週間ＩＤＯＢＡＴＡ回顧録（９月２７日～１０月３日）
今週はどんな出来事があったのか。本サイトが気になったニュースを振り返る「週間ＩＤＯＢＡＴＡ回顧録」。意外と毎日、いろんなことがあるもので…。早速、プレイバックといってみよう。
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【９月２７日（土）】
○…木々は紅く染まり始め、空は青く、風も緩やかに流れるまさに絶好の行楽日和だった。長野、岐阜両県境にまたがる御嶽山（３０６７㍍）が突然キバを剥き、多くの登山者たちをまるで地獄図絵のような惨劇に導いたのはこの日の正午前だった。誰もが予想だにしない噴火が起こり、火山弾の直撃を受け、また噴煙とともに降りしきる火山灰に埋もれ、身動きが取れずに絶命する登山者もいた。ほうほうの体で下山した登山者たちは皆、体一面灰だらけ、まさに命がけの下山だったに違いない。
要所要所に設置された避難所や山小屋に逃げ込めた人、間に合わなかった人、またどこにいたかによって生死の境目があったと話す登山者もいた。運命と言ってしまえばそれまでだが、３日現在、死者は４７人に達し、これは１９９１年の長崎県の雲仙・普賢岳の噴火で亡くなった４３人（行方不明者を含む）を上回る戦後最悪の大惨事となった。家族などからの話で、いまだ安否が確認されていない登山者は最低でも１６人いるとみられ、懸命な捜索作業は今も続けられている。
【２８日（日）】
○…１９９３年、憲政史上初の衆院議長を務め、「おたかさん」の愛称で親しまれた社民党の元党首・土井たか子さんが２０日、肺炎のため死去していたことがこの日わかった。享年８５。葬儀・告別式は近親者のみで行われた。
土井さんは８６年、旧社会党の委員長に就任、８９年の参院選では、当時、導入されたばかりの消費税（３％）を「ダメなものはダメ」と訴えかけ「マドンナ旋風」「おたかさんブーム」を巻き起こし、改選議席は社会党が第一党となり、政権与党の自民党を過半数割れに追い込んだ。その結果を踏まえた名台詞「山が動いた」はつとに有名だ。衆院議長時代は、議員を呼ぶ際、慣例となっていた「君」づけを「さん」づけにするなど、何かと話題を振りまいた。
ただ好事魔多し。辻元清美衆院議員の秘書給与詐欺事件に絡み、土井さんの元秘書が逮捕されたり、２００３年の衆院選で社民党が議席を大幅に減らすなどして党首を辞任。０５年の衆院選では比例区から立候補したが落選し、政界の一線から退いていた。土井さんにかかわらず、故・市川房枝さんなど、かつて政治姿勢をしっかり持った女性議員は確かにいた。形ばかりの女性登用、女性進出が目にあまる昨今、女性を登用する側、また登用される側も、ぜひ先人たちの姿勢を見習ってほしいものだ。
○…秋場所千秋楽のこの日、横綱・白鳳（２９）が同鶴竜（２９）を掛け投げで下し、１４勝１敗で優勝、通算３１回目の賜杯を手にした。これは元横綱・千代の富士（現九重親方）に並ぶ歴代２位タイの記録で、いよいよ来場所以降、昭和の大横綱・大鵬（享年７２）の歴代１位の３２回優勝に挑む。
ただこの場所の主役は白鳳というより新入幕の逸ノ城（２１＝東前頭１０枚目）。１横綱、２大関を撃破し、一時は１００年ぶりの新入幕優勝の可能性もあった。それでも１３勝２敗は１９６４年初場所の北の富士（後に横綱）、６７年春場所の陸奥嵐（同関脇）に並ぶ初土俵最多勝タイ記録。文句なしの殊勲賞、敢闘賞のダブル受賞だ。１１月９日から始まる九州場所では関脇昇進の可能性が濃厚で、そうなるとまた大相撲は盛り上がりそう。ただ彼はモンゴル人。日本人力士として期待された遠藤（３勝１２敗）や新大関の豪栄道（８勝７敗）、さらに稀勢の里（９勝６敗）など不甲斐ない成績で終わった。来場所に巻き返しを図ってもらいたい。
【２９日（月）】
○…猪瀬都政時の２０１３年１２月２０日から運行が開始された終夜バス。渋谷―六本木間を深夜１時から夜明けまでの間、だいたい１時間に１往復の割合で運行されてきた。２０２０年の東京五輪を念頭に、国際都市・東京の交通の利便性を高める狙いがあった。ところが当初こそ、話題を呼んだが徐々に乗降客が減り、東京都は運行開始１年を待たずにこの日、１０月３１日をもって運行を終了することを発表した。つくづく猪瀬都政とは何だったのか、と考えさせられる一幕である。
【３０日（火）】
○…やっぱり凄い！ マイクロソフト創業者のビル・ゲイツ氏（５８）がこの日（現地時間２９日）、米経済誌「フォーブス」が発表した今年の米国長者番付で２１年連続の首位をキープしたことが明らかになった。その総資産額８１０億㌦なり。日本円にして約８．８兆円という、庶民感覚ではまさに天文学的金額になる。ちなみにこの金額、わずか０．０１％の普通預金でも年間８億８０００万円（税金を引いた手取りは約７億円）の利息が受け取れる計算になる。ふつうだったら遊んでオツリがくるじゃねえか、などと思ってしまうのはわれわれ下々の大衆感覚。ワーカホリック（仕事中毒）と言われる彼だからこそ、成し得る偉業と言えるのだ。参考までに２位は投資家のウォーレン・バフェット氏（８４）の６７０億㌦、３位はＩＴ大手オラクルの創業者ラリー・エリソン氏（７０）の５００億㌦だった。
【１日（水）】
○…東海道新幹線が開業５０周年を迎えた。１９６４年のちょうどこの日、東京五輪を１０日後に控え東京駅、新大阪駅をそれぞれ０系車体の「ひかり１号」と「ひかり２号」が出発進行。これまで「ビュワ～ンビュワ～ン」と走った総走行距離は実に約２０億㌔、地球の５万週分にあたり、延べ約５６億人の乗客を乗せてきた。開業当初こそ東京―新大阪間を４時間で結んでいたが、いまや最短で２時間２５分、最高時速も２１０㌔から２７０㌔までアップした。いまだ列車による死亡事故はゼロ記録を更新しており、まさに安全大国日本の象徴のような乗り物にもなっている。
ちなみにその２日後の同年３日、東京五輪の柔道競技会場として建設された日本武道館が開館した。日本らしさを演出し、外観は奈良・法隆寺の夢殿を模した八角形、屋根は富士山、てっぺんのたまねぎは、日本の伝統装飾である擬宝珠（ぎぼし）を表現している。
【２日（木）】
○…１‐１の同点のまま迎えた延長１０回裏、１死満塁の場面でソフトバンクの松田が打席に立った。カウント１ボール２ストライクからオリックス７番手の比嘉が投じた４球目、真ん中やや低めに入ったボールを叩き、左中間真っ二つのサヨナラ打。ソ軍にとっては今季１４４試合目の最終戦、この日の試合に勝てば優勝、負ければオ軍が２試合を残しマジック１が点灯するまさに天下分け目の一戦だった。劇的なサヨナラ勝ちもさることながら、この日までソ軍に優勝マジックは一度も点灯しなかった。これはプロ野球史上でも珍しく、最近では１９９２年にヤクルトがマジックなしで優勝して以来２２年ぶり。
【３日（金）】
○…警視庁は全国の警察に先駆け、交通違反や事故がなくても、危険ドラッグを所持して運転しているだけで、ドライバーを最大６カ月（１８０日）の免停処分とすることにし、この日から本格運用を開始した。ただその際の免停条件が①危険ドラッグに運転に悪影響を及ぼす成分が含まれていること②常習性があること③本人に危険性の認識があること④今後、所持しているドラッグを使用して運転する可能性があること――職務質問の際に以上の４項目すべてに該当した場合とされている。所持していたドラッグの危険度鑑定には時間がかかるし、常習性の裏付けをどのように行うかなど課題は多い。
なかには「条件ウンヌン言っている場合じゃない。それに免停なんて生ぬるいこと言ってないで、危険ドラッグ所持は即刻免許取り消しにするべき」（５０代、会社員）という意見も少なくないが、必ずしも車内にある危険ドラッグがドライバーのものとは限らない。借りた車にたまたまあったり、また罠にはめられ濡れ衣を着せられることもある。まずは今回の措置が、度重なる危険ドラッグ使用による事件事故の減少、壊滅につながることを願うばかりだ。
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