集中連載『テレビって奴は』第11回~BS放送は韓流ドラマの花盛り~
あと○年と●ヵ月で傘寿を迎える本サイトご隠居顧問が物申す! いつも「テレビはわれら年寄りの最大の親友。だからこそのお節介な忠告です」というご隠居が、人知れず韓流ドラマにハマっていた。小噺連載『テレビって奴は』の第11回は「BS放送は韓流ドラマの花盛り」。韓流ドラマには独特の方程式があるようで…。
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おいら老夫婦の海外旅行は退職後5年目くらいの時。一般のご夫婦に比べるとずいぶん貧しい話になってお恥ずかしい。だけどこの時、おいらの間違った韓国観を大幅に変えてくれたのは現地の30代半ばと思しき女性のガイドさんだった。断るまでもなく、彼女はおいら一行の全員が日本の旅行代理店から送りこまれた観光客だと承知の上だ。
◇韓国旅行が運のつき!?
彼女はソウル市内の観光地の説明のほとんどを、豊臣秀吉の朝鮮遠征と結びつけた。「ここも、あそこも加藤清正や小西行長ら遠征軍に破壊され、焼き払われました」「ほとんど無抵抗の兵士や市民を殺したり、拉致して暴行したり……」などと、割と流ちょうな日本語での解説に、観光バスの車内はシーンと静まり返ったまんま、重い空気が漂ったもんだ。
おいおい、おれたちは観光旅行を楽しみに来たのに、この白けたおもっ苦しい雰囲気は何なんだ。カネを払っているのはおいら達だぜ。悪いけど歴史上の人物の追悼式に来たんじゃありません!
堪りかねたおいらはガイドさんに向かってこう言ってやった。「知らなかったこととはいえ、我々のご先祖がいろいろ迷惑をおかけしました。国に帰ったら秀吉によーく言い聞かせておきます」。2~3秒のマがあったかな? ドンヨリと重い空気に包まれていた車内にどっと笑いが起こったね。グループに3人はいた在日3~4世のお嬢さんまで、バスを降りた後で拍手してくれたっけ。
だけど、この後のショッピングでおいらだけ高い買い物をさせられたのに、帰ってきてから気がついた。あのガイドさんを黙らせたついでに怒らせちまったらしい。
◇ドラマ作りの方程式
以来、反省を込めて少しでも韓国を知っておこうとNHKで『チャングム(長琴=女性主人公の名前)の誓い』を見たのが運の尽き。これで歳がいもなくズッポリと音を立てて韓流ドラマに嵌っちまった。今じゃ、BS放送と地上波両方で5本~8本、つまり1日に5~8時間、テレビにかじりついたまんま非生産的な生活を送っている有り様でやんす。
これまで、20代の女性をはじめ、アラフォーとかアラフィフとか言われる主婦層などがずぶずぶに嵌っているという話は聞いていたけど、80に近いアラエイのおいらが嵌ってしまうなんて、それだけ面白く作られているってことにしておこうか。ピーナツを2~3粒食べると後を引いて、全部無くなるまで止まらなくなるが、まさにそれなのよ。一回見るとまた次を見たくなる。それでズルズルと最終回まで見させられちゃう。まるで後ひき豆じゃァねェの。今まで何百本と見たうえでの類推だが、その昔、銭湯をガラガラにした連続ラジオ放送劇『君の名は』の〝すれ違いマジック〟と、世界的ヒットを誇る連続ドラマ『おしん』のエキス、極貧からの成功物語を徹底的に研究し、分析して「ヒットするドラマ作りの方程式」を導き出しているんじゃないか。
それにしても韓国にはどうしてイケメン男優や美人女優が多いんだろう。そのくせ語呂のいいチャン・ドンゴン以外の俳優さんたちの名前はさっぱり覚えられないけど。
(本サイトご隠居顧問=次回もお楽しみに)
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