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November , 2018
Thursday

「テレビ妖語」~わざわざ

2015年3月23日(月)12時36分更新

 かつて某紙で鬼デスクとしてその名を轟かせ、胃腸病院に送り込んだ部下は星の数ほど…は言い過ぎでも、とにかく厳しかった。今と違って30年ほど前、当時の手書き原稿は赤字だらけで、字が汚いだけで哀れ丸められてゴミ箱にポイっなんてことも。そんな本サイトご隠居顧問だからこそ、テレビから流れ出る言葉、映像…おかしければ敏感に反応する。よくよく聞いていると結構、失礼かつ人間性を疑うような言葉が使われているようで…。

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〝わざわざ〟を広辞苑で引いてみると…

〝わざわざ〟を広辞苑で引いてみると…

 グルメ番組のリポーターに多い『テレビ妖語』のようだが、地方の美味しいものを探してきた(フリだけかな?)リポーターが、出迎えた地元の人に挨拶をする。「凸凹テレビの『〇×グルメ』という番組で今日はこの珍味を味わいにわざわざ東京からやって来ました」地元の人「いや、どうもはるばる遠いところからご苦労様です。さぞ、お疲れでしょう」と言ったやりとりになるのだが、年寄りにはちょっと引っかかる。

 この場合、わざわざというのは出迎える側が使う言葉ではなかったかな? と。例えば「東京からわざわざこんな遠くまでおいでいただいて、さぞ、お疲れでしょう」というふうにね。試みにいつもの古い広辞苑を引いてみる。〈わざわざ=①特別に、取り立てて ②ことさらに、故意に〉とある。ねっ? やっぱり東京から来たという人が使うのは変でしょ? テレビ局の人がどんなに偉いかわかりませんが、日本ではどんな偉い人でも、ひとまずへり下っておかないと、礼儀に欠けることになるのです。だから「東京から(あるいはそれが北海道からであっても沖縄からであっても)わざわざ来ました」と言うのは、先方の人には「わざわざ特別に来てやったんだから、接待よろしくね」と言うに等しい、失礼な使い方なのです。案外、テレビ局やその下請けのスタッフには初めっからそんな下心があったりして…。ではどうすればいいのか。とりあえず、「わざわざ」と「はるばる」を入れ替えればいいでしょう。まずテレビ側が「これを食べにはるばる東京から参りました」。これに対して地元の人が「わざわざご苦労さまでした」とね。

◇人間性ゼロの無機質な響き

 それから、ついでにもう一つ。事件・事故や火災などでケガを負った人が救急車で病院に運ばれたあと、不幸にも亡くなった場合、ニュースを読むアナウンサー諸君には「現場から救出された男性(または女性、老人、少年、少女、幼児などの場合もあります)は、その後病院で死亡が確認されました」という人が多いのです。まぁ、これは書かれた原稿を読まされているだけだから、アナ氏を責めるのは酷ですが、あなたから出稿部のデスクさんにお伝え下さいませんか。決して誤りではないので、そのままでも一向に構いませんが、国語用法過敏症のジジィとしましては、病院で亡くなったことを伝えるとき、担当の医師が「残念ながら〇時〇分、ご臨終です」と死亡を宣告し、報道する側がこれを確認しないと死亡を発表できない決まりでもあるのかと思ってしまいます。いや、それよりも「死亡が確認されました」とする言い方には人間性が全く感じられない無機質な響きがあります。それどころか、その死を当然のこととして期待していたかのようなニュアンスさえ感じてしまうのは、ひょっとして私、一種の神経症なのでしょうか?

 本当に日本語って難しいですね。普通に喋っているつもりでも、聞く人によっては全く感じ方が変わってくるなんて。だからかな? いえね、かく言うこのジジィがなぜか昔からずっと嫌われているような、敬遠されているような、そんな気がしてならないのは、やはり言葉がうまく通じていないのが原因かも。人のことを心配してあれこれ言うのは最大の楽しみなんだけど、これからは気を付けよう。そして、コンビニなんかで若い店員さんに「1万円からお預かりします」と言われてもなるべく心を広く持って、じっと我慢しながら釣り銭を待つことにしよっと。


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