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「老人の直感」~逃げたな!

2015年3月26日(木)12時14分更新

 アラサー(アラウンドサーティー)ならぬアラサン(アラウンド傘寿)世代の本サイト特別顧問がお送りするご隠居コラム。本日は、なぜかいくら聞いても胸を打たない、心に響かない、迫力のない安倍さんの言葉にご隠居が迫った。そこには綿密に計算された狙いがあった!?

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安倍さんは笑顔で接したのに近さんは能面だった(2014年11月、北京で握手をしたときの両者)

安倍さん㊧は笑顔で接したのに近さんは能面だった(2014年11月、北京で握手をしたときの両者)

?「いかなる理由があろうとも、テロは断じて許されません。強く非難致します」――比較的平和と思われていた北アフリカのチュニジアでテロの襲撃があった3月19日、安倍総理は世界に向けてこう声明を発表しました。その真意は「国際社会と連携してテロと戦っていく」と言うことで、国民の一人として大いに共鳴させられたのでしたが、もう一つ力強いインパクトに欠けるような気がしてなりませんでした。

◇気弱な子の捨てぜりふのよう

 安倍総理ご自身は〝断じて〟とか〝強く非難〟などの強調語を使って憤りの深さを示そうとされているのに、それがさほど強く心に迫ってこなかったのは何故なのか。ボケかけた年寄りの頭で考えてみました。まず一つには総理の優しいお人柄にあります。中国訪問で習近平氏の国際儀礼に反する無愛想なソッポを向いての握手を受けた時でも、あのにこやかな笑みを絶やさなかったし、夫人同伴の際は常に夫人と手をつないで歩く仲睦まじい姿を見せてくれます。その優しさが憤りを半減させたと言えるでしょう。でも、もう一つ、最大の要因は「許されません」という動詞の使い方にあるのではないか、と思ったのです。

 本来は「(私および日本国民は)断じて許しません」という四段活用の動詞「許す」を使うべきところを、「許される」と言う下一段活用の動詞を使ったことが大きいのです。このことに関してテレビはもちろん、新聞も国語学者も、それにNHK会長の言葉の使い方まで追及される野党の皆さんでさえ何も言いませんでしたが、この年寄りはこれを「許しません」でした。なぜって、「許されません」という言葉には〝自分〟が入っているようでもあり、入っていないようでもあるからです。「私は許しません」とは言いますが「私は許されません」なんて、いくら日本語に不慣れな外国人でも言いませんよね。ですから、「許されません」という動詞には一人称(単数および複数)ではなく、〝国際社会〟という三人称複数でしか使えないのです。したがって「(私および日本国民も含む)国際社会では許されません」とガキ大将の背中に隠れている気弱な子の捨てぜりふのように響いて来たので、「これは安倍総理ご自身の言葉と言うより事務方=官僚が書いた原稿を声明として発表されたのではないか」とご推察申し上げたわけです。

◇頼もしい姿を見た記憶がない…

 もし、安倍総理が「テロは断じて許しません」と一人称で声明を発表した場合、イスラム国はもちろん、国際社会だって「日本は自衛隊を派遣するのではないか」と早合点するかもしれません。これはイスラム国に無用の刺激を与えるだろうし、特にアメリカなどは「日本も超法規的決断で戦場に日の丸を掲げるのか」と期待を膨らますでしょう。それでは国民、とくに自衛隊員の安全や生命を脅かすことになり、いかにもまずい…という思惑が働いたと直感したわけです。決して「逃げた」とは言いませんが、拉致問題など小泉純一郎氏が敢然と立ち向かった時の勇ましさが見えず、怒りと悲しみで泣きじゃくる被害者の家族を放置したまま。「ここで総理のお力をぜひ」という場面で安倍総理が腕まくりした頼もしい場面を、残念ながら見た記憶がありません。だから、この年寄りが「また逃げた!」と思ってもムリはないとお許しくださいませんか。

 最後にもう一つ。国会の議場で総理が質問者に向かってヤジを飛ばすような品位のないことをされた時は、野党と国際社会が許しても、沖縄県民と拉致被害者家族には「断じて許されません」よ。


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