。

「カジノ法案がこのまま国会で採決されるとする。今のままでは公明党だけでなく、自民党の中からも造反議員が出てきて否決される可能性がある。もし否決されれば、その時点で法案は廃案になる。そうなれば日本でのカジノ合法化は10年先、20年先、いや将来的にもカジノ解禁は消滅する。そうならないためにも、ここは継続審議のまま持ち越して、一度仕切り直したほうがいい」

◇マユツバの経歴にはご用心

 最近、新聞や雑誌、テレビなどでカジノ研究家などと称する専門家を目にすることが多くなった。裏事情に詳しいA氏によると「中にはわかりやすくカジノを解説してくれる専門家もいて、それはそれでいいが」としてこう続ける。

「何分、カジノがこれほど騒がれ始めたのは、ここ数年のこと。専門家自体がそう多くない世界で、目立ったものが勝ち、とばかりに『私こそカジノの第一人者』とアピールに余念のないものもいる。まあこれでメシを食っていくわけだから、彼らも必死なんだろうが、中には自らのブログやツイッターでライバルを名指しで批判し、どうにかして蹴落とそうとする輩も出てきた。見ていて見苦しい」

 国会議員や地方自治体、またメディアを含め、こういう専門家をかなり重宝して使っており、カジノ関連のイベントや講演会などでも引っ張りだこの専門家も少なくない。ところが「彼らの経歴をよくよく調べると、中にはかなりマユツバな誇大表現がある人物もいる。最近、業界ではかなり有名になったX氏は、怪しげな経歴が散見されるとして一部では問題になったこともあったが、世間的にはまだ無名なだけに問題は表面化していない。もちろん、すべての専門家がそうだとは言わないが、こういう現実一つとっても『カジノ=胡散臭い』というイメージを与えてしまう」という。

 カジノ賛成派である大手総合商社幹部のBさんは「いま全国津々浦々に1万2000軒以上のパチンコ屋があると言われていますよね。言うなれば、これってすべてミニカジノですよ。反対派が『もともと日本はギャンブル大国』としてカジノ合法化を拒否するいわれはココにあります。とっくに市民権を得ているはずのパチンコですが、その実、かなり胡散臭い存在なんです。そうであるならば、いまだ単なる遊技場とされるパチンコを、まずは法律上でもギャンブルとしない限り、カジノ合法化の議論なんて始まらないんです」と言ってこう続ける。

「私は世界各国、何か所かのカジノで遊びましたが、ただジッと椅子に座ってひたすら盤面をにらみつけて大当たりを待つパチンコより、ブラックジャックやルーレットなど、ディーラーとの駆け引きや確率論で勝負できるカジノが好き。何より、カジノは社交場としての一面もあるから、カミさんや娘がディズニーランドで遊ぶような感覚が味わえる。もし反対派に『どうしてもカジノを合法化したいなら、パチンコを全面的に禁止しろ』と要求されたら、私は喜んで『そうします』と答えますね」

 実は「カジノの合法化を阻む最大のネックはパチンコにある」という説は、あながち間違ってはいない。いつか機会があれば、本サイトではそのあたりも解説していく予定だ。


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