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November , 2018
Thursday

安倍政権に地方が「ノー」を突きつけたが…

2015年1月12日(月)11時07分更新

 専制政治、独裁政権…どちらも民主主義と対極にある言葉だが、果たして今の日本の政治、安倍政権はどうなのだろう。意にそぐわない地方首長をないがしろにし、メディアに対しては報道規制まがいの要求をする。絶対安定多数の政権運営の中、物心ともに大きな支えとなる大企業を優遇し、また東京を中心とした大都市圏の利便性ばかりに目を向ける。日本の政治はこのままでいいのだろうか。街の声を拾いながら検証した。

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佐賀県知事選の惨敗で知事選3連敗を喫した安倍政。国会運営はお先真っ暗!?

佐賀県知事選の惨敗で知事選3連敗を喫した安倍政権。国会運営はお先真っ暗!?

 安倍政権にとっては衝撃的な結果となった。11日に投開票の行われた佐賀県知事選で、政権与党の自民、公明が推薦する同県武雄市の前市長の樋渡啓祐氏(45)が無所属新人で元総務官僚の山口祥義氏(49)に約4万票(投票者数約37万人=投票率54.61%)の差、獲得投票率にして10%以上の大差を付けられ撃沈した。当初、樋渡氏の楽勝と見られていたが、選挙戦終盤で混戦模様と報じられ、フタを開けると大惨敗。菅官房長官をはじめ谷垣幹事長、稲田政調会長やタレント議員の三原じゅん子女性局長など連日、党幹部や国会議員を送り込んでの敗戦だけに、安倍政権に与えた打撃は決して少なくない。それに4月には統一地方選が控えている。昨年7月の滋賀、11月の沖縄に続き、県知事選3連敗はシャレになりそうにないのだ。

◇沖縄に独立論?

 もともと玄海原発再稼働やオスプレイ配備計画など佐賀県内で反対、もしくは慎重論が渦巻くなか、容認派の樋渡氏を推薦したのが党本部。地域の頭越しに中央が介入したことに同県内最大の支援組織だった佐賀県農政協議会などが反発。対抗馬の山口氏の応援に回り、党内は四分五裂してしまった。厳しい結果になったことも、内部分裂があったからこそ、と見る向きもあるが「沖縄県知事に対するあの仕打ちをみたら、地方の有権者ほど安倍政権に反発するでしょうね」、こう口にしたのは富山県出身で東京在勤の男性会社員(42)。

〝沖縄県知事に対するあの仕打ち〟とは昨年11月の選挙で、前職の仲井眞氏を破り当選した翁長知事を指してのこと。昨年末に山口沖縄担当相と会えた以外は安倍首相どころか、いまだ他の閣僚との面談にもめどが立っていない。「すべてが米軍基地の辺野古移設を進める安倍政権に対し、反対の姿勢を取って当選した翁長県政に対する意趣返し。〝我々に逆らうと何もできないぞ〟という脅しに他ならない」というのは永田町関係者。

 7日には例年行われてきたさとうきび関連交付金の陳情のため、西川農相に面会を求めた翁長サイドだったが「大臣の日程調整がつかない」と断られている。ただ西川農相は同日、例年通りにJA沖縄中央会長や西銘衆院議員など地元の自民党議員らと会談、昨年は前職の仲井眞氏も同席しているだけに、翁長知事になった途端の面会拒絶は、やはり違和感はぬぐえない。

「こうなるともう冷遇…、いや露骨ないじめ。翁長さんは我々沖縄県民の多数決、民主主義の原理原則で選ばれた知事なわけでしょ。民意って何なんでしょ。それに西銘さんが記者たちに『我々は衆院選で(翁長知事に)潰された側だ。政党との関係をしっかりしてもらわないと』なんて注文付けたらしいけどよく言うさ。中央ばかりに尻尾ふって、民意を大切にしないから選挙区で落選するんですよ(西銘代議士は比例復活)」というのは沖縄県で自営業を営む男性Aさん(51)だ。

 Aさんは冗談なのか本気なのか、こんな言葉を口にした。「あまり沖縄県をバカにしていると、昨年話題になったスコットランドの話じゃないけど、そのうち独立なんて話も出てくるかもしれないさ。現実にはあり得なくても、そのうち中国あたりが沖縄に全面的に協力して…。考えるだけでイヤになるけど、こんな考えが浮かぶほど、いまの安倍政権のやり方はひどすぎる」

◇もはや安倍政権に対抗勢力はない!?

 ただ前出の永田町関係者は、安倍政権の狙いは「それこそ沖縄県をスケープゴートにして、地方に対して睨みと脅しをかけているようなもの。さすがに佐賀県知事選の結果はショックだろうが、4月の統一地方選挙にはまだ間がある。沖縄県と違って佐賀県は内部分裂があるので何とも言えないが、『我々に楯突くと、沖縄県のようになるぞ。いいのか?』というのが本音だろう」

 4月の統一地方選は、まさに安倍政権にとっての試金石。中央だけでなく地方も掌中にする最大の正念場だけに、負けるわけにいかない。「そのため多少手荒なマネをしても、地方の造反は許さずという姿勢で臨むのでは」(同)。

 それが事実なら、これはもはやファシズムと言えなくもない。じゃあ野党第1党の民主党に政権を戻しては、という話にもなるが、事はそう簡単ではない。「民主党政権時のあいまいな政権運営を考えれば、安倍政権のように、少しぐらい強引なほうが国家はまとまりますよ。今、民主党の代表選やっていますが、もう見ていて情けない。特に一騎打ちと言われる岡田さんと細野さんは、お互い、自分を良く見せようと相手の問題点をあげつらって批判するだけ。かつての民主党政権を思い出してもわかります。印象が薄かった野田さんは別にして鳩山さん、菅さんは自分のことしか考えてないような振る舞いだった。代表選の模様を新聞やテレビで知るにつけ、民主党だけには任せられないって人が、いよいよ増えたんじゃないですか」(東京都内で雑貨店を営む男性=58)。

 それでも街中の声を聞くと「あれだけ政治資金で問題になった小渕さんも松島さんも、またSMバー問題が騒がれた宮沢さん、それに親族企業から物品購入と騒がれた西川さんなど、一連の疑惑議員の責任追及はどうなったんでしょう」(横浜市の40代の主婦)、「年末の総選挙の時、安倍政権サイドからマスコミ各社に報道規制まがいの要望が出ていたって言われていたけど、それが事実なら言論の自由を脅かす怖い話ですよね」(都内の私大に通うマスコミ志望の男子大学生)と安倍政権に対する目は厳しい。

◇大都市圏と地方の格差は拡大の一途

 12日、政府・与党は過去最大規模となる一般会計96兆3400億円の2015年度予算案を了承した。特に安倍政権が掲げる目玉政策の一つ地方創生には7000億円の予算が組まれるが「年末の総選挙に700億円の経費が掛かったっていうじゃないですか。その10倍ポッチの予算で、地方が本当に創生できるんですかね。2020年には東京五輪、その後にはリニアモーターカー(リニア中央新幹線=東京―名古屋間2027年、大阪延長は45年開業予定)でしょ。ますます活気を帯びて便利になる大都市圏と比べると、やはり地方は取り残される運命にあるのでしょうね。地方創生なんて取って付けたように言っていても、結局は統一地方選挙に向けた子供だましでしかないのでは」(山形県出身の東京在住の会社員=37)。

 レジャー施設一つとっても東京ディズニーランドだ、ユニバーサルスタジオジャパンだ…と集客力のあるエンターテインメント施設がめじろ押し。グルメだって大都市圏に住んでいれば、別に本場の地方に行かなくても日本中、いや世界各地の味が楽しめる。それに地方は物価が安いと思われがちだが、ディスカウントショップや安売り店が乱立する大都市圏のほうが、実は競争原理と薄利多売の原則が働き、よっぽど安いケースが多い。

「地方が割安なのは、せいぜい不動産価格やタクシー代くらい。公共交通機関だって都バスのように比較的安価な運賃(前払い、一律216円=IC乗車券の場合)で乗れるケースは地方には少なく、乗車距離が長くなるにつれ運賃(後払い)は高くなる。わずか10㌔未満の乗車距離で300円を超えるような地方バスはザラ」(地方の物価に詳しい専門家)

◇安倍内閣の支持率が急落しない理由

 人口が少ないからないがしろにされ、さらに不便に拍車がかかるから人は大都市圏に集中する。いよいよ拡大する一方の地方と大都市圏との格差、その中で出てきた安倍政権の沖縄県への冷たい仕打ちと、それを受けたかのように安倍政権批判ともとれる佐賀県知事選の結果。ただこういう意見もある。「昨年末の総選挙では、投票率がいくら戦後最低(52.66%)だったといっても、絶対安定多数の安倍政権を生み出す結果につながったのは日本国民の判断。いくら批判したって始まらない」(東京都在住の24歳の大学院生)。

 結局、どうしても安倍政権が問題だというのなら「それこそ統一地方選で各地方の有権者が判断すればいいだけの話。多くの自治体から安倍政権批判の狼煙が上がれば、さすがに勝手はできなくなる」というのは前出の永田町関係者。東京都在住の無職の男性Bさん(67)は「対立野党にロクなのがいないから、今後も安倍さんの好き勝手が通るんじゃないの?」とあきらめ顔で吐き捨てるが、実は最新の世論調査で安倍内閣の支持率がやや上がっているという結果が出ている。読売新聞が12日に発表した内閣支持率は53%で前回(12月25日発表)より4?上昇し、不支持率は38%(3?減)。JNN(TBS)でも同日、内閣支持率が前回より4.6?上がり56.9%、不支持率は5.6%下がって41.3%と発表した。ともに微増ながら支持率は上がり、不支持率は下がった。

「実は『安倍政権が大都市だけを見ている』というより、『大都市の選挙民が地方を切り捨てに掛かっている』と言ったほうが正解かも。えっ? 私? 昨年11月に田舎から両親を呼んでいま一緒に暮らしています。不便な暮らしをさせるより、こっちで暮らしたほうが安心だし何かと便利ですからね」(北海道出身で千葉市在住の30代の男性会社員)。いろいろ問題含みの安倍政権だが、支持率が落ちずに安定しているところは、やはり選挙民の多数意思によるところが大きいのかもしれない。助け合い、慈愛、思いやり…日本人が美徳としてきた精神は数多いが、モノは余ってもココロに余裕のない時代になったと言われて久しい昨今。都会人も人の子、「我が身が一番大事」というのはわからなくもないが…。これでいいのか悪いのか、じっくり考える時がきているのかもしれない。

 


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1 Response

  1. 日本男児は 心に帯刀を (A.H.)月光

    (題): 真実を見落とすな! 亡国勢力の誘導で日本人は誤った議論をしている

    安保法制・集団的自衛権は違憲である、自衛隊は戦力だから違憲である・・・と主張する多くの憲法学者や9条護憲を連呼する国会議員・一般国民には肝心な言葉が抜けています。

    ★『(アメリカが日本に充てがった)憲法に違反しています』と言うべきです。

    つまり、独立国として日本国は当然に拒否しなければいけない筈の条文と(安保法制・集団的自衛権・自衛隊)を比較しているという、とんでもない過ちをしていることに国会議員・新聞・TV・学者・一般国民の誰もが気付いていないのです。

    投稿日2015年7月1日 PM 12:26

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