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「コトワザウルス」~鬼哭啾啾

2015年3月17日(火)12時22分更新

 アラカンならぬアラサン世代の本サイトご隠居顧問が世に伝わる諺、名言(迷言?)、慣用句…などなど言葉の数々をクローズアップしてお届けする「コトワザウルス」。2人の日本人を残忍な方法で殺害したイスラム国のように、風刺画だけで簡単に人を殺してしまう犯罪集団がいる。「ジョークも一歩間違えば『地獄の果たし状』になりかねない」というご隠居の脳裏に、ある四字熟語が浮かんだ。もうすぐ発生から20年を迎える地下鉄サリン事件のオウム真理教も同様、過激派の犯罪に洋の東西はない。

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危険な思想は一瞬にして世界を駆け巡る

危険な思想は一瞬にして世界を駆け巡る

 これまでの人生80年の間に接した〝笑い〟の中で、そのベスト1を選べと言われたら、衆人の失笑を覚悟しても迷わず次の傑作(自称)をあげる。『身体髪膚これを父母に受く。あえて毀傷せざるはこれ孝の始めなり』(孝経の一節)をもじったもので『寝台白布これを父母に受く。あえて起床せざるはこれ孝の始めなり』という古いパロディーだ。この上質な〝笑い〟(あくまでも筆者の主観です)に初めて接したのは高校1年のとき、同じクラスの友人から教えられたものだった。まさかその彼が作ったものとは今でも思ってはいないが、当時、頭の中では弊衣破帽をカッコ良く着こなした旧制高校の学生を作者にイメージしていた。この一言で筆者はどれだけ人生を愉快に生きてこられたかを思う。作者ではないにしても、これを教えてくれた友人には、大げさだが「持つべきは友」と感謝している(鳥肌がゾワゾワ)。

◇どの国にも自然発生し得る

 ところがだ。もしこれが『孝経』の一節ではなく、過激な攻撃性を持つ集団が金科玉条とする聖典から出たものだったとしたら、すでにこのジジイほか何人かは生きていなかったかもしれない。鬼哭啾啾というか、こんどは強烈な恐怖心による鳥肌が立ってきた。自分だけの世界では〝極上のユーモア〟だと思っていても、別の価値観を持つ人にとっては〝万死に値する侮辱〟だなんてこともある。仮に侮辱ととらえられた場合、そこには「表現の自由」も「思想の自由」も「信教の自由」も全く意味を持たない関係性が相手との間に生じた瞬間から、法律も理性も教養も、なんの効力も持たない状況だけが際限なく拡大していく。

 フランス人の感覚では「十分理解できるジョーク」で、「なぜこの漫画がいけないのか、理解できない」としても、事態はそんな主張が全く通らない次元に入ってしまっているのだ。今後、フランスおよびフランス人が起こった事態にどう対応していくかは分からないが、どの国にとっても決して対岸の火事では済まされない。なぜって、エボラ出血熱は水際の防疫態勢で飛び火はかなりの確度で防げるが、信教、思想などに関してはパソコンや郵便物などを通じてどの国でも自然発生し得るし、「えっ? お隣の学生さんが?」てな感じで急激に増殖する可能性だって秘めているからだ。

◇難事件解決の糸口

 話は変わるが、サリン事件が起きるちょっと前、オウム真理教に入信したり出家したりした息女を、両親が必死に取り戻そうと説得しているのに、息子も娘も全く聞く耳を持たなかったニュース画面をご記憶だろう。そして、その中の何人かは教祖の命令一つであの恐ろしいサリン事件やその他の殺人事件に関与していったのだ。宗教にもいろいろあり、心から「自分は救われた」と喜ぶ人も多いが、中にはマインドコントロールされたことに気付かず、その団体の言いなりになって行動する人もいる。もし気がついて脱会しようとしても、教団に脅迫されるのを恐れて、抜け出せなかった人もいただろう。

 宗教は時として人間を恐ろしいほどに変えることがある。よい方にも、悪い方にも。そこでふと考えた。世田谷で起きた『一家4人殺人事件』は恨みによる犯行か、通り魔的な事件だったのか、捜査は行き詰まっているが、視点をガラリと変えて「動機なき殺人」に至るほどの精神的な何ものかの介在はなかったか。ここからこの迷宮に入りかけた難事件解決の糸口が見つかるかも…と考えるのは甘すぎるだろうか。


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