「コトワザウルス」~油断大敵
アラカンならぬアラサン世代の本サイトご隠居顧問が世に伝わる諺、名言(迷言?)、慣用句…などなど言葉の数々をクローズアップしてお届けする「コトワザウルス」。ご隠居は韓国で起きた駐韓米大使刺傷事件の犯行直後の映像を見ていて、ある四字熟語を頭に浮かべ、併せて不可解な動きにも注目した。80針も縫う大けがをした大使は、あす10日にも退院することになり、ホッとひと安心。それでも一歩間違えれば大使の命を奪っていた事件だけに、その衝撃度は決して低くはないのだ。
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先週の6日、リッパート駐韓米大使(42)が札付きの暴漢キム・ギジョン容疑者(54)に襲われたテロ事件を報じたテレビのニュースで、またまた不可解な動きを目撃させられてしまった。「韓国と日本の警察ではやり方が違う」と言われればそれまでだが、それでも世界中の駐韓大使の中でも最重要人物である米大使が、深いけがを負って屋外に避難して助けを待っているのに、この超VIPのそばには何人の人がいたか。
◇甘すぎる警備にずさんな対応
ニュースの映像はまず急報で駆け付けた数人の警察官がキム容疑者を取り押さえる画面から始まった。この場面にも首をかしげることがあった。黄色いウインドブレーカーを着た警察官がキム容疑者を取り押さえているのだが、抵抗する容疑者に手錠をかけた様子が見られず、数人の警察官は一人の暴漢を抑えるのに手いっぱい。その中に背広姿の男(何者なのかは視聴者には説明なし)が靴で男の手を踏みつけているのだが、よーく目を凝らすと、この靴が押さえつけているのはキムではなく、キムを押さえている警察官の手だった。逮捕に協力するなら靴ではなく、手を貸すのが普通と思うのだが…。怖かったのかな?
まァ、それは取り込みの最中だから、本職の警察官でなければ仕方がないとして、顔に深手を負って現場から屋外に避難したリッパート大使についていたのは僅か3~4人。黄色い服の警察官は10㍍前後も離れたところに2人が散見されただけだった。大使は「助けてくれ」と言って傷口を手で押さえているのだが、そばの男女は大使の体を支えているだけで、現場の会場にあったテーブルのナプキンさえ誰も持っていない。
やがて救急車とパトカーが画面に映し出されたが、この間、どのくらいの時間の経過があったかは視聴するものには分からない。もし、大使の負った怪我があと1センチ深かったら、韓国はもちろん、全世界を震撼とさせる世紀の大事件に発展したと思うと、お節介ながら韓国の警備が一から十まで甘すぎたし、事件の発生後の対応も一つ間違えれば命にかかわるほどの手抜かりがあったと言わざるを得ない。
◇さすがアメリカは大人の大国
「もし、この事件が日本で起こっていたら」なんて想像したくもないが、①入場者のチェックは十分だったか②会場に私服のSPは何人配置されていたのか③救急車やパトカーの出動は適正以上に迅速であったか④ニュース画面では大使の治療後の映像より、キム容疑者が骨折したという右足にギプスを施された姿が先に映されていたが、本当はどうだったのか⑤現行犯逮捕なのにその場から検察庁に逮捕状を請求したとの報道があった。そんなことより大使の安否や予後の報道が先ではないのか……などなど、もし、この5項目のうち一つでも落ち度が認められたら、日本では外務大臣、警視総監、警察庁長官はもとより、総理大臣、内閣官房長官にまで類がおよんだところだろう。
日本では55年前の浅沼稲次郎氏刺殺事件いらい、この種のテロ事件は起こっていないが、油断は大敵。今回の事件を他山の石としてみずからを戒め、律していかねば…。アメリカ政府は事件後直ちに声明を出している。「今回の事件でアメリカと韓国の友好関係にいささかのヒビも入ることはない」と。さすがアメリカは大人の大国だと感服させられた。もちろん、日本もやみくもに韓国を批判することなく、大人の国として今後も冷静に『竹島問題』ほかと取り組んでいきましょうか。