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November , 2018
Thursday

イスラム国の脅威が日本国民を直撃する!?

2015年2月1日(日)09時23分更新

 安否が心配されていたフリージャーナリストの後藤健二さん(47)が殺害された。その場面を撮影したという映像がインターネット上にアップされ、日本国内は言うに及ばず、海外からも怒りと批判の声が沸き起こっている。もちろん許されざる行為だが、大きなポイントは、日本人もテロの標的として名指しされたことに他ならない。犯罪集団「イスラム国」が存在し続ける限り、日本人は常にテロの脅威と背中合わせと自覚しなければいけなくなった。本サイト読者をはじめ、街中の人の意見を織り交ぜながら、今回の悲劇を振り返り、今後どうなるか考えてみた。

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静かに夜を迎えた国会議事堂も、翌朝から慌ただしくなること必至だ

静かに夜を迎えた国会議事堂も、翌朝から慌ただしくなること必至だ

 イスラム過激派組織「イスラム国」が後藤さんを殺害したとする動画が確認されたのが日本時間の1日、午前5時すぎのことだった。同組織の英国人戦闘員で通称ジハード・ジョンと見られる全身黒装束の覆面男が声明を読み上げ、後藤さんを殺害する様子を映し出していた。抵抗できない生身の人間を、これほど残虐に、また無慈悲に殺害できる行為は、戦争であってもそう多くは行われなかったに違いない。

「せめて銃殺にするとか、袋をかぶせたり、目隠しするなどして最低限の配慮があってしかるべき。しかしISIL(イスラム国)の捕虜の殺害は一種のショー。殺害方法が残忍なほうが自分たちの力の誇示につながるわけで、そういう意味では神をも恐れぬ悪魔の所業と言わざるを得ない」というのは軍事に詳しいある専門家だ。

◇安倍首相、イスラム国を激しく非難

 動画投稿の一報が入った直後の午前5時過ぎ、政府は首相官邸で緊急会議を招集して対応を協議。会議後、報道陣に囲まれた安倍首相は「政府としては全力で対応してまいりましたが、真に痛恨の極みであります」と無念の心のうちを語り、こう続けた。

「非道卑劣極まりないテロ行為に強い怒りを感じます。テロリストたちを決して許しません。その罪を償わせるために国際社会と連携してまいります。日本がテロに屈することはありません」

 もちろん安倍首相の発言は平和国家、民主国家の大原則。いまさらアピールするまでもないが、さらに安倍首相はこう続けた。

「食糧支援、医療支援といった人道支援をさらに拡充してまいります。そしてテロと戦う国際社会において日本としての責任を毅然として果たしてまいります」

 安倍首相は力強くイスラム国の行為を糾弾し、イスラム国と対峙していくことを高らかに宣言した。これが意味するところはかなり大きく、「間違いなく、これはイスラム国に対する宣戦布告と受け止められる。国内外でテロに遭遇する日本人の危険度は計り知れないほどアップした。まず、そのターニングポイントだったとよく言われるのが(1月17日に)エジプト歴訪中の安倍首相が、イスラム国と敵対する欧米、周辺各国に2億㌦の支援を約束してからだった」と語るのは野党のある国会議員だ。

◇お粗末だった? 日本政府の対応

 イスラム国はその後、すでに拘束していた後藤さんと湯川さんを動画に登場させ、初めて72時間以内に1人1億㌦、2人合わせて2億㌦の身代金を支払わなければ、両名を殺害すると通告。その際、動画に登場した同組織の構成員が次のように2億㌦援助を決めた日本政府を批判した。

「日本の支援は軍事援助だ。安倍、オマエはイスラム国から8500㌔離れた場所から自ら進んで十字軍に参加した」

 すぐに日本政府は「2億㌦はあくまで人道支援のため」と否定し、シリアからヨルダンやレバノンなどに逃れてくる避難民への食糧や医薬品の援助、またテロ対策のための防犯カメラ設置などが使い道だと説明した。専門家の中には「今回、すでに拘束されて数カ月経つ湯川さんと後藤さんの2人の捕虜が交渉材料に使われてことは、安倍首相の2億㌦支援の発言がキッカケになったのは間違いない。ただそれはあくまでもタイミングの問題。仮に2億㌦支援の発言がなかったとしても、遅かれ早かれ後藤さんと湯川さんはIRISのプロパガンダに使われたに違いなく、最終的に今回、両名が殺害されるに至ったことも防げなかったのではないか」(国際情勢に詳しい専門家)という見方もある。

「仮にそうだとしても、やはり日本政府の対応はお粗末だったんじゃないですか」こう振り返るのは東京都在住の60代のサラリーマンだ。「どだい人道支援を日本政府が主張したって、その2億㌦に領収書なんてありゃしない。援助した国が何に使うかなんて日本は確認できないのでは?」としてこう続ける。

「日本から直接、2億㌦分の食料なり医薬品などを送るなら安倍さんの主張も通るかもしれませんが、そんなことはないわけでしょ。政治資金と一緒で何に使われるかわからない。イスラム国にしてみれば『軍事費の一部に使われるに決まってるじゃないか』という主張になって当然だと思いますよ」

◇日本の悪夢が始まる

 また湯川さん殺害後に持ちあがった、後藤さんとヨルダン国に収監中のサジダ・リシャウィ死刑囚との交換交渉でも、ヨルダン政府主導のもとで事が運んだことがさらにイスラム国を刺激した。

「そりゃそうでしょ。イスラム国はあくまで後藤さんとリシャウィの一対一での交換を求めているのに、ヨルダンは自国のパイロットの解放を優先させた。ヨルダンの気持ちはわかりますが、イスラム国は言って聞く相手ではないわけですよ。それをまるでヨルダンに主導権があるような行動を取っちゃった。もちろんそれがイスラム国の狙いだったとしても、まずは緊急を要する場合はイスラム国の要求を素直に聞くべきだったと思います」(北海道在住の50代の自営業者)

 さすがにこれには「素直に要求を呑めば、それこそイスラム国の思うつぼ。要求はさらにエスカレートしていく」(前出の軍事ジャーナリスト)とヨルダン政府の行動に一定の理解を示す。何より、ヨルダン政府としては自国の捕虜解放を最優先で考えるのは当たり前で、「ヨルダンを責めるのはかわいそうです」(東京都在勤の30代のOL)という意見は少なくない。

 湯川さん、そして後藤さんを救えなかった経緯や理由は、これからの分析を待つにせよ、イスラム国が今後日本に対し、どのような対応をしてくるか気になる。そのカギは、まず後藤さんを殺害する前に、黒装束の男がこう言って日本を非難したことでもわかる。

「日本政府は悪辣な連合組織に加わった低能な同盟国と一緒で、我々の偉大さを理解できなかった。安倍よ、勝てもしない戦争に参加した軽率な判断によって、後藤健二だけでなくこれからもオマエの国民がどこにいようが殺されることになる。日本の悪夢が今始まる」

◇海外どころか日本にいてもテロの脅威

 もちろん2001年にアルカイダが引き起こした9.11旅客機テロなど大規模な惨事はすぐには起きるとは思えない。ただ海外で邦人旅行者などが何らかの重大事件に巻き込まれる可能性は今まで以上に高まる可能性は高い。娘夫婦がオーストラリアで暮らし現在、東京から大阪市内に単身赴任中の50代の会社員は「イスラム国関係者がどこに潜伏しているか知りませんが、今回、これだけ日本人捕虜の問題で世界が騒いだでしょ。日本人をターゲットにすれば、自分たちのアピールになるってことがわかり、いよいよ欧米と同じように…いやいまなら日本人を対象にすると一番効果があるってことで、日本人が狙われやすくなっているんじゃないかな。娘たちが心配」という。

 外務省では1日、後藤さん殺害を受けて「イスラム過激派組織のISIL(イラク・レバントのイスラム国)による日本人と見られる人物の殺害を受けた注意喚起」とした海外広域情報を発信。誘拐や脅迫、テロ等の不測の事態に巻き込まれないように安全対策を取るよう促している。すでに2週間前の1月16日には欧米渡航に対しても、テロに気を付けるよう注意を促しており、さらに緊迫度は増している。

 1月7日に発生したフランスの週刊新聞社襲撃事件もそうだが、イスラム国と対峙している国は、だいたいが銃撃戦覚悟で治安が守られている。「そのような国でさえ多くの犠牲者が出るのに、日本の警察官なんてせいぜい拳銃所持がいいところ。マシンガン相手に敵うわけがありません。また自衛隊といったって、手続きだ何だとすぐには動けないというじゃないですか。そんな日本で、銃撃戦を伴うようなテロが起きればひとたまりもないし、もし横浜アリーナなど大きなイベント会場で自爆テロでも起こされれば…。考えただけでも恐ろしい」(40代の横浜市の自営業)。

◇専守防衛というけれど

 一部では、イスラム国入りして行方不明になっている日本人は、後藤さん、湯川さん以外にもすでに複数いるとの情報もある。それを記者団から話を振られた菅官房長官は「把握してない」と素っ気なく答えたが、場合によっては新たな人質を立てて日本や欧米諸国に揺さぶりを掛けてくる可能性もある。本当に把握していないのか、把握していても言えないのか判然としないが、仮に把握していなければ「事実関係を調査する」くらいのことは言うべきでなかったのか。

 これまでは、どちらかといえばイスラム国問題は他人事、あくまで第三者の立場で見てきた我が国ニッポン。しかし完璧な当事者となった今、どう接していくべきか真剣に考えていかなければいけなくなった。「専守防衛」が日本の防衛戦略の基本とするならば、過去最高となる4兆9800億円に上る防衛予算(15年度=対前年比1000億円増)は、武器購入に充てる前に入国審査の厳格化や街中の警備システムなど、まずは水際でテロを防ぐ対策を取るべきだろう。かつて経済大国と言われ、わが世の春を謳歌してきた日本も、いまや中国や韓国の影に隠れ、その存在感を失った。残った最後の砦が安全大国ニッポン。果たして、安倍首相の言うようにテロに屈せずと胸を張り、それでいて安全な国を担保できるのか。これからの日本政府の対応、安倍首相の手腕にぜひ期待したい。


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