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保育問題は野田代議士に超期待!?

2014年3月21日(金)10時41分更新

 

野田氏は自らもネットで検索したというが

 このところ大きな社会問題になっているベビーシッターによる男児死亡、死体遺棄事件…まさにネット時代を象徴する事件といわれる。一部で被害男児の母にも責任があるといった批判が飛び出しているが、自ら2011年1月に高齢出産し、障害を抱えた男児の子育てに奮闘する自民党総務会長の野田聖子衆院議員(53)は違った。「お母さんを責める声があるとしたらどうかな」と疑問を呈したのだ。よくぞ言った、さすが政治家、考えていることがご立派! 選良と呼ばれるゆえんである…って、ん? 冷静に考えれば国なり政治家がもっと子育て問題に真摯に取り組んでいれば、こんな痛ましい事件も未然に防げたし、何より起こらなかったのではあるまいか。 ――――――――◇――――――◇――――――◇――――――◇――――――◇―――――――

 保育所不足で引き起こされている待機児童など、共働き家庭が増えるほどに、子育てに関する諸問題は深刻度を増している。その穴を埋めるように利用者の人気を集めていたのが、ベビーシッターマッチングと呼ばれるインターネットを利用した仲介サイトだ。顧客を募るベビーシッターと、それを必要とする家庭の間を取り持ち、民間のベビーシッター料金に比べて格安で、さらに利用時間も臨機応変と一部で評判になり、保育所探しに難儀する家庭にとって注目されていた。

 ただ今回、この仲介サイトを利用してベビーシッターを頼んだ横浜市内の女性の2歳になる男児の遺体を自宅マンションに遺棄したとしてベビーシッターの物袋勇治容疑者(26)が逮捕される事件が起こってしまった。

 この女性は以前も、物袋容疑者にベビーシッターを頼んでおり、その時に子供の顔が腫れていたり背中にあざがあるなどしたため、以後は頼まないよう気を付けていた。ただ物袋容疑者は、いくつもの偽名を使っており、よもや再び物袋容疑者に愛児を預けることになるとは想像もできなかったという。

◇不用意な発言で火に油

 事件発覚後、自ら3歳児の母であるタレントの大沢あかねが、テレビ番組でコメントを求められ「私は(いきなり)見ず知らずの人に(子供を)預かってもらうことは理解できません」としたうえで、涙を浮かべながら持論を展開した。大沢は、少なくとも5~6回は自分もシッティングに同席したうえで、そのベビーシッターが信頼できるかどうか確かめるとした。とどのつまり、どこの馬の骨ともわからない男に子供を預けたこの母にも責任があるととらえかねない発言をしたのだ。

 これにすぐさま反応したのがネット住民。「5回も6回もベビーシッターをテストして? 時間もお金も余裕のない家庭が多いことをわかっちゃいない」「世間知らずの小金持ちタレントの無責任発言」「どうして自分の価値観でしか物事を論じられないのか」「この上から目線は何なんだ」

 もちろん大沢は素直な気持ちを口にしたに違いない。実際、この母親は事件後、「お金も預ける当てもなくマッチングサイトを利用しました。子供には助けられなくてごめんねと言いたいです」と涙ながらに語っている。大沢にこの母親を大上段から批判するつもりも、他意もなかったかもしれない。ただ不用意な発言だったことは否めない。

◇論争に自民党の野田総務会長が参戦

 この大沢の発言を受けたわけでもなかろうが、自民党の野田総務会長は、自らの経験を元に今回の事件に言及した。 「夜遅くなるとか、障害を持っているとか、既存のベビーシッター協会では応じてもらえません。(今回遺体で発見された男児の)お母さんを責める声があるとしたらどうかな」

 野田氏の子供は現在、重度の障害児の面倒も見る保育園に通っているというが、最初のころはサイト検索なども駆使してベビーシッターを〝ワラにもすがる思い〟で探し、苦労した経験があるという。

 野田氏はこれらの発言を、同氏が副会長を務める「児童の養護と未来を考える議員連盟」の会合で語った。それを伝え聞いた2歳男児を育てる20代後半のシングルマザーは言う。 「素直に聞くと、野田さんのこの発言は自分に置き換えて言っているように思えるけど、疑って聞くと何ともうさんくさい」

 公営の保育所は空きがなく、かといって民間は1時間預けるだけで3000円だ、4000円だと高額で「被害に遭われたお母さんではありませんが、とてもじゃないですが、自分の給料では賄えない。仕方なくネットで仲介業者を通してベビーシッターを頼むことがあります」という。

 野田氏が障害を持って生まれた男児を育てていることには、その苦労は理解できると言うが、「言葉は悪いですが、結局はお金にモノを言わせて民間の保育所に通わせているわけですよね。かつて(ベビーシッターを)ネットで探したっておっしゃったようですが、私たちと、その探すという行為が根本的に違います。野田さんに私たちの気持ちが本当にわかるとは思えません。それを事件が起きた途端、理解者ぶった発言にはどうも違和感があります」として続ける。 「彼女が本当にワラにもすがる思いで探したというのなら、こういった現実があるということもわかったと思いますよ。本当にワラにもすがる思いで探していたら…ですけどね。常日ごろから女性の権利を守る、夫婦別姓だ何だって恰好のいいことをおっしゃっているようですが、こういった危うい現実があることをもっと世間に訴えかけ、そしてそれを防ぐための対策を取るべく政治力を発揮すべきではないのですか」

 もちろん野田氏の発言は、被害となった女性を思いやってのことだろうが、「いや違います」とこのシングルマザーはいう。 「政治家は無責任な発言でも許される芸能人じゃない。今回の事件後、厚労省が『子供を預ける前は事前に面会し信頼できる人かどうか確認する』とか『シッターの名前、住所、連絡先を確認する』など10項目の注意喚起をしたっていうじゃないですか。でもそれができない現実があるから今回の事件があるわけでしょ。こんな当たり前の注意喚起ではなく、いやらしく聞こえるかもしれませんが、〝同情するならカネをくれ〟ですよ」

◇野田氏に掛かる期待の声

 いまだ生活保護費など弱者救済のための補助金制度を悪用し、私腹を肥やす不届き者も後を絶たない。これ以上、血税を使って闇雲に諸手当を増やすのもどうか、という意見は多い。ただそれも国や地方公共団体のずさんな審査、管理体制による無駄遣いや不正受給があったればこそ。少なくとも今回明らかになったベビーシッターを含めた保育問題は人の命にかかわる喫緊の課題。「注意喚起で済むなら厚労省も政治家もいらない」と前出のシングルマザーが言うように、政治家に求められるのは決断とスピードと冷静な判断だ。

 いまはカツカツの生活を送りながら、何とか3歳児を民間保育させている、やはり30代のシングルマザーは言う。 「私だって、いつベビーシッターマッチングを利用しなければいけない状況に立たされるかわかりません。野田さんは50歳で高齢出産を経験されて、そのお子さんが障害をお持ち。人一倍、子育ての大変さはわかってらっしゃる。今回の一件で、より一層、その気持ちはお強くなったのではないかしら。彼女であれば、何らかの結果を出してくれると信じています」

 郵政大臣に始まって、いまや政権与党の中枢である自民党総務会長の要職にある野田氏。期待が大きいのは信頼されている証拠。さてこれら庶民の声をどう解釈し、どう行動に反映させていくか。けだし見ものだ。


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