集中連載『テレビって奴は』第10回~アナと解説者~
あと○年と●ヵ月で傘寿を迎える本サイトご隠居顧問が物申す! いつも「テレビはわれら年寄りの最大の親友。だからこそのお節介な忠告です」というご隠居が、今回は勉強しなさすぎのアナウンサーをチクリ。ご隠居顧問の小噺連載『テレビって奴は』の第10回は「アナと解説者」。スポーツ実況中継の放送席に怒りの1、2、3、ダァーッ!
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つい最近、アントニオ・猪木参院議員が北朝鮮にボブ・サップなど外国人レスラーを帯同して渡り、ピョンヤン市民を驚かせたり、喜ばせたりしていたけど、そのピョンヤン市民がリングを食い入るように見つめる表情に、60年以上前の街頭テレビに群がった新橋駅前の風景を思い出したのは、おいらだけじゃないだろうな。当時、プロレスと同義語だった力道山が猛獣のような外人レスラーに苦しめられ痛めつけられながら、最後に決め技の空手チョップ(嗚呼、懐かしい言葉)で逆転勝ちを収めると、地鳴りのような歓声がすぐそばを走る国電(現JR)の乗客までも驚かしたものだった。
◇素人でもわかる解説は要らない
テレビ受像機がまだ一般の家庭にまで普及していなかった昭和30年初頭、このように当時の若者を夢中にさせていたプロレス中継から、人気はプロ野球に移り始めていた。プロレスは当時月に一回かそこいらだったが、プロ野球はほとんど毎日見られるし、しかも、力道山に勝るとも劣らないヒーロー、長嶋、王というスーパースターがブラウン管に躍り出てきたからだった。
おいらなんか、近所の家のどこにもテレビがないから、なけなしの小遣いをかき集めて25円だったか30円だったかのもりそばか、当時出始めたばかりのソフトクリームを食いにそば屋に駆け付けたもんだった。客寄せのためのテレビに30円以下の客が満席で長時間ねばっているので、そば屋の大将は半べそと半笑いで、客と一緒にしぶしぶ観戦してたっけ。
その頃からだったと思う。小西得郎さん(1977年、80歳で没)が名解説者としてプロ野球隆盛に貢献し始めたのは…。「そりゃ、もう何と申しましょうか」の口癖は流行語にもなった。六大学野球の中継で放送史に残る名調子で知られるNHKの志村正順アナ(2007年、94歳で没)とのコンビはもう二度と現れまい。「画面を見りゃぁ分かる」とばかりの、視聴者をそっちのけにした“雑談風実況放送”と、素人でも分かる『そのまんま解説』なら、もう要らないよ。「はい、勝負はこれからです。××選手にぜひ頑張ってほしいですね」「この選手は後半に強い。これからです」こんな解説なら邪魔なだけだって。
◇不勉強アナには怒りの一発を
アナも解説者も自分の仕事の範囲のことぐらいもっと勉強したり、取材をして来いってぇの。なんのスポーツかは言わないけど、アナウンサーというよりファンの一員になったように声援しか発しない奴もいる。そんな奴は試合会場にテレビ局の会社のバッジでタダで入らず、入場券を買って入ってこいっつうの。そんでもって、自分が不勉強でしゃべることがないからって、隣の解説者にしきりに話題を振っていく。まるで解説者はアナウンサーの肘掛け、脇息みたい。心ある解説者でもこれじゃぁまともなこと喋りたくなくなるってもんだ。
今、視聴率こそ低迷中だが、報道ステーションの古舘伊知郎ニュースキャスターは若いころアントニオ・猪木時代のプロレス中継で腕と舌を鍛えた人だ。この人を見習えとは他局のアナには言えないが、猪木さんよ、手を抜いたり息を抜いたりしっぱなしのアナや解説者にぜひ気合いを入れてやってほしい。「元気ですかぁっ!」って、思いっ切りのビンタを一発。 (本サイトご隠居顧問=次回もお楽しみに)
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